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魔狼の恩返し  作者: 花畑
4・狼の帰郷
38/89

ボイサーの冒険者

新キャラの二つ名は、あえて明言していません。

伏線です。


色々、考えてみてください。

「追い込みましたわ!!」


 人化を緩め、空を飛び、依頼目標である極彩鳥(ごくさいちょう)に斬りかかるサラ。

 その手にはドナテロからの報酬の大剣・干魃(かんばつ)が握られている。



 ーー魔剣・干魃・ーー


 熱を加えれば加える程、硬く強靭になる大剣。

 逆に濡らしたり、冷やすと脆くなる。


 ーーーーーー



 俺と共に行動するサラは、人前で火竜(真の姿)になれない為、人の姿で戦う事が多くなるだろう。

 並大抵の武具では、元は火竜の怪力に耐えられないだろうと、渡された報酬だ。


「すっごい丈夫!! すっごい丈夫ですわ!!!」


 今まで何本も武器を振り回すだけで壊していたサラは、初めての武器での討伐に興奮気味だ。

 討伐した魔物の横で、手を振るように大剣を振り回して笑顔を向けてくる。


「確かに。凄い武器。嬉しい」


 スノウも報酬の武器の性能を確かめるように、極彩鳥の解体をし始めた。



 ーー魔剣・風月、水月・ーー


 自己修復する一対の短刀の夫婦剣。

 風月が風、水月が水の魔力を吸うことで自己修復する。


 ーーーーーー



 エルフだが前世が魔狼のせいか、弓が苦手なスノウに風月を与えることにした。

 俺はメイン武器の(ファング)のサイド武器として水月を貰うことにした。


「夫婦。奥さん。夫婦。妻。婦人」


 互いの属性や状況を考慮して、報酬を分けただけなのだが"夫婦剣"を互いに持っているのが嬉しいらしく、不思議な鼻歌混じりに解体している。

 喜んでくれているから、細かいことは抜きにしよう。



「報酬を前払いした故、失敗は許されぬぞ」


 御目付役であるドナテロの配下の褐色の青年が、敵意剥き出しの眼光で威圧してくる。

 俺に対する敵意に解体の手を止め、スノウが様子を窺っているのを手で静止する。


「キリバと言ったか。人化しているせいかな。なんか分かるよ。()()()()を見ているようだ。肩の力を抜いた方が良い。仕事は、ちゃんとするから」


 ”センコウ”のキリバと名乗った配下の青年は、ドナテロに対して臣下以外の忠義をしているようだ。

 人化している為、その表情がモータルと戦う前の俺にソックリだと思った。


「ふん! 分かっているなら()い。それに(それがし)のことは大きなお世話だ」


 元々、ドナテロが適当な冒険者を向かわせて、原因の排除をキリバ一人に任せるつもりなくらいの実力者な上に、協力的な俺達まで居るのだから失敗の可能性は低い。

 それなのに過剰に緊張しているキリバに危うい感じを受けながらも、先に進む。



 源泉の近くに生息している"極彩鳥の尾羽"を納品するという依頼を達成する際に、源泉近くに居た謎の魔物を冒険者達が倒した。というのが、一連の計画だ。

 偽の依頼である尾羽は確保したので、後はドナテロ以外の四天王の配下を探すだけだ。


「他の四天王の配下って、どの四天王なんだ? 戦う前に少しでも情報が欲しい」


「貴様が知る必要を感じん。戦いは某に任せて、足手まといにならぬよう下がっておれば良い」


 こちらとしても、武器の魔剣・牙はレオナとロンが完成してくれたが、防具は未完成な上に預けてきている。

 万全を期して臨む為にも、少しでも情報が欲しかったのだが、会話が続かない。


「ズルいですわ! ようやく(わたくし)に相応しい武器を手に入れたのに! もっと試したいですわ! それにしても人化が、お上手ね。師はドナ爺? なら、私は姉弟子ね。姉弟子に教えなさい。どの四天王の配下なの!?」


 流石は六歳児と言うべきか、空気を読まないサラがグイグイ詰め寄り、キリバを圧倒していく。

 姉弟子という言葉に、忠義や忠節を重んじてそうなキリバは態度を軟化させる。


「姉弟子ということなら礼節を持って接しよう。某にも、どの配下か教えて下さらん。問題が起きた時に知らない方が良いという判断なのだろうと推察する」


「ふーん。そういうものなんですの? ドナ爺の配下なら、貴方は水属性なの? 戦う前に知りたいですわ。私の武器は濡らすと駄目みたいですし」


 いずれ、敵になるかもしれない相手が手の内を簡単に明かすとは思えな……


「強いて言うなら土だが、某は外に魔力を出すのが苦手でな。自分に作用する魔法しか基本的に使えぬ故、濡らす心配は無いと思われるぞ」


 明かすのか!? 言っちゃうのかよ!??


「律儀。くそ真面目」


 スノウが無表情で分かりにくいが、阿保を見る目でキリバを見ている。


「まあ!? じゃあ、身体強化だけで配下にまで!? 凄いですわ! 尊敬ですわ!!」


「魔力を外に出せぬ故に()()()()と呼ばれて馬鹿にされてきた幼少の某を重用して下さった(おきな)の為にも、失敗は出来んのだ」


 つまりは恩返しの為にドナテロに仕えている訳で、ますます俺に似ている。

 立場、勢力が同じなら気が合ったかもしれないなと仲良さげに話すキリバとサラの後姿を眺めながら思いを馳せる。



 硫黄臭が立ち込める源泉付近、索敵のために上空から現場を確認してきたスノウが降りてくる。


「居た。護衛も数体。源泉に魚? 周りに人蛇(ナーガ)


(また爬虫類が相手か。前世でモータルを殺した呪いか? まさに”不滅”な奴だ)


 本命は源泉に居るという魚? らしき魔物だろうから、本当に呪いという訳ではないのだろう。

 昼頃に出発し、夕飯前には戻るとベラ嬢達とシスター・リョカには伝えてある。


「さっさと倒して、夕飯と()()ですわ!!」


 まったくの偶然だが、サラの言った「終わったら温泉」は、ボイサーの冒険者の依頼を片付ける時の決まり文句だ。

 昔のようにボイサーの冒険者に戻るのも悪くない。


「ああ! 終わったら夕飯と温泉だ!!」



 故郷の為の戦いが始まる……。







稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。


次回は午後1時に投稿します。

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