偽りの等級
予約投稿です。
「どうしたぁ? ポーチ? ベラの具合が悪かったからって、返品は受け付けないぜぇ」
下品なことを口走り、七代目達が品が無い笑い声を上げる。
「違っ!? そうじゃなくて、だな。今日は、だな」
昼間に痛めつけてやった貴族が俺の顔色を見ながら、ビクビクと返事する。
「アンディ叔父様。今まで、育てて頂いて感謝しております。ですが! そろそろ、私に当主の座を返して頂こうと来ました。ポーチ様は、その立会人です」
立会人という言葉にアンディは、ピクリと反応する。
「今まで、育ててやった恩を仇で返す訳だな。負け犬の娘は恩知らずなようだ」
「ーーっ!!? 貴様!! なんてことを!!!?」
激昂し、今にも掴みかかりそうなヒルダさんを目で制すイザベラ嬢だが、手は血が出んばかりに握りしめられている。
恥知らずは、生活費も碌に渡さなかったくせに恩着せがましいことだ。
「決闘方法は戦闘不能か降参で決着。こちらは私とイザベラお嬢様、そちらは何人でも構いませんよ」
決闘方法を告げる際に、盛大な嫌味を込めて、何人でもを強調する。
「随分な自信だな。黒髪で1房の白髪、水色の瞳。お前、ベラを捜し歩いてるって噂の黒鉄等級の冒険者か」
「えっ? えっ!? そんな噂、僕ちん知らないんだな」
素行が悪く、柄の悪い冒険者と付き合いの有るだろうアンディに警告する意味も含めて、極東から此方に来るときに、噂になるように派手に捜し歩いていたが効果は薄かったようだ。
「その決闘を受けるメリットが「ここに! 金貨300枚! 有る」
金貨三百枚の言葉に、アンディ達の目の色が変わる。
「良いだろう。その決闘を受けよう。」
その言葉を合図に、密かに裏口から回り込んでいた取り巻き達の数人が背後から襲い掛かってきた。
「選ばれし者の氷の牢獄」
「ひぃぃぃいいぃ!!!」「ぐわっ!」「あがっ!」
選ばれし者の氷の牢獄にトラウマの有るポーチの悲鳴と共に襲い掛かってきた取り巻きと、アンディの周りの取り巻き達を制圧する。
「この魔法は敵意や戦意に反応して発動する。怪我をしたくなかったら、大人しくしていることだ」
事前の情報と予測通りに、敵はアンディと取り巻きの一人が残ったようだ。
アンディはポーチのように火の魔力を全身に纏い、舞い散る雪を防いでいた。
取り巻きの一人の蜥蜴の亜人は、強靭な体躯と見覚えのある装備のおかげで、平然と立っていた。
「極東から来る。定住しないため、試験を受けないだけで実力は銀等級に迫る黒鉄等級が居ると噂だが。あながち誇張でも無いようだな」
胸元から銅等級を示す銅のプレートを下げ、モータルの白銀装備を身に纏ったリザードマンが笑う。
価値が有る物は、ことごとく売り払われたヴォルフ家で売られなかった物が二つ有る。
国王から下賜された宝剣・フランベルと、先代を殺した魔物が使っていたという曰くのあるせいで本来の価値より安いので、売るより使った方が良いという理由で売られなかった白銀装備だ。
ーー竜人化ーー
リザードマンが種族スキルを発動し、大きく身体能力を上げて突進してくる。
種族的に氷属性が有効なので、このままゴリ押ししても良いのだが……
「その装備に恨みしか無いからな。それに精進の結果も披露したいのでね。手荒になるぞ!!」
頭上に手を掲げ、リザードマンを迎え撃つ!!
「縫いつける炎の楔」
「ーーっ!? ぬぐぅ!!」
頭上に出現した炎の楔が、下半身が大蛇であったモータルの白銀装備には無い足の部分に突き刺さり、その場に縫い付ける。
「炎の微笑み」
信じられないといった表情で、火に耐性が有るはずの自身が、じりじりと焼かれ始めるのを感じて、恐怖する。
「何が!? 銀等級だ!! ここまで圧倒的な訳が有るか!!? これは金、いや白「等級なぞ関係ない! 俺は魔王を倒す男だ!」
普通の身体強化による腹部への打撃で、リザードマンは気絶。
『言われた通り、火の精進をしたようじゃな。しかも、仮想モータル相手に、人の要素だけで勝つとは。見事じゃ!』
アンディの腰に下がったフランベルが語りかけてくる。
人目が有る所で、剣と話す訳にもいかず、一礼だけに留める。
「嘘だろ? タゴラが、あっさりと。しかも、氷と……火だと!? 相反するはずの属性じゃあ無かったのか」
属性を二つ以上持つのは珍しくは有るが、驚く程ではない。
だが、仲が悪いとされている神々の属性の同時持ちは異常だ。
周りの者達から恐怖、畏怖、羨望、様々な視線を感じる。
「ーーひっ!?」
俺の視線を感じ、アンディが恐怖する。
「安心しろ。お前の相手は、イザベラお嬢様だ。卑怯なことをしない限り、お前の処遇を決めるのは、イザベラお嬢様だ」
完全に信用出来ないのだろう、俺をチラチラと見ながら震える手で、フランベルを抜き放ち、イザベラ嬢と対峙する。
イザベラ嬢の今後を決める舞台は整った……
稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。
誤字脱字は、次の章を始める時に直すので遅れます。




