男女平等パンチ
予約投稿です。
次回も同じ時間に投稿します。
『戦いは明日。人が来ない夜に。火山の火口で行いましょう。分かっているとは思いますが、来なくても構いません。私の目的はフランベルであって、貴方ではありません。貴方は、そう。前菜であって、フランベルでは無いのですから』
安い挑発で念を押したサラが去った後で、明日の決戦に備えて準備を開始する。
(確かに”貪欲”だ。格下と判断した相手でさえ、取りこぼすのは嫌か。前世の頃なら確かに格下だが、今の俺は簡単には行かないぞ)
ーーユニーク・スキル【人狼の魂】ーー
生前の能力の成長と引継ぎのスキル。
new・重複するスキル、魔法には能力が加算し強化される。
ーーーーーーー
パールの氷属性とオルフの氷属性、シルバの火属性とオルフの火属性の重複するモノが強化され、三つの人生の身体能力が合わさる強力なスキル。
加えて、錬金術により作っておいた複数の薬湯と二本の魔力・薬湯と、備えも有る。
(雪深いコユキ村と違って、温暖な此処で2年で2本か。あの時、レオナが頑張ってくれたのが良く分かるよ)
生前の婚約者に思いを馳せながら、他の準備を確認する。
全力を出せば壊れるだろう試作品だが、ユニーク・スキルの効果を高めてくれる装備のおかげで、近接戦の魔力は抑えられるだろう。
火竜に有効な氷属性を有しているので、勝てる要素は有るはずだ。
懸念材料として、サラの実力とモータルの時と違って、氷の魔力の少ない火口での戦いで魔力の消耗が激しいと云うことだろうか。
(サラの実力に関しては、出たとこ勝負になるな。会話の内容から、モータルより下ということは有り得ない)
翌日、冒険者ギルドに調査に行くと告げてから、夜に近い夕方に出かける。
救援や増援は求めなかったというより、求めても無駄なのだ。
圧倒的な強者に挑む時に、俺がモータルや七代目と戦った時の様に雑兵は被害が大きくなるだけで、邪魔なのだ。
都市の人間を、サラが手を出したくないと言うくらいには、安全が確保されているので、伝えない方が良いだろう。
(四天王クラスから2つ名を与えられると云うことは、並び立つ程の実力が有ると云うこと。師事を受けるくらい、他の四天王から目も掛けられてもいる)
「来ましたわね。逃げても構わないと言ったのに。勇敢ですこと」
言葉と裏腹に、嬉しそうな表情でサラが待っていた。
火口付近にしては、あまり暑くないので、かなりの火山の魔力を吸っているのだろう。
「お前こそ、逃げるなら今のうちだぞ? 始まったら、泣いて土下座でもしないと許さんぞ」
「言いますわね! 良いでしょう。”貪欲”に貪って差し上げます!!」
枷になるのだろう人化を少し弱めて、竜の要素を色濃くしたサラが襲い掛かってくる。
ーー魔装・懐かしき我が手足・ーー
予想通り、俺より遅いサラを三回分の生涯の経験による技術で応戦する。
「素晴らしいですわ!! 私の爪が! 攻撃が! 完全な人の姿のままで捌かれている!! 興味深い! どれ程の研鑽を得れば、そこまで行きますの!!!」
俺を人に化けた魔物と思っているサラが、枷になる人化をしたままの俺を賞賛する。
「俺は人間だ。ただ、ちょっと魔物臭いだけさ」
「そういうことにしておいて! あげますわ!!」
今のままでは接近戦は分が悪いと判断したサラが俺を殴り飛ばし、自身も後ろに退いて距離を取る。
「火竜の息吹」
「守護の氷の盾」
サラの遠距離魔法を、雪の結晶を模した氷の盾を出現させて防ぐ。
盾で防ぎきれない程の火力に、簡単に溶けて蒸発してしまうが、狙いは違う。
「見えませんわ!? 何処ですの!?」
退避する時間だけ稼げれば良かった盾が蒸発し、辺りを霧が覆う。
霧に乗じて、有利な接近戦を挑むのが目的だ。
「きゃああああああああああ!!!」
「何処? と、言われて。答える馬鹿が居るか!」
予想通り、本来の姿が巨大であろうサラは接近戦、とりわけ人同士の殴り合いの技術と経験が乏しいので、容易に顔面を殴られて吹き飛んでいく。
このまま行けば倒せるだろうが……
「私の顔を……私の美しい顔を!! 女性の顔を!!! 殴りましたわね!!? どういう教育されてますの!?? 親の顔が見てみたい!!!」
土煙の中、より竜の要素を強めたサラが憤怒の表情を浮かべて現れる。
「あいにく、孤児なんでね。親は居ない!!」
再度、接近戦を仕掛けようと近づく。
「そうは、させませんわ!!」
竜の要素を強めたことで生えた翼を使って、空へと飛び上がる。
「火竜の息吹」
「破裂する粉雪」
空から攻撃を仕掛けてくるのを回避しながら、触れると破裂する範囲魔法を放つ。
「いやああぁぁああ!!!」
たいしたダメージは無いが、飛ぶという繊細な行為を破裂によって邪魔をされ、悲鳴を上げながら墜落してくる。
落下地点を見極め、これ以上の本気を出される前に仕留めようと、切り札を出す!
「付与・切れ味向上」
試作品の剣に魔力を込めて、その首を
「それは、貰えませんわ」
土壇場で、真の姿になった硬く太い首を切断出来ずに、浅い切り傷を付けるに留まってしまった。
「私の経験の為にも、致死性でない攻撃なら、受けたでしょうけど。それは駄目ですわ」
火竜の姿になったサラとの死闘は続く。
稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。




