エピローグ
予約投稿です。
二章、完結です。
ボスを倒す毎に、章という形で区切りを付けるスタイルです。
稚拙な文章ですが、少しは読みやすくなっていると思われます。
お付き合い、ありがとうございます。
「エルネスト様、お約束の方が、いらっしゃいました」
「うむ。通せ」
最近の若い貴族と違い、しっかりと数日前から先触れ(アポ)を取って面会する礼儀を弁えている。
これが、まだ十二の少年だと言うのだから驚きだ。
「お初に御目にかかります。ヴォルフ家の従者。オルフでございます。本日は、お時間を取っていただき、ありがとうございます」
「……堅苦しい挨拶は、いい。君の噂は聞いていた。極東からイザベラ嬢……いや、今はイザベラ男爵だったね。イザベラ卿に会いに来たのだろう?」
荒くれ者の多い冒険者の一人が、イザベラ卿の従者に志願しに来ている噂は、この地方を治める辺境伯として数か月前から把握していた。
どうやって、ウチの凄腕の冒険者を引き抜いたんだ? と、彼が居た地方の辺境伯から恨み言が届いたくらいに、オルフは実力者らしかった。
私も貴族の端くれとして武芸を嗜んでいるが、一目見るだけでオルフの次元の違う実力を感じ取れた。
「数日前に我が主、イザベラ男爵様が8代目当主になられました。つきましては、心機一転の意味を込めまして、先代の負債を御返しにあがりました」
机に置かれた金貨は、ざっと三百枚程で、ヴォルフ家の財政状況を考えれば、全額が彼の自腹だと推察できる。
「先代に貸し付けたのは200のはず。多いように思えるが?」
「利息無しという寛大なエルネスト・メックリンガー辺境伯に、イザベラ様からの感謝の気持ちが入っております」
貴族としての教育を先代から、まともに受けてもいないイザベラ卿が、そこまで気が回るはずがない。
つまり、オルフがイザベラ卿と私の仲を良好にしたいために気を回した嘘だ。
「世辞は、いい。貴族として、男としても、前言撤回するつもりは無い。返済は200で構わない」
私の発言を受けて、素直に二百枚を机に残した。
下手に押し付けようとしないところは、個人的に好感を持てる。
「感謝は、これからの働きで返させて頂きたく存じます」
かなり強引な当主交代劇だっただけに、爵位の即剥奪も有り得た案件だったので、それを私に釘を刺す意味合いも含めての発言なのが読み取れた。
自腹を切ってまで、主君を守る忠臣を得られたイザベラ卿が羨ましく思う。
「正直なところ、アンディ卿もポーチ卿も素行が悪すぎたからね。君が多少、やり過ぎたとしても病死で済ませていたと思う」
形式的な会話は終わったとばかりに、私の過激な心情を吐露してみたが、分かっていたように眉一つ動かさず、静かに聞いている。
ポーチ卿に至っては、お灸が効いたのか領地運営に、前より熱心になり始めていると噂が届いてくるくらいだ。
「君には感謝しているくらいなんだよ? 当てに出来ない者達に、お灸を据えてくれたのだから。これからは、ヴォルフ家を当てにしても良いのかな?」
人数は居るが規律と素行の悪いポーチ卿の兵士達が、改善の方向を示しているし、領地が少なく使える兵力が無かったヴォルフ家には一騎当千が仕えることになる。
使える戦力が増えるのは、広く領地を、周辺貴族をまとめる辺境伯としては、大変助かるのだ。
「……イザベラ様は就任して、まだ間も有りません。お仕事に慣れるまで数か月は掛かるでしょう。その後でしたら」
しっかりと今後のことを考えての返答をしてくる辺り、既に数年は何処かの貴族に仕えていたのでは? と、思わせる程だ。
ウチに欲しい!! と、思うが経緯を考えれば、断られるのは見えているな。
今は、素直に領地全体が改善されたことを歓迎するとしよう。
「さあ、話は終わった。クラウス!! お客様が、お帰りだ。丁重に、お見送りしなさい」
ーーーーーー
(……今回の件で、一番疲れたかもしれん。アレクは策謀だとか腹芸だとかに疎かったから、その辺りのことは不勉強だったからな。緊張した)
壮年の智将、エルネスト・メックリンガー辺境伯との面会が終わり、エルネスト伯の主要都市を歩く。
アレクの領地と違い、温暖で過ごしやすいため領民も多く、国の主要交通の要でも在るので、非常に大きな都市だ。
(予想通り、200で収まったから。何か、ベラ嬢とヒルダさんに土産を買っていこう。屋敷で使う調度品の手配もして、オルフが世話になった孤児院に仕送りと…………)
……ふと、よぎる両親
(……コユキ村に、匿名で仕送りをしよう)
そう思い、郵便を取り扱っている所に向かう途中の路地で、孤児の集団が目に入った。
「姉ちゃん! お腹すいたよー!」「たよー!」「たー!」
「だーー!! 泣くなよ! もうすぐ、神父様が帰ってくるから我慢しな!!」
俺の所でも、アレクの所でも珍しくも無かったし、この大都市なら居て当たり前の存在なので、気に留める必要は無いのだが、孤児の一人が小さいアスラ様の像を握りしめていた。
孤児院、兼、教会では、サテラを信仰しているのだろうが、神父が寛容なのか、幼い孤児が何の神なのかも分からずに玩具にでもしているのかもしれないが、見過ごせなくなった。
「ちょっと失礼」
「ああぁん!! なんだ!!?」
孤児達から”姉ちゃん”と呼ばれる、イザベラ嬢と同年代に見える薄汚れた少女に声を掛ける。
「これで何か買ってあげてください。残りは寄付です。アスラ様の加護が有らんことを」
孤児の握る像を指差しながら、銅貨と銀貨を数枚、金貨を一枚を握らせて、走り去る。
「お、おい!!? あんた!! 待って! 待ちなよーーー!!!」
背後から少女の呼び止める声が聞こえるが、無視して走り去った。
金貨は、孤児達が使ったら怪しまれるかもしれないから、銅貨や銀貨を渡しておいたし、問題ないだろう。
これで少しは、くそったれの女神ではなく、女神様の信者が増えてくれれば安いものだ。
世に、アスラ様の加護が、ありますように……
稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。
誤字脱字は、次の章を始める時に直すので遅れます。
週間ユニーク100、ブクマ10越えを1つの目安に頑張っております。
三章は、実験的に予約投稿の時間を1日毎に変えてみます。
次回は午前10時に更新します。
三章も、予想を越える方々に読まれた喜びで、書き上げております。
特に問題なければ、続けて投稿出来ると思いますので、お付き合いください。




