表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔狼の恩返し  作者: 花畑
4・狼の帰郷
34/89

帰郷

15歳(成人)前に、お世話になった孤児院に里帰りをしたいと思っております。長期のお暇を頂く許可を頂きたく存じます」


 レオナ達が仕事を受けてくれる条件の一つ、今生(オルフ)の育ての親への挨拶の為の許可を取るために、エルネスト伯と面会する。

 俺自身、節目となる成人前に里帰りは予定していたので、この条件は問題なかった。

 前世(シルバ)の両親に会う気が無いと云うのは嘘になるが、今さら会った所で困惑させるだけなので、遠くから見守るだけに留めている。


「火山の1件以降、魔物の被害も落ち着いているし、問題ないだろう。いくら”懐刀”とはいえ、過重労働させていては、領民の心象も良くないからね」


 エルネスト伯が、そう冗談めかして許可を快くしてくれた。


「とうとう、オルフも成人か。こうやって思い出さなければ、成人前だと云うことを忘れてしまうよ。それくらい君は、よく()()()()()


 それはベラ嬢になのか、伯になのか、聞くだけ野暮なのだろう。


「白銀の等級は与えたが……。成人したら時期を見て、辺境伯(私の権限)から爵位も考えている。領地が与えられないから法衣騎士爵になると思うが。考えておいてもらえるかな?」


 領地を持たない貴族は、爵位の前に”法衣”と付け、持つ貴族より下の扱いとなるが権利や権限は、基本的に同等となる。

 伯の権限なら子爵まで与えられるが、男爵(ベラ嬢)より下の騎士爵、領地を持たない法衣にすることで、今までの活動に問題ない配慮も忘れない。

 そして受ける受けないの選択権を与えることで、こちらの事情も考慮してくれている。


「大変、有り難い御申し出ですが。私の1存では決めかねます。持ち帰り、主君と相談の上で返答させて頂きます」


 貴族になるということは、今までのようにベラ嬢だけを優先する訳には、いかなくなる。

 魔王討伐のこともあり、ベラ嬢の自立の為にも離れることも考える時期でもある。



「お話し中、失礼致します。エルネスト様に書簡が届いております」


 話が一段落ついたタイミングを見計らったように、クラウスさんが書簡を届けに入ってきた。

 実際、見計らったのだろうし、会談中に入る行為をすると云うことは、それなりに緊急か重要な書簡なのだろう。


「報告は終わりましたので、これにて失礼いたします。帰ってきましたら、1番に御報告いたしますので。それでは……」


 書簡の確認の妨げにならぬよう、失礼の無いように退室する。



 退室の際に見えた書簡の封蠟の印は、王族からのようだった……。




 ーーーーーー



「今回ばかりは、なんと言われようと! 付いて行きますからね!!!」


「ええ、構いませんよ。そのつもりで、エルネスト伯に御報告しましたから」


 今回も置いて行かれると思っていたベラ嬢が、今回こそは!! と、息巻いて宣言したが肩透かしを喰らった顔をする。

 別に戦いになる訳でもなく、伯にベラ嬢の領地の運営代行の手配も御願いしてある。


「ええ? 今回は、新しい妾を増やす気は無いの……? いや!? でも……」


 何やら失礼なことをブツブツと呟いているが、無視しよう。


「火山! 温泉!! 美味しい料理!!! 楽しみですわぁ! どんな所でしょう!?」


「温泉。前、入れなかった。楽しみ」


 故郷の極東の領地・ギャバンは海に領地の大半が突き出しており、漁業が盛んな上、大小の火山が点在し、タタラのように製鉄の工業、温泉などの観光業も盛んな場所だ。


「変わった刀剣や防具が有るんですよね? 違う地域の鍛冶技術に触れられるなんて!!」


「普通は温泉に喜ぶのに、お前って奴は……。まあ、そこが良いっつうか。アタシは、温泉初めてだから楽しみだぜ」


「メイド長として、屋敷を守らなければイケないのに……。行きたい。でも、行けない。うがぁぁ!!」


「土産は、よく切れるって噂の包丁で良いぞお」


 今回の里帰りに付いてくる、付いてこない皆の会話を聞きながら、故郷に思いを馳せる。


「今の貴方の育った処が、どんな場所か楽しみ。貴方を育てた人が、どんな人か楽しみ。そういう事を全て知って、シルバ(オルフ)を好きになるのが楽しみ。また好きになれるのが、楽しみ」


 いつの間にか隣に来て、俺に肩を寄せるレオナを()()()()

 前は見下ろしていたが、今ではレオナの方が、頭一つ分くらい身長差が有るからだ。


()も楽しみだよ。あの時のように、また君に好きになってもらえるのか不安だけど。あの時の約束を、今度こそは守れそうで嬉しいよ」


 俺の中に残るシルバの部分を隠すことなく、レオナに伝える。


「ーーっ!? もう! 好き! 大好き!!」


 感極まったレオナに抱きしめられる。

 身長差、体格差によって、豊満な胸に包まれて呼吸が出来なくなる。


「オルフ!! 何してるのーーー!???」


「抜け駆け。駄目。絶対。そういうのは、最初の奥さんが済ませてから」


 ベラ嬢とスノウが、その様子を見て集まってくる。




 賑やかな俺たちの里帰りが、始まる……。







稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。


次回は明日の午後1時に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ