主に害なす者
予約投稿です。
次回は、明日の午後2時に投稿します。
「ーーっ!?」
鉱山都市・タタラの冒険者ギルドに入り、驚愕する
大都市な上に、棲息する魔物が強いタタラでは冒険者の等級も比例して高く、実力も高い。
入った瞬間から値踏みするような視線を、周囲から受けた。
「エルネスト伯からの依頼で来た者です。情報を頂きたい」
狸の獣人の受付嬢に胸の白銀のプレートを見せて、協力を要請する。
「は、はい。オルフ様ですね? 承っております」
貴族付きであることを示すプレートを見せられて、恐縮しながら資料が提出された。
通常の等級外の青銅・白銀・白金・聖銀は貴族が、その等級相応だと試験無しで証明し、縁者だということを示している。
冒険者ギルドの緊急・強制依頼を罰則無しで断ったりと、利点は多い。
『本当なら白金を渡したいところだが、私の爵位では、それが限界だ。許してほしい』
辺境伯のエルネスト伯から今後の活動の為に渡された等級だが、これのせいで”エルネストの懐刀”と呼ばれる所以でもある。
「あれが噂の”エルネストの懐刀”か。若いな」「集団相応の案件を単独で終わらせる」「極東出身の」
あちこちから俺に関する話し声が聞こえるが、一つだけ確かめなければいけなくなった事を、受付嬢に尋ねる。
「あそこのテーブルに居る。黒鉄のリザードマンの女性は誰ですか?」
「ああ。最近、お見えになるサラさんですね。破竹の勢いで依頼をこなすので、等級が追い付かないくらいなんですよ。銀等級は固いと、もっぱらの噂です。白銀ともなると分かっちゃいます? 調査に連れて行きます?」
ギルド期待の新鋭が注目されて誇らしいのか、興奮気味に受付嬢が勧めてくる。
「いえ、結構。等級と実力が違うようなので、気になっただけです」
様々な料理が置かれ、それを涼しい顔で黙々と平らげるリザードマンの女性冒険者サラ。
前に戦ったリザードマンと比べて、人の要素が多く、所々に見える鱗くらいしかリザードマンの要素の無いレンガ色の髪の長身の女性冒険者。
(1目見ただけで分かった。銀なんてモンじゃない。金を遥かに超える)
彼女こそ、俺がギルドに入った時の驚愕の正体。
(彼女が、今回の異変の原因だ!)
彼女こそ、俺が来た原因の正体。
「そろそろ出てきたら、どうだ?」
用意されていた宿に向かう途中の人気の無い場所で、尾行者に告げる。
「マンダラの予想と違うじゃない! お姫様が居ないじゃないの!!」
サラが、ベラ嬢が居ないことに腹を立てて現れた。
「”泥土”のマンダラの配下か!? 人族に化けて、何をしている!!?」
「マンダラなんて陰気臭い奴の配下な訳ないでしょう! 誰の配下でも無いけど、強いて言うなら”鬼火”のウィルですわ! ウィルから”貪欲”の2つ名を獲得したサラ。”貪欲”のサラ! 化けてるのは、お互い様でしょ?」
俺が純粋な人間で無いことに感づいていた!!
「でも、凄いわ! 貴方。私が人化を習った”水瓶”のドナ爺や”遠雷”のジョイフル坊より、人化が巧いのね。元の要素を消しきれない私と違って、人に成りきれる二人より巧いわ! 気配というより、魂からしか感じ取れなかったもの!!」
サラは危険だ!
会話の流れから、まだ見ぬ四天王全員と交流を持てる程の実力者なのが垣間見えた。
「お待ちなさい。今日は戦わないわ。私は”貪欲”。強者と戦い強くなるのは好きだけれど、長旅で疲れた相手と戦っても楽しくないじゃないの? 今日は会話だけよ。せっかちさん」
腰の剣に手を伸ばした俺を牽制するようにサラが言う。
「此処で戦ったら、大勢が巻き込まれて死んでしまいますわ。せっかく人化を覚えて、人の美味しい料理を食べられるようになったのに、また1から拠点を探さなくちゃ駄目になるじゃない? そんなの嫌ですわよ」
「人に化けて、この都市に居るのは、そんなことが目的だと言うのか?」
「それ以外に何が有りますの? 私の恩寵的に火山が近くに在るのはポイント高いし。マンダラの紹介で来たけど、此処で生活していれば、お姫様がフランベルを持って現れると言う話だったのに! 待ちぼうけですわ!」
ーーユニーク・スキル【貪欲】ーー
対象の放つ火の魔力を吸収し、自身を強化するスキル。
1度に吸収できる対象は1つで1種類のみ。
他の魔力を吸収する際は、強化を解かなくてはいけない。
ーーーーーー
訊いてもいないのにペラペラと喋った内容を要約すると、こういうユニーク・スキル持ちのようだ。
知られても、自分の放った火の魔法も対象なので問題なく、こちらが不用意に魔法が撃てないだけなので喋ったのだろう。
「今度こそ! ウィルをブッ飛ばして、四天王になるの! そして、ゆくゆくは魔王に!! その為に、火の最高の触媒のフランベルが必要なのに!!!」
狙いがフランベルなら、サラはベラ嬢の平穏の邪魔になる。
「貴方も、なかなかの強者。貴方を倒したら、私自らフランベルを取りに行くことしましたわ」
思いもよらず、命懸けになるようだ。
稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。




