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魔狼の恩返し  作者: 花畑
2・ヴォルフ家の忠臣
18/89

母より語られし夢の騎士

二章目に突入です。

書き慣れて、多少は読みやすくなっていると思いますので、ご覧下さい。


一章が読みにくくて読めない!、という方向けの簡易あらすじ。

主人公は直接的、間接的にヒロインの親族の死に関わっており、償いと恩返しの感情が有ります。


『自分のためだけに、力を使うのは止めなさい』


 幼き頃、愛する独りだけの肉親の母からの()()


『正しいことに使っていても、理由が自分のためだったら、いつしか暴力になる』


 亡き父の遺品の数々を売り払われる際に、感情に任せて暴走した(ユニーク・スキル)が他人を傷付けてから、私に刺さる()

 私を産んでから体調を崩した母、その後すぐに父を亡くした母、次の当主(恥知らず)に家財を売られて落胆する母。

 その恥知らず達を傷付けてしまった私を叱った母。


 常に正しく、清く、美しかった母は、落胆の中で息を引き取ってしまった。




 母が亡くなってから、父や母と親交のあった友人や貴族の方達が、様子を見に来る口実が無くなったのを良いことに好き放題された。

 目に見えて素行は悪くなり、最低限だけを残して家財は売られ、領地まで切り売りし、そのことで爵位も下がりに下がった。

 今では先祖代々の領地から離れ、温暖で良い処だけど小さい領地を、お情けで任されている体たらくだ。


 私に残ったのは()()()だけだ。


 前の領地から付いてきてくれたメイドや、前の領地の衛兵の皆さんは、私が頼めば動いてくれるだろう。


 自分のため(私のため)()を使えない。


 恥知らず達から強引に当主を奪ったとしても、後ろ楯もなく、周りを黙らせる程の武力もなく、お金もない。

 正式に当主交代が認められず、良くて断絶、悪くて国家の法への反逆罪で関係者全員が処刑になる。

 味方になってくれる皆さんを反逆の罪に落とすことは出来ない。


 十五歳(成人)になったら私は、金だけは有る変態貴族に嫁ぐことになっている。

 先祖代々のヴォルフ家の名前を残すために、私が出来る唯一のことは、()()()()を売ることだけだ。




 冬が近づけば、温暖な気候とはいえ寒くなり、故郷の領地のことを思い出す。

 もうじき、十五歳の誕生日になる。

 今日も、赤ん坊の頃からの担当だったメイドのヒルダが、最高の誕生日にしましょうと、泣きながら準備に駆け回っている。


「絶対、自分の貯金まで崩して準備してるよね。そこまでしなくて良いのに」


 窓の外を見ながら、そんな事を言ってはいるが、口元は緩んでいた。


(ありがとう。その想い出を胸に、頑張るから)


 ちょっとした幸せが、生きる糧になる。

 母からも戒めという名の呪いだけではなく、生きる糧(ちょっとした幸せ)を貰ったことは有る。


『困ったことがあったら、ベラよりも若い騎士(ナイト)が助けに来てくれるわ』


 成長して、そんな()()()は無いことは分かってる。



「止めてください!! それはベラお嬢様の成人祝いに出そうと用意したんです!!!」


 ガマガエルの亜人と見間違えそうな私の婚約者が、ヒルダが用意してくれた果実酒をラッパ飲みする。


「不味い!! こんな物を祝いに出すとは!? 僕ちんの妻になるのだから、しっかりとした()()()()をするために、早めに迎えに来て正解だったのだ!!」


 ヒルダが用意してくれた、メイドが買うには高かっただろう果実酒は、()()()()になった。


「あぁあぁああぁ!!!?」


 ヒルダが、染みを、瓶の欠片を、元に戻そうとし、戻せないと悟ると、大きい瓶の欠片で……


「ヒルダ!!? 止めなさい! 見苦しい!!」


「ーー!? しかし、ベラお嬢様っ!!」


 ヒルダが婚約者に対して凶行に走ってしまったら、十数名の護衛に殺されるか、()()()になっていただろう。


『ベラよりも若い騎士(ナイト)が助けに来てくれるわ』


 行くしか無いのだ。


『絶対、来てくれるわ。アレクが()()()()()()()()


 行くしか。


()()()()()()()()()()、替わりに騎士(ナイト)を行かせるって』






「早めに来て、正解だったな」


 私の肩に手を置いて、誰かが言う。


()()()()、肝心な所が予定外な事が多かったから、用心して正解だった」


 振り向くと何処から入ってきたのか、護衛にも気付かれずに私より若い、一部が灰色の黒髪の少年が立っていた。


「まだ、誕生日まで14日、有るはずだが? せっかちな奴だ」


 この()()()()は、何処かで見覚えが


「オスカー、アレクセイ両名に大恩が有る。イザベラ嬢。嫌だと言っても、恩を返させてもらう」


 婚約者や護衛が何やら喚き散らしているみたいだけど、彼の言葉しか聞こえないし、聞きたくない。


「まず、()()()()()のために、1度だけ戦って欲しい」


 私は戦う相手も聞かずに、ただ頷くだけだった。








稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。

誤字脱字は、次の章を始める時に直すので遅れます。

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