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魔狼の恩返し  作者: 花畑
4・狼の帰郷
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エピローグ

四章、完結。


漫画雑誌で例えると、打ち切り回。アニメで例えると、一期の最終回的な話です。

「2回も御馳走(パーティー)なんて!? 生きてて良かったですわー!」


 サラさんの陽気な声が、オルフとスノウさんの成人祝いの会場に響き渡る。

 早めの成人祝いをオルフの育った孤児院で済ませた後、屋敷に帰ってきてから、本当の本祝いをするために、屋敷の皆で会場の準備をしている。


「スノウ」


「ん。オルフ」


 熟年夫婦のような阿吽の呼吸で、的確に飾りを取り付けていくオルフとスノウさん。



細工(ワーク)! 細工(ワーク)! 細工(ワーク)! 細工(ワーク)!」


「オルフ様の祝いだからって、張り切り過ぎですよ!? 素材を持ってくるのが間に合わないよ。レオナさん」


 鬼気迫る勢いで錬金術を駆使し、飾りを量産していくレオナさんとロンさん。



「どんどん出来るから、どんどん持ってってくれ!」


「あいよ! 任せろってんだ!!」


「こら! 言葉遣い!」


 厨房から会場まで、料理を次々と運んでくるヒルダとレミとロイさん。



「あら? 成人するから、おめかし? あんな所も()()()()でしたかしら? オシャンティーですわ」


 サラさんが、オルフの()()()白くなった後ろ髪の一房に気づいて、お洒落だと褒める。

 私も、お洒落だと思うけれど、それ以上に白くなってから、どこか思いつめた表情をするようになったオルフを心配する。

 今にも消え入りそうな、オルフがオルフで無くなるような焦燥感。



 オルフが私の下を去っていくような、一抹の不安……。




 ーーーーーー



 奥深い森の中の、雷鳴轟く厚い厚い暗雲が立ち込める古城の一室。

 一辺だけが酷く離れた歪な五角形(ペンタゴン)の会議机に集まる面々。

 二つ名だけでなく、四天王の証である異名持ちの三つ名(トライ・ネーム)の面々が居た。



 ーー四天王・序列2位”水瓶(みずがめ)”のドナテロ~創造(クリエイト)~ーー


「そう云えば、この前、サラ嬢に()うたぞ。鬼火の~。振られたようじゃのう? なかなか良い配下じゃったのに、人間に靡かれるとはのー」


 真の姿では会議室に入れないので、人化しているせいもあり、好々爺に皮肉られる光景は屈辱的に映る。



 ーー四天王・序列1位”鬼火(おにび)”のウィル~武神(マーズ)~ーー


「……(われ)に配下など居ない。戦闘の際に敵味方は関係なく、ことごとく消し炭になるからな。……あの女はマシな方だったが、所詮は女。命が惜しかったのだろうよ」


 マグマが冷えたような外皮を鎧のように纏い、関節の僅かな隙間、目、口などの穴から蒼白い鬼火の炎が見え隠れする三メートル近い巨漢の戦士。

 天上天下唯我独尊、自分以外のことは些末なことのように、ドナテロの皮肉は効いていないように見える。


「そうそう。サラ嬢を連れていた人間は、おヌシの自慢の配下の白銀装備を逆用しとったぞ。せっかくワシが作ってやったのに、奪われるとは何事じゃ?」


反応が薄かったのが面白くなかったのか、ドナテロの矛先が別に移る。



 ーー四天王・序列3位”泥土(でいど)”のマンダラ~策謀(スキーム)~ーー


「~創造~の名に相応しい働きには、常に感謝していますよ。見かけられたのでしたら、ご自分の手で取り返してみてわ? ドナテロ様も配下が1人。その人間に靡いたようですが、他人にとやかく言えるのですか?」


 見た目は荘厳な聖銀(ミスリル)で出来たフル・プレートの鎧を身に纏った聖騎士然とした二メートル近い騎士だが、聖銀でも打ち消せぬ瘴気が漏れ出している。


()()は偵察じゃ。手強い相手の挙動を報告させる為に、近くに配置しておるに過ぎん。装備については、ワシの管轄で悪さしておった()()()()()()を退治してくれおったでな。()()()()()()ことにしたんじゃ」


 皮肉に皮肉を返したら、また皮肉と()()が返ってきたことに、マンダラの鎧の奥の瞳が鈍く光る。



 ーー四天王・序列4位”遠雷(えんらい)”のジョイフル~将軍(ジェネラル)~ーー


「へーい! ()り合おうってんなら歓迎だが、そんな理由で集まったんじゃねえヨな!?」


 ドナテロ同様に人化している為、威厳を感じない、いかにも軽薄そうな金髪の若者が楽器を片手に忠告をする。

 見た目に反して、会議の進行に一番の貢献をしているのだから、見かけには寄らない優男である。



「私の斥候が、人族に動きが有ったのを確認しました。人族の代表。憎き4勇者。長らく不在だった”雷”の勇者の適格者が現れたので、数十年ぶりの()()()()が開催されるようです」


「知ってるゼ~! 俺っちと同じ”雷”で、なかなかに()()なメーン、らしいじゃないのヨ!」


 初代の勇者達が使ったとされる四つの聖具の適格者を”勇者”と、世間一般では呼ばれる。

 年に一度、四人の勇者が集まり、魔族への進行の計画を立てる勇者会合は、長らく”雷”の適格者が出なかった為、開催されていなかった。


「怨敵が一堂に集まる訳だ。そこを叩けば、一網打尽」


「だからこそ、各陣営で動かせる手勢を絞り出し、総攻撃をするために集まったのじゃったな」


 先日のドナテロとマンダラの小競り合いを代表するように、四天王も一枚岩ではない。

 領地を離れて出兵となれば、他の四天王に侵略される危険性が有るため、()()()()()四天王が出ることはない。


「我の勢力は、我1人のみ! 我が出よう!!」


「新しい勇者は面白い奴だって聞いてるじゃん! 会いてえから、俺っちも行くゼ!!」


 強すぎる為、隣に並び立つ配下が居ないウィルに出せるのは、自分自身のみ。

 しかし、強すぎる為、いくら領地を取られようとも力づくで取り返すのも容易なので、そのフットワークは見た目に反して軽い。


 一方、~将軍~の異名を持つジョイフルは、その名に恥じぬカリスマ性で多くの配下、部下が大勢居る為、留守を気軽に任せられるが、自身が気分屋な事から出てくることは少ない。

 今回は”雷”の勇者に興味が有ったので、出兵する気になったようだ。


「勇者でないが、(くだん)の人間の小僧も、なかなかの強者じゃ。小僧は珍しき氷。情報の少ない雷の勇者の実力は未知数。水属性の多いワシからは出せる手駒が少ないでな。今回は裏方に徹することにしようかの」


「同じく。相性が悪い相手が多すぎます。こちらとしても、モータルの後釜も育ちきっていないので、出せる配下が少ない。今回は(けん)にさせてもらいますよ」


 お互いに小競り合いをしたせいもあり、前へ出るどころか、前線に部下を送るのさえ渋ってしまっていた。

 魔族側には問題だが、人族にとっては朗報なこと、この上なかった。

 しかし、四天王が同時に二人で襲撃に来るという凶報の前には、焼け石に水なのだ。



『決まったようですね……』


 透き通るような、決して大きくない声量だが会議室の端まで届く凛とした声に姿勢を正し、声をした方向を全員が向く。

 歪な五角形の机の一番遠い一辺に座る、ただ一人の人物。



 ーー魔王”朧月(おぼろづき)”のルナ~支配(ルール)~ーー


 光に溶け込むような鮮やかな金髪の長髪、爛々と輝く紫の瞳、鮮血のように紅いドレス、白雪のような清らかな肌。

 漆黒などに溶け込みようのない可憐な少女が、四天王から離れた机の先で会議室の闇に溶け込んでいる様は、異様と言わざるを得ない。


『それでは、決まったようですので。各自に、武運を祈ります』


「「「「ハッ!! 魔王様の仰せのままに!!!」」」」


 作戦会議が終わり、魔王の号令をもって行動が開始される。



『ドナテロ……』


「ハッ! 姫様。なんじゃいの?」


 会議が終わり、続々と四天王が退出する中で、魔王がドナテロを呼び止める。

 先代の代から仕えていたドナテロだけが、魔王を”姫様”と呼ぶことを許されている。


『本当に、氷の少年が火竜(サラ)や貴方の配下と仲良しなの? 人族なんでしょ?』


「不思議な小僧でしてな。人族なのに人族らしくなく。というか、人族の理想形ですな。石ころの中の聖銀と言うべきかの。恩義に厚く、寛容じゃ。ここだけの話、ワシとしても戦いたくは無いの。2つの意味での」


 長年、四天王として他者の上に立ち、指導や指示をしてきたドナテロは他者を評価する時に、基本的には肯定なことを言うように心がけている。

 それでも、ここまでの好評価を言うことは少ない。

 それが敵側である人族の少年のことなのだから、魔王でなくとも気になるのは仕方のないこと。


『その子のこと、詳しく教えて。ドナ爺』



 これが、魔王の関心をオルフが集めた瞬間であった……。







稚拙な文章を読んで頂いて、ありがとうございます。


前書きで、打ち切り回と書きましたが終わる訳ではないです。

区切りが良いのと書き貯めが尽きて来たので更新は、しばらく休みです。

休んでいる間に書き貯めをして、遅くても三月の終わりまでには再開しようと思っています。


新規読者を獲得する為の四章までのキャラ紹介は書き上げてありますので、今日の昼の正午に投稿します。


読んで頂いた皆さんの貴重な時間をありがとうございます。

また、再開しましたら読んでください。


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