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魔狼の恩返し  作者: 花畑
5・勇者会合~王都襲撃~
45/89

黒⇔白

この章では”異世界転生の駄目な例”が出てきますが、特定の作者様や作品を批難したり貶したりする意図は無いことを御理解ください。


冒頭の謎ポエムは、作中のキャラの物です。

今まで読んで下さった方への、後のちょっとした伏線です。

 ()()()のが、好き。


 季節が、場所が、周囲の人々が、時間が、変わるのが、好き。



 だから、()()()()貴方も、好き……。



 ーーーーーー



「馬車は楽だけど、流石に王都までは暇ね。暇ならコレね。コレに限るわ。簡単だし、流行ってる。ルールは説明してあげる。単純だけど、面白いわよ」


 勇者会合に参加する為に王都に向かう馬車での長旅。

 基本的に、男女で別れて二組の馬車で向かう道中で、退屈を持て余したレオナさんが何かを取り出してくる。


「前に居た王都で流行っているのよ。()()()と言うらしいわ。本当か嘘か分からないけど、()()()から転生した第4王子が発明したらしいわ」


「異世界から転生!? それは珍妙ですわ!!」


「聞いたことあります。でも、ソレって、第4王子の印が無いのは違法じゃなかったですか? 誰かに見つかれば……」


 純粋に、異世界転生に興味を抱くサラさんとは対照的に、取り出されたオセロに怪訝な顔のヒルダ。

 ヒルダの言う通り、レオナさんが取り出したオセロは銀で出来た高価そうな物だけど、飾り気は無く、印なんて何処にも無い。


()()()()()()()()、ね。構造、ルール自体は単純だから、広まれば簡単に作れるのを防ぐ悪法ね。お茶会(パーティー)!」


 オセロを触りながら、レオナさんが魔力を込めて発言した途端に、形を変えるオセロ。


「技術、発想は広く世間に広まって然るべきと考えているわ。封鎖的な錬金術を学んだから、余計にね。特許料は有って然るべきとは思うけど、コレは高すぎ。それに、本当に王子が発明したとも思わない。思えないからね」


 飾り気は無いが、普段使いには申し分ない()()()()()()()()を手に持ちながら、気だるげに発言する。


「もし、コレを。例えば、サラちゃんが発明したなら疑わない。単純明快だから、思いつけば簡単よ。だけど、()()()()()()は別。本人は自分考案で、異世界にも広めたと言っているけど、どうだかね……。遊戯(プレイ)!」


 当初の予定通りに、私に説明する為に戻したオセロをレオナさんと私の間に置いて、説明してくれる。


「本当に本人が異世界で広めたのか確かめようが無いのに、疑われるような事前情報を流すような間抜けに発想出来るとは思えない。”99の努力と1の発想”が肝心。それが、私の師匠の教えだからね。」


 聞く人が聞けば”不敬”になる発言を聞きながら第四王子が、どんな人物かと考えていた……。



 ーーーーーー



「魔力を込めて、決められた言葉を言えば”鎧”に変化します。これなら街中でも、屋敷でも、常に身に着けておけます。どうでしょうか? オルフ様」


 自身にとって、神のような存在の俺の言葉を、お褒めの言葉を待つ子犬のように待ち構えるロン。


完璧(パーフェクト)だ。ロン。レオナにも良い仕事ぶりだと言わなくてはな」


 鍛冶の仕事で鍛え上げられた精悍な容姿とは裏腹に、少年のような笑顔で照れる。


「鎧の意匠(デザイン)も良い。普段の意匠も。オシャンティー」


 額当てになる耳飾り、胸当てになる首飾り、手甲になる腕輪、腰当て・脚甲になるバックル、鎧の時の意匠の全てが、狼を意識した意匠なのが気に入ったスノウが、さらに褒める。

 二台の馬車に揺られながら、完成した防具の説明を受けながらの一幕だ。

 前方の馬車に俺、スノウ、ロン、キリバが乗り込み、後方にベラ嬢、ヒルダさん、レオナ、サラが乗り込んでいる。



「終わったのなら、次は(それがし)が、(おきな)から送られた祝いの品を説明しよう」


 前回の報酬の魔剣のことを考えても、送られた祝いの首飾りが()()の品々でないのは明白だった。



「スノウ殿に送られたのは”預かり(キーパー)”という品だ。所持者の魔法を1つだけ入れておける。同時に副属性を使えぬスノウ殿の助けになればとの心遣いだ」


「感謝。感謝」


 淡泊に答えているが、貰った品を指で(せわ)しなく弾いているのを見ると、かなり喜んでいるようだ。


「次にオルフ殿には、”深紅(クリムゾン)”という品だ。これは単純に火の魔力を高めてくれる。流石にフランベル程とは言えないが。()()が取れるようにとの心遣いだ」


 スノウと二人で白い球のキーパー、紅い球のクリムゾンを首から下げながら、キリバの説明を聞く。

 流石は、四天王ドナテロの情報収集能力に冷や汗が止まらない思いだ。



「終わったんでしたら、コレ。やってみませんか? 王都で流行ってて」


 話が一段落ついた頃に、ロンが()()を出してきた。



 ーーーーーー



 祝いの品を持ってきてから二度目の驚愕の光景が、其処には在った……。


「ーーっ!??」


 自身の髪の色の割合で、一番多い”黒”を選んだにも拘わらず、盤面には”白”しか無く、声にならない声を上げ、苦悶の表情のオルフ殿。

 オルフ殿の相手である、同じ初心者のスノウ殿が、普段は見せないだろう満面の笑みで勝ち誇っている。


「弱い。弱すぎる。でも、大丈夫。どんなにオルフが弱くても、好き」


 戦いでは、的確な指示、作戦を考え、実行し、成功させてきたオルフ殿の意外な弱点。

 実戦では冷静で対応力も有り、二手も三手も先を読んでくるが、反面、遊戯に弱く熱くなりやすい。


「次ぃ!!」


 次の相手に、横でルールを聞いていただけの某が指名される……。





 オルフ殿は、この日は一回も勝てずに終わった……。







稚拙な文章を読んで頂いて、ありがとうございます。


次回は明日の午前2時に投稿します。

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