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第十話 経過する日数。


初日の作業で、大まかな修繕と堀の下準備は完了した。

二日目の作業は堀の完成と簡易見張り櫓の完成をした。

残す所は、壁の補修のみとなった。


「これで、少しはマシになったかしら?」


「そうですね。出来る事なら、門も造りたい所ですけど、これがやっとでしょうね。」


「そりゃそうだろ?」


バリケードを用意した。今は入口の横に置いてある。

本当は木の門でもある方が良いのだろうが、それほどのモノを造るには知識と技術が足りない。将来的には門を用意して門番を置くのが良いだろうなと思う。


「鍛冶屋でも居れば、まともなモノが出来るだろうが、ここには居ないからな。」


鉄加工が出来るモノが居ない村。

これでは鉄細工は用意出来ない。ありあわせの物で何とか工夫するしかないのだ。


「で、自警団の方はどうなの?」


「はい。最低限は出来るハズです。まぁ見回る程度でしょうけど。」


「十分よ。村では最先端じゃないかしら?」


「そうですかね?」


自警団の状況を聞いた僕は驚いた。

今迄、無事に村があったのが不思議なほどだった。


先ず専属は厳しいとの事だったので、50人程の15歳~50歳の男の人で5人組を10チーム程作ってもらう事になった。それで一日3チームで見回りをしてもらい、三日に一回の割り当てで見回りしてもらう事になった。村の入口には5人の内3人が立ち、残り二人が見張り櫓を中心にして見回りをする事になっている。

村の各所に銅鑼を置いた。何か異変が有ればその銅鑼を鳴らす事で対応する。


見張りは三組が一日なので、その内8時間ずつが割り当てとなる。

厳しい労働条件かもしれないな。とは、僕の感想だ。

平時は18時から翌朝8時までの時間を見張り対象にする。

これによって14時間が対象になるので二組での割り当てで済む。

一日7時間の労働となる。食事とかも必要だが、その時は村の入口で取る様に話をした。

巡回は二人なので、順番にすれば、一時間に一回は回れるだろう。一人では三回に一回は巡回する事になるから三時間に一回という計算になる。

端数がでるのは、余裕を持たせる為だ。


本来は、カーリアン帝国兵が派遣されていたハズで、自警団の役目は少なかったハズなのだが、今のこの情勢では仕方が無いだろうと思う。


「これは、アギドの街に戻ったら、早々に報告した方が良い事だよね?」


「そうね。でもロックフェラ連合国に加入するなら、村自体が閉鎖される可能性が高いかも?」


「そっかぁ~。都市国家ですもんね。都市の中に居住する形でしたね?」


ロックフェラ連合国は都市国家の集合体だ。

都市国家は、その名前の通りに都市内に全てを揃える。

村という概念が無いとは言わないけど、基本的には外壁の内側に住む事になる。

ロックフェラ連合国だけが特殊なのかもしれないが、外壁の内側に畑や放牧地がある都市国家ばかりだった。


「そうよ。煉君は良く知っているわね。いつ覚えたの?」


「一度、ロックフェラ連合国を横断したので、その時に見て知りました。」


「そっかぁ、その時かぁ。一緒に行きたかったな。」


「そうですね。一緒にロックフェラ連合国を旅しましょう。」


「うん。約束。」


「はい。約束です。」


『ちょっと、ちょっと。何二人の世界にいっとるのじゃ?』

『本当ですよ。』


外野が煩いが、可憐にスルーするアリアさん。

僕は苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。



◇◇◇◆◇◇◇



三日目。

どうにか、ここまで村への襲撃は無かった。

僕等は村の方が落ち着いて準備が出来ているので、村の周辺の捜索を開始した。

ここまでは、オークは見かけてない。


「まだ、大丈夫そうね。」


「はい。」


「おらぁ!」


プレストンさんは、今は熊を倒していた。

ズシンと音を立てて倒れた熊。野生の熊だ。


「よし。今日は熊鍋だな。」


のんきな事を言っているプレストンさんは放置。

僕は‘桜花‘で突っ込んできた(イノシシ)を避けながら斬る。

これも、野生の動物だ。


「やっぱ、動物が奥の方から出てきている感じですかね?」


「そうね。戻れていないのでしょうね。そうなると奥地には巨大な存在が居るって事ね。」


「ですよね。」


「猪鍋も良いな。」


やはり、プレストンさんは緊張感が無い様だ。

まぁ、昔からソロで奥地へと向かう様な人だから、そうなのだろう。


ただ、いままでの冒険とは違い、村の防衛を考えてしまう。

近くに他人が居る状況では、やはり違いがある。

ヤバいとなれば、適当に逃げる。という選択肢は選ぶ事が出来ない。

ちゃんと対応をしないと、被害が生まれる。


「今日はここまでにしておきましょう。」


「そうですね。プレストンさんも良いですか?」


「ああ。構わん。」


僕等は先ほど仕留めた野生の動物を魔法鞄にしまう。

この日の捜索は、近場に限定している。

オークの姿を見かけない事を祈っての捜索だった。

オークが一体でも居れば、それは危険信号。


「さぁ、帰りましょう。」


ただ、そう上手く事が進むとは限らない。

残念ながら、そいつは現れた。


「ちっ!居やがった!」


プレストンさんがいち早くその存在に気付いた。


「ギャオン!」


「始末しましょう。」


「それしかないですね。」


『任せるのじゃ。』

『準備OK。』


オークジェネラル。

そしてオークがぞくゾクゾクと現れたのだった。


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