エピローグ
驚愕の真実!!? になってれば良いな。
神界にて一人で、ゆったりと対面の相手が来るのを待ちながら、茶を啜る神が座っていた。
「ジャミラ! フードくらい取ったらどうだ? 陰気くさいぞ。火の神なのだから、少しは明るくせんか」
「……大きな、お世話だ。ロッゾ。お前こそ、少しは陰気くさくしたらどうだ? 氷の神のくせに暑苦しい」
火の邪神ジャミラの対面の席に許可も無く、勝手に腰掛ける氷の邪神ロッゾ。
お互いに”火”と”氷”の神とは思えぬ風貌であるが、それが良いのか、相反する属性の神々にも関わらず、二人の仲は悪くはない。
「ぬ? 客を待っていたのか? こちらにも、茶が用意されているようだが」
「猫舌だからな。ロッゾ。先に用意していたまでだ。来たら、改めて用意する。熱い内に、良ければ飲め」
静かに、しばらく静かに二人の茶を啜る音と、茶菓子を齧る音だけが響く。
「……オルフが。お前の加護も求めた時は、驚いたぞ。それに対して快く与えたことも、そうだ」
ぽつりと、神へ参詣してきた時のことを語り始めるロッゾ。
「俺は何も、人族を根絶やしに。サテラに嫌われたい訳ではないのだ。ロッゾ。魔王を倒すのが”火”の勇者や聖女でなければ良いのだ。過度な信仰の集中。サテラが、俺を見てくれる暇が出来れば良いだけなのだ」
「歪んでいるな。そんな愛情を向けられたサテラに同情だな。とんだ夫婦関係だ。オルフが魔に、魔物の本能に染まると知っても加護を。求められたとはいえ、与えたのは、そういうことか?」
その発言を聞いて、フードの奥、紅蓮の瞳を輝かせ、声なき笑いを押し隠すように肩で嗤ってみせる。
「お前に夫婦関係について言われるとは思わなかったぞ。ロッゾ。お前のところの夫婦関係も冷めきって、特殊ではないか。そんなに、オルフが神になるのは嫌か?」
男神と女神で別れる、それぞれの属性の神々は、一種の夫婦のような関係を保っている。
一人で二人、特殊な風の神サンタナ以外は、サテラ・ジャミラ、アスラ・ロッゾ、エルザ・キッドと一対なのだ。
「そんなことはない。俺もオルフは気に入っている。アスラに関しても、いくら浮気しようが、いくら穢れようが、最終的に俺の隣に居さえすれば良いと思っている」
「俺がアントラ。今はマンダラか。あいつに助言、助力してやったのは、火竜の頃までだ。その頃にはオルフ。あいつの成長が目覚ましい。色々とイレギュラーで”無”の素養も有ったし、アスラの肩入れも有った。オルフが魔王を倒してもいいと考えているし、出来ると思えた頃だ」
ロッゾの返答を聞き、ジャミラがマンダラとオルフのことを語り始める。
「その頃に、オルフに加護を。助力してやっても良かったのだ。ロッゾ。だが、アレクセイの精神が覚醒する前では無理だ。スノウのように魔物に支配される。魔王側に付く。重ねて言うが、人族を根絶やしにしたい訳でも、サテラに嫌われたい訳でもないのだ」
「1匹のパールに2人の聖人。数でも質でもオルフが、オルフの精神が、人族を見放す要素が無くなるって訳」
いつの間にやら現れた風の神サンタナが、用意されていた茶菓子を食べながら座っていた。
「健全な肉体で無くなったマンダラが、友好派から強硬派になった時点で見放して、人族のオルフに鞍替え。まあ、そのオルフも健全な肉体では無くなってきてるって訳、だけどね」
「忠告はしたぞ。サンタナ。2回。良くて3回だけ全力を出してもいいとな。それ以上となると、完全に神となる。下界に留まれんとな。髪の変色は精神の変化ではなく、見たまま肉体の変化だと忠告した」
間近でマンダラの変化、オルフの変化を見守ってきていた神の総括。
「どちらにしても楽しみだよ。今まで楽しませてもらった。魔王と勇者には、楽しませてもらった。どっちが勝っても楽しめそうだ。やっぱり運命が決まりきっているよりも、”変化”のある筋書きのない物語のほうが好きだなって訳」
「スノウになる魂を保護し、オスカーにマンダラの毒を売りつけ、オルフに助力して、エルザを引き会わせて、ヒルダをオルフの防波堤にして。色々と、お膳立てをしてきたかいが有ったって訳」
優しく、朗らかに、無邪気に、満面の笑みを浮かべて、茶菓子を頬張る……。
次が、最終章になります。
出来るだけ早く、四月末か五月の始めに再開しようと思っています。
お互いに、コロナに負けず、ご自愛くださいますようお願いいたします。




