空を往き森に住む者
予約投稿です。
次回は午後1時に投稿します。
サラの真の姿のイメージは、ポケモンのリザードンです。
「人族に少ない氷属性ですから、今後の対策のために長く戦いたかった。ですが、私の命に届く攻撃が出来る上に悔しいですけれど、私より戦闘巧者。出し惜しみは止めますわ!!」
話に聞く竜の中でも小さい、五メートル程の身体の真の姿を現したサラ。
魔物の中でも上位種の竜である圧倒的な圧力が、火山の魔力をユニークで吸収して、更に増している。
(これ程とは!?? 勝てるのか!?)
有効な氷属性だとか経験や技術で勝っているだとか、そういった小手先の有利を捩じ伏せてくる圧倒的な実力を感じる。
(勝つには、こちらも圧倒的な攻撃。渾身の氷魔法か、サラも警戒しているコレでの攻撃しかない)
ーー魔剣・牙(試作)・ーー
魔狼の魔力を封じ込める白銀で作られた鉈のような形状の剣。
完成品なら切れ味向上と耐久向上が、常に発動するように錬金紋が刻まれているが、試作には耐久向上のみ。
完成品なら常時の二つの効果と任意で一つ効果を付与出来る予定だが、試作は最大二つが限界。
ーーーーーー
(試作のせいで全力を込めれば、剣も防具も壊れてしまう。耐久向上のおかげで、数回は剣を使えるだろうが……)
「何を考えてますの? 余裕が! 有りますのね!!」
考え込んだ隙に、巨体では考えられないくらいの速度で突進してくる。
「ーー!?? 速い!! 俺よりも!??」
ユニーク込みのサラは、速さが自慢の俺よりも速かった。
唯一の救いは、竜の姿になったことで手足が身体に反比例して、短くなったことで警戒を弱められることだけだ。
接近戦ならば、嚙み付きと尻尾を警戒することで捌ける。
接近戦ならば
「私の方が速くなりましたけど、やはり接近戦は貴方に分が有りそうですわね。その剣も怖いですし、接近戦は終わりですわ!!」
危険な接近戦に見切りをつけ、空へと飛びあがる。
先程と違い、巨大で強靭な体躯になったサラを半端な魔法では墜とすことは出来ないだろう。
「火の矢筒」
有利な上空から、大魔法を撃たせないように手数重視で、火の矢を無数に撃ち出す魔法を放ってくる。
墜とす魔法を撃つために、溜めの時間を稼ぐ必要が有る。
「蜃気楼」
氷と火の合わせ技の俺独自の魔法。
氷と火をぶつけ合わせて霧を発生させて、両方の属性の持つ熱に干渉する要素を巧く使い、幻影を生み出す魔法。
「ああ! もう!! 何処ですの!? 見たことも聞いたことも無い魔法を使うなんて!! 参考になりますけど! 鬱陶しいですわ!!!」
こんな状況なのに”貪欲”に学習し、強くなろうと励む姿勢は感心するが、おかげで時間が稼げた!!
「氷女神の鉄槌!!」
「ーー!??? 火竜の息吹!!!」
凄まじい氷の魔力を感じ、悲鳴を上げるように必死で抵抗するための魔法を放ってくる。
氷の上位魔法を使える二人分の人生の結晶である、神が使うレベルの最上級の一撃!
今の俺の魔力を全て消費した光線のような魔法とサラの渾身の魔法が鬩ぎ合う!!
「きゃああああああああああ!!???」
遂には押し負け、俺の魔法を寸でのところで直撃を回避したものの、かすった影響で体勢を崩して落下してくる。
魔力ポーションを飲みながら、落下地点で迎え撃つために牙を握りしめて駆け出す!!
「火の矢筒」
火山という火の魔力に満ち、氷の魔力が減退し易い状況のせいもあるのだろう。
落下直前で体勢を立て直したサラから、接近させまいと魔法が飛ぶ。
「蜃気楼」
「同じ手は! 喰らいません!!!」
落ちてくるまで、何度でも同じことを繰り返そうとしたが、ユニークに阻まれる。
ーー【貪欲】ーー
火山の魔力を手放し、蜃気楼に使う火の魔力を奪われる。
結果、サラは弱体化するが、蜃気楼は発動せず、火山に魔力が戻り、熱気が上がったせいで氷の魔力が減退し易くなってしまった。
「感謝しますわ! 良い勉強。良い経験。程よい窮地! これで私は更に強くなる!! ですが、これで詰み。貴方に勝てる見込みは有りません」
上空のサラを落とす手立てが無くなり、このままでは削られて終わる未来しか見えなかった。
「最後に貴方の名前を聞かせて頂戴。ここまで苦戦したのは久し振り。四天王以来かしら? 誇っていいですわ」
「……ヴォルフ家に仕える従者、オルフ。確かに俺の負けだ。だが、戦いを諦めた訳じゃない!」
俺は完全敗北した。
「オルフですね。覚えました。諦めないのは素敵ですけど、諦めも肝心ですわよ。でないと、優しく葬って差し上げられない!!」
だが、
俺達が負けた訳じゃない!!!
「空を往く者」
「えっ?」
突如として現れ、空に居る自分より上空に居る人物に気づいて驚く。
「圧し潰す暴風」
「ええええええええええええ!????」
飛ぶモノにとって天敵の風の魔法を受けて、あっけなく轟音とともに墜落した。
サラを叩き落とした人物が、それとは対照的に軽やかに着地する。
スキルを使って、匂いや気配で気づいていたのではなかった。
俺に込められた生前の魂が、番の魂の接近に気づいていたのだ。
「久しぶりだな。アスラ。元気にしてたか?」
「紛らわしいから。アスラ様から新しい名前もらった。スノウ。それが今の名前」
風の神のサンタナ様が加護を与えることが多いエルフに転生した生前の妻、アスラ改めスノウ。
生前と違い、髪は浅緑色になったが、俺と同じ日中の月のような水色の瞳。
封建的な種族だから、里から出る許しを貰い難く、合流が遅れるだろうことは前もって、サンタナ様から伝えられていた。
ようやく……ようやく、会えたのだ。
「イチャイチャは後。今はアレが先決」
「お前、口調変わってないか?」
「増援なんて聞いてませんわーーーー!!!??」
恐ろしい形相で立ち上がってくるが、もう恐れるものは何もない。
おしどり夫婦のコンビネーションを見せてやる!!
稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。




