王都招集
ここまでの簡易あらすじ
神の決めた運命の修正の為に転生を繰り返す、元は魔物の主人公の少年オルフ。
前世での恩人達の娘のために、魔王と戦う運命を肩代わりをしようと決意する。
神の領域にまで強くなるために変わる肉体に、増大する前世の魔物の本性に翻弄されながら、恩返しのために奮闘する。
冒頭の謎ポエムは、作中のキャラの物です。
今まで読んで下さった方への、後のちょっとした伏線です。
変えられるのが、好き。
貴方の手で変えられる、変わっていくのが、好き。
でも、貴方は変わって欲しくない……。
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「話をする前に、オルフ。スノウ君。15歳、おめでとう」
成人祝いのパーティーから数日が経ち、エルネスト伯が格下であるベラ嬢の屋敷に来訪した。
用事や依頼が有るにせよ、爵位の上下を超越するというのは特別だ。
どんな要件なのか分からないベラ嬢は緊張しているようだが、事前に察しが付いていた俺は、エルネスト伯の言葉を静かに聞いていた。
「突然の来訪に緊張するだろうが、悪い話では無い。知らぬだろうが、長らく不在だった”雷”の適格者が現れた。勇者会合が開かれる」
「まあ! 雷の勇者が現れたんですか!?」
数十年、不在だった人類の救世主、四勇者の最後の一人、雷の勇者の出現に、他人事のように喜ぶベラ嬢。
「ついては、火の勇者であるイザベラ卿を御連れするように、国王から仰せつかった。急で悪いが至急、支度をしてくれないか?」
「えええ!?? 私が勇者!???? ええええ」
『ルギスに、ようやく適格者が現れたか。他のモノ達にも、久しぶりに再会できそうじゃ』
初代勇者達が使ったとされる、火の宝剣・フランベル、水の宝杖・ディーヴァ、土の宝盾・ワルター、雷の宝斧・ルギス。
それらの四大聖具の声が聞こえる者達を、一般的に勇者として認識されている。
幼い時に貴族の両親を亡くし、先代の当主の横暴で爵位が落ち、横の繋がりが希薄で世間の常識に疎いベラ嬢が、突然の情報に驚きを隠せないでいた。
「……やはり知らなかったか。先代から教育が無いのは知っていた。そういった報告や連絡は、私の所に来るように手配していたんだ。今回は、イザベラ卿が参加しない訳には、いかないからね。連絡が遅れて、申し訳ない」
ちょっとしたパーティー等、勇者を呼ぶことで”箔”を付けたい下種な誘いをエルネスト伯は、勉強不足なベラ嬢の代わりに断ってくれていたのだ。
今回だって、もっと前から連絡出来たのだろうが、俺とスノウの祝いの前に心が乱れぬように、終わってから伝えてくれるという心遣い。
エルネスト伯と良好な関係を築いたことは、やはり正解だった。
(帰郷の前に見た書簡。アレが、今回の招集の報告だろう。エルネスト伯には、感謝しかない)
「連絡は伝え終わったが、1つ聞きたい。……知らぬ顔だが、彼は誰だい?」
冒険者風の粗野な格好をしているが、まるで貴族の従者が堂に入っているように、堂々と部屋の片隅で立っていたキリバを見て、エルネスト伯が聞く。
「帰郷の際に、冒険者として受けた依頼の依頼主の孫です。依頼結果に大満足したようで、俺とスノウが成人すると聞いて、祝いの品を持参してきてくれたのです」
「では、此処で暮らす訳では無いのだね。ボイサーの有名人では無いのだね?」
俺が何かする度に、様々な者達が集まってくる。
ボイサーで有名だった俺、タタラで有望株だったサラ、国で1、2を争う凄腕錬金術士のレオナが、エルネスト伯の管轄領地で在るベラ嬢の下に集まってきている。
各地の有力者や権力者からの嫉妬や羨望に、心労が重なっているのだろう。
過剰に新顔を警戒しているようだ。
「某は、他に主を持つ身。オルフ殿に恩義は有れど、帰らねばなりません。この後、主の命で王都に所用が有り、良い機会ですので。オルフ殿に同道しようかと考えております」
ドナテロからの祝いの品と、雷の適格者と勇者会合の情報を伝えに来たキリバが、まだまだ幼いキリバが口を滑らせたことも気付かずに答えていた。
いや、口を滑らせることも理解してのドナテロからの忠告なのだろう。
魔物であるキリバが、王都に用事が有る。
勇者会合の為に魔物の怨敵、四勇者の適格者達が一堂に会する王都にだ……。
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”男子三日会わざれば刮目して見よ”とは、誰の言葉であっただろうか。
翁から託されたオルフ殿、スノウ殿への成人祝いの品を持ってきて、驚愕した。
サラ殿は気付いていないのだろうか、強さに重きを置く魔物だからこそ気付ける両者の豹変。
(いくら、幼い某とはいえ。これは尋常では無いと分かる。ボイサーで別れてから、1月も経っていないのに……。オルフ殿もスノウ殿、両者の力量が以前と比べて、格段に上昇している。特に、オルフ殿……)
まだ幼く経験不足の某には、底を推し量ることすら憚られる強者の化け物達”四天王”
それに勝るとも劣らない程に増大したオルフ殿の力量に、肝が冷えるのを感じざるを得ない……。
投稿、再開です。
この章では”異世界転生の駄目な例”が出てきますが、特定の作者様や作品を批難したり貶したりする意図は無いことを御理解ください。
次回は明日の同じ時間に投稿します。




