最期の
描写を忘れましたが、ドナテロから貰った魔剣・水月は、カリンに借りパクされてます。
人族は”火”とともに繁栄した。
その信仰は厚く、火の適性の無い者でも信仰し、その総数は氷の何十倍だ。
その信仰を力に変える【火の女神の化身】と俺の【氷の女神の化身】は同じようでいて、似て非なるもの。
億万と有る信仰を、加護を搔き集めて神の化身となる【火の女神の化身】の初期の加護を数値化すると、数十ほど。
これにベラ嬢の元々の莫大な適性、信仰する者達からの億万という加護が集まって億万と化す。
対して、信仰する者が少なく、集められる加護が少ないにも関わらず、俺が億万になれるのは、異常に初期の加護が莫大なのだ。
個人で神の頂きに登り詰める程の能力を持たされているので、ベラ嬢と違って肉体が変貌し始めている原因でも有る。
だから、だからこそ、この状況でも俺の攻撃はマンダラに通用する!!!
「行くぞ!! ユキ! ツララ! 気合を入れろ!!!」
『……わかった。任せて』
『ふわぁぁあ!!!』
ジョイフルと戦った時のように自我を失わず戦えているのは、壊れる心配が無くなったおかげで、鎧で【人狼の魂】を抑えることが出来るためだ。
【魔王】のため、全属性を扱えるマンダラに対応するため剣には属性ではなく、斬撃向上を付与し、物理的な威力を重視する。
人知を超えた身体能力、攻撃力を携え、単身で魔王”泥土”のマンダラを圧倒する勇者を全世界の人族が目にする。
「これはこれは。やられましたね」
マンダラが気づいたようだが、すでに遅い!
逆用し、勇者への信仰を失わせるために全世界に流していた映像に、俺という希望が映る!!
全世界の絶望が希望へと変わり、俺への希望として、俺の力に、未来を切り開く力へと変貌する!!!
「終わりにするぞ! 俺とお前の! 勇者と魔王の戦いを!! 俺達で最期にするんだ!!!」
ーーーーーー
最期、オルフが、そう語る。
全世界から、氷以外の信仰さえも受け取り、人として確かに最期の戦いになるだろう。
「そうですね。終わりにしましょう。最期にしましょう」
私が勝てば、魔王を敵視する人族を根絶やしにすることで姫様は平和になる。
「ただ、易々と終わりにするつもりは有りませんよ!!!」
オルフが、単純に私を、魔王を倒すだけでは意味が無い。
人族は平和になるだろうが、魔物が敵視され、無駄に戦うことには変わりない。
私が倒されるにしても、彼には、オルフには【魔王】を倒してもらわねばならない!!!
「見定めさせてもらいますよ! オルフ!!!」
ドナテロとオルフの妨害により、最低で五つ用意したかった毒、用意できた四つの薬の最後の二つを飲み下す。
他の四天王を打倒に各一つずつ、姫様を倒し【魔王】を継承するのに一つ、勇者を倒すのに一つの、計五つ。
オルフの、シルバの、パールの、存在と成長のために計画を修正することが出来たおかげで節約出来た残りを飲み下す。
「貴方が、私を! 世界の理を破壊するに至ったのか!! それを見定めさせてもらいます!!!」
魔物の加護、忠誠、信仰を受けるかわりに、魔物に対する憎悪を受ける【魔王】が存在する限り、姫様に安息は無い。
私だけでは辿り着けなかった結末に、貴方となら辿り着けるかもしれない。
神々の計画から離れた私達だから、辿り着ける結末に!!!
「光さえ喰らう闇!!!」
「始まらぬ終わり!!!」
ーーーーーー
『この戦いが終われば、好きに暮らせますよ。姫様』
マンダラ、いえ、幼い頃から仕えてくれたアントラおじさんが優しく語りかけてくれたのを思い出す。
最初は単純に、魔王を肩代わりしてくれて、重責から解放された私が好きに恋愛出来るくらいに考えていただけだった。
「アントラ……」
アントラおじさんは世界の理を、【魔王】を”無”によって消し去るつもりなのだ。
アントラが勝てば、人族は殲滅され、そもそもの憎悪を抱く者が居なくなり平和に。
オルフが勝てば、【魔王】が消え去り、心がけしだいで命を狙われるなんてことは無くなる。
『人に身内が殺されたとはいえ、その王に殺意が向くなど可笑しな話なのです。殺害に関与しているなら、まだしも。小鬼に、スライムに、その他の魔物に殺されたのに、その憎悪を受けるなど』
人族に対して寛容で、優しかった前魔王の父を想っての発言なのだろう。
人族と【魔王】の、最期の戦いが終わろうとしている……。
完結まで更新は平日午前6時、土日祝日午前1時に行います。




