第十六話 都市国家オーブ。
大量のオーク肉と薬草の納品により、アギドの街の食糧事情は一時的に回復した。
オークだけでなく大蛇と呼ばれる魔物の肉も納品されている。
とは言え、このまま補給が無ければまた同じ状況になってしまう。
根本的な解決が必須なのは、間違いない事だ。
ではどうするのか?
停止している流通を活発化させる事が必要になる。
その為にはどうしたら良いのか?という事になるのだが、プリメラさんが動いていた。
それはつまり、世界の【シャルマン商会】が動くという事だ。
では、世界の【シャルマン商会】が動くという事は、何処かとの国交が開かれるという事を示唆する。
では、何処の国と開くのかという事になる。
「・・・よって、アギドの街はカーリアン帝国からの独立を再度宣言し、都市国家オーブの建国をここに宣言します。そして、我々都市国家オーブはロックフェラ連合国に参加します!」
僕は今、アギドの街の旧領主の館の前の広場に居る。
そして、演説を聞いている。何故、聞いているのかって?
さぁ?僕にもわからない。気がついたら、巻き込まれていた。
ロックフェラ連合国は都市国家が集まって大きな国として成り立たせている連合国らしい。
各都市国家は独立した国であり、都市であるそうだ。
まぁ詳しく知る必要は無いから、それ以上の事では、各都市国家の領土は壁の中という事になるそうだ。
だからなのか、壁の内側に畑や放牧地がある。そして都市と都市の間には整地された道、道路がひかれている。そのおかげもあり、都市国家同士の交流も盛んだ。なので、各都市国家は特徴を持つ様になったのだとか。
なので、村落は基本的には無い。
都市国家とは都市の一つが国なのだからだそうだ。
そして、連合国はその枠を広げる事と、大国に対抗する為に取られた形だという事だ。
そんな、都市国家の連合国に加盟する事にした、この街は独立都市国家オーブと命名されたわけだ。だから、ロックフェラ連合国の一員として、物資が流れてくるばかりか、カーリアン帝国への防衛にも力を借りる事が出来るという事だ。
で、都市国家に村落は無い。
では、都市国家オーブの周辺の村の人はどうするのか?
都市国家オーブに転居を求められるという事になるそうだ。
何故、知っているのか?
それは、この僕の隣にいるあの村の村長に掴まったからだ。
「どうですか?結論は出そうですか?」
「そうですね。魔物の脅威も減るでしょうし、この都市国家に属す方が良いのでしょうね。ただ・・・。」
「ただ?」
「今まで通りの生活が本当に出来るのでしょうか?」
「それは難しいかも知れませんね。先ず、川は無い可能性が高いですね。」
「そうですよね。困りました。」
難しい問題だろうなと思う。
ただ、魔物の脅威やカーリアン帝国からの脅威は都市に入れば、一定以上は守られる。
逆に自由は減るだろう。ただし、不便になる事は減る筈だ。
「じっくりと村の人達と相談されたら良いと思いますよ。」
「そうですね。そう致します。お付き合いありがとうございました。」
「いえいえ。それでは、また。」
僕は村長と分かれた。
演説を聞いていたが、未来は明るい筈だ。
民主主義体制をとろうとしているらしいしね。
議会を設置して、評議会において政策を決定する様だ。
◇◇◇◆◇◇◇
その後、都市国家オーブは正式にロックフェラ連合国に加盟した。
都市国家オーブは即席の政府を立ち上げた。
最初の内閣総理大臣には、カガリさんが就任した。
カガリ内閣は、都市国家オーブのこれから先の指針を沢山打ち出す事になった。
そんな中で、ロックフェラ連合国の国主が都市国家オーブに来訪されたりして、オーブの初代内閣は忙しく動いている。
都市国家オーブの外壁は拡張する事が決定し、急ピッチで造られている。
また、ロックフェラ連合国に加盟した影響で、都市国家同士を繋ぐ道路も急ピッチで整備されている。
都市国家オーブ内も、区画整理をおこなっており、あちこちから、工事をしている音が響いている。
そんな中、連合国の防衛軍もやって来た。
防衛軍は都市からの補給は受けるが基本的には防衛拠点を造るらしく、今回はあの村が選ばれたそうだ。
なので、あの村は強制的にロックフェラ連合国所有の土地となり、村人は都市国家オーブへ所属するか、ロックフェラ連合国の首都に移るかを迫られたようだ。
そして村は、都市国家オーブに移る事を決めたらしい。
ロックフェラ連合国には黄道十二宮の勇者と呼ばれる存在が居ると聞いた。
勇者は勇者召喚の魔法により異世界から召喚されていると聞いた。
あの12体の像にそんな意味があったとは知らなかった。
「もしかしたら、日本に帰れる可能性があるかもしれないわね。」
「そうですね。」
「どうしたの?嬉しくないの?」
「いえ。帰れるのであれば嬉しいですけど、その時にはアリアさんも一緒に来てくれますか?」
「えっ?それ本気?」
「えっ?」
少し拗ねた顔になるアリアさん。
「もう、知らない。」
そう言って、ソッポを向いたまま話をしてくれなくなってしまった。
「煉。お前は馬鹿だな?」
「はい?プレストンさんだけには言われたくないんですけど?」
「なんだと?やるのか?おい!」
と、プレストンさんと喧嘩した事でうやむやになってしまった。
僕達の事はとりあえず置いとこう。
こうして都市国家オーブは新たな時代を迎える事になったのだ。




