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魔狼の恩返し  作者: 花畑
5・勇者会合~王都襲撃~
55/89

全てを無かったことに……

この章では”異世界転生の駄目な例”が出てきますが、特定の作者様や作品を批難したり貶したりする意図は無いことを御理解ください。

 死にゆく者と、()()()()死にゆく者の、最期の別れ。


 武人の情けとして、心ゆくまで別れを惜しむが良い……。

 冥府にて、再びの再会を喜ぶが良い……。



 ーーーーーー



「ごめんなさい……駄目ね。しっかりしなくちゃって、思う……けど。何処か……抜けてるのが悪い癖」


 そんなことはない……それが、ヒルダの可愛げ……完璧ではないけど、真面目なヒルダだから……()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()の一人が、過失も失態も無いのに謝罪する。


「オルフ。知ってた? 私、風の神(サンタナ)様の信徒なの。……自由で……変化を、楽しい事を優先するのが好きなの」


 ()()()()()()……ヒルダを孤児院から雇い、引き取る時に、聞かせてくれたね。

 領土を離れてまで、()()()()()()()()()()メイドが、死にゆく。


「貴方の無事を祈るのには……氷の女神(アスラ)様が、良いよね。サンタナ様も変化が、お好き。……私、1人くらい……貴方の為に…………


 ()()()()()()()ヒルダの瞳から、光が、命が、輝きが失われる……。

 尊き、愛する、守るべき、我が領民の命が散る……。



 ーーーーーー



「何故だ!!? 何故、立てる!!!?」


 勝利を確信していた(われ)の眼前に、驚愕の光景が広がっている!

 立ち上がることも出来ずに、上体を起こすのが精一杯だった男が、死にゆく女の下に這って行くしかなかった男が!!


「別れを待っていて貰ったのに、申し訳ないが……。『守るべき領民を、よくも!!』 俺は、此処では終われない!! 『ヒルダの仇を討たせてもらう!!!』」


 幽鬼のように立ち上がり、()()()()()で語られる嘆きの、憤怒の、決意の咆哮!!

 黒き髪を白く染め上げ、向けられる冷たき、鋭い視線に、この我が()()を覚える!!!?



 ーーーーーー



「……凄い。流石は、(オルフ)様だ……」


 ”鬼火”の乱射による避難所(教会)の崩落を、レオナさんの魔法(錬金術)による土壁と”黒獅子”兵団の方々からの身を挺しての防御によって、事なきを得た私。

 ()()()()()()()ロンさんの視線の先を見る……。


「……オルフ」


 オルフが哭いている……。

 私の愛しいオルフが慟哭しながら、怒りを、嘆きを、悔いを、元凶である四天王”鬼火”のウィルに叩きこんでいる。


「ヒルダは!? ヒルダ!!!」


「熱い」と、うわ言を言っていた私の為に、水を取りに行っていたヒルダが見当たらなかった……。



 ーーーーーー



 魔狼(パール)の魂をユニーク・スキル【狼の魂】として転生するオスカー・ヴォルフの魂に詰め込むことで産まれた前世(シルバ)

 では、シルバの魂を【人狼の魂】として、()()()の転生に忍ばせたのか?



 ーーユニーク・スキル【氷の女神の化身(アスラ化)】ーー



 命を賭けてまで領民の脅威(魔狼だった俺)と戦ったオスカー・ヴォルフと、ヒルダさんを幼い頃から知る()()()()()()()()()()が、領民(ヒルダ)の死に憤怒する!!!

 自分が自分で無くなるような感覚に陥りながら、二人の怒りに押されるように身体を、魔力を、スキルを躍動させる!!!



「楽しい!! 出し惜しんでいたとは、人が悪い!! 実に、楽しいぞ!!!」


 今まで、俺かカリン嬢が魔法によって冷やすか濡らすかしてから、強力な攻撃をしなくては傷一つ付かなかったウィルの外皮が、魔剣・(ファング)()()で傷ついていく。

 満身創痍、枯渇した魔力を、俺の中の二人の魂が、変化した神々の恩寵(ユニーク・スキル)が補い、限界を超えて攻撃する!!


「速い!! ジョイフルには及ばんが、直線的では無い分! 捉え切れぬ!! フハハハハハ!! 愉快、愉快!!」


 俺の全力に耐えうるように(あつら)えた剣が、鎧が、限界を超えた能力に悲鳴を上げ始める……。

 外皮の一枚を剥がす毎に、剣に亀裂が、縦横無尽に疾駆することで、鎧も同じように亀裂が入り始める……。


「楽しいが、時間を掛けている訳にも、いかん!!」


 装備以前に命の前借り、()()()()()()()の状態が長く続くとも思えないので、こちらとしても時間は無駄には出来ない!!

 ”鬼火”のウィルの見据える先には避難所(教会)の跡、瓦礫に埋まり動けぬ、怪我をして動けぬ避難民を、()()()()()()()()!!!


「その速さなら躱せるだろうな? ()()()()()()!!」


 先程と違って前方にだけ、教会跡に向けてだけ、”鬼火”の射出口を、死を(いざな)う射出口を向ける!!

 咄嗟に、庇うように射線上に立ちふさがる!!!


死へ誘う鬼火(ウィルオー・ウィスプ)!!!」


 今、再びの()()()()()()()()()()…………



 ーーーーーー

 ーーーーー

 ーーーー

 ーーー

 ーー


 ー




 其処にあるのは”無”の渦。


 無属性の魔力ではなく、正真正銘の”無”の魔力。

 ”霧”を生み出したように、出した氷と火を、ぶつけ合わせたのではなく、放出する前から()()()()()()ことで生まれる”無”。

 基本的に、相反する属性持ちが居ない理由は、神々の仲が悪いだけではない。


「フハハハハハ!!! どこまでも!! どこまでも楽しませてくれる!!!! 名を! 名を聞こう!!」


 ベラ嬢の放った魔法のように消滅させるのではなく、全てを()()()()()()()()ことにする”無”属性。

 この魔法に”鬼火”を全て、()()()()ことにされても、高らかに笑う。


「……オルフ。お前を倒す男の。『守るべきヒルダ(領民)を殺された男の』……名前だ!!!」


 相反する属性を極限まで高めることで生まれる、神々さえも消し去る危険を孕んだ禁忌の”無”。

 それを凝縮して、憎き怨敵”鬼火”のウィルに叩きこむ!!!



始まらぬ終わり(ナッシング)!!!!」



 ウィルを、襲撃を、全てを()()()()ことにする願いを込めた一撃が炸裂する……。







稚拙な文章を読んでいただいて、ありがとうございます。


次回は明日の午前6時に投稿します。

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