母より語られし夢の騎士
二章目に突入です。
書き慣れて、多少は読みやすくなっていると思いますので、ご覧下さい。
一章が読みにくくて読めない!、という方向けの簡易あらすじ。
主人公は直接的、間接的にヒロインの親族の死に関わっており、償いと恩返しの感情が有ります。
『自分のためだけに、力を使うのは止めなさい』
幼き頃、愛する独りだけの肉親の母からの戒め。
『正しいことに使っていても、理由が自分のためだったら、いつしか暴力になる』
亡き父の遺品の数々を売り払われる際に、感情に任せて暴走した力が他人を傷付けてから、私に刺さる楔。
私を産んでから体調を崩した母、その後すぐに父を亡くした母、次の当主に家財を売られて落胆する母。
その恥知らず達を傷付けてしまった私を叱った母。
常に正しく、清く、美しかった母は、落胆の中で息を引き取ってしまった。
母が亡くなってから、父や母と親交のあった友人や貴族の方達が、様子を見に来る口実が無くなったのを良いことに好き放題された。
目に見えて素行は悪くなり、最低限だけを残して家財は売られ、領地まで切り売りし、そのことで爵位も下がりに下がった。
今では先祖代々の領地から離れ、温暖で良い処だけど小さい領地を、お情けで任されている体たらくだ。
私に残ったのは私自身だけだ。
前の領地から付いてきてくれたメイドや、前の領地の衛兵の皆さんは、私が頼めば動いてくれるだろう。
自分のために力を使えない。
恥知らず達から強引に当主を奪ったとしても、後ろ楯もなく、周りを黙らせる程の武力もなく、お金もない。
正式に当主交代が認められず、良くて断絶、悪くて国家の法への反逆罪で関係者全員が処刑になる。
味方になってくれる皆さんを反逆の罪に落とすことは出来ない。
十五歳になったら私は、金だけは有る変態貴族に嫁ぐことになっている。
先祖代々のヴォルフ家の名前を残すために、私が出来る唯一のことは、残った私を売ることだけだ。
冬が近づけば、温暖な気候とはいえ寒くなり、故郷の領地のことを思い出す。
もうじき、十五歳の誕生日になる。
今日も、赤ん坊の頃からの担当だったメイドのヒルダが、最高の誕生日にしましょうと、泣きながら準備に駆け回っている。
「絶対、自分の貯金まで崩して準備してるよね。そこまでしなくて良いのに」
窓の外を見ながら、そんな事を言ってはいるが、口元は緩んでいた。
(ありがとう。その想い出を胸に、頑張るから)
ちょっとした幸せが、生きる糧になる。
母からも戒めという名の呪いだけではなく、生きる糧を貰ったことは有る。
『困ったことがあったら、ベラよりも若い騎士が助けに来てくれるわ』
成長して、そんな夢物語は無いことは分かってる。
「止めてください!! それはベラお嬢様の成人祝いに出そうと用意したんです!!!」
ガマガエルの亜人と見間違えそうな私の婚約者が、ヒルダが用意してくれた果実酒をラッパ飲みする。
「不味い!! こんな物を祝いに出すとは!? 僕ちんの妻になるのだから、しっかりとした成人祝いをするために、早めに迎えに来て正解だったのだ!!」
ヒルダが用意してくれた、メイドが買うには高かっただろう果実酒は、床の染みになった。
「あぁあぁああぁ!!!?」
ヒルダが、染みを、瓶の欠片を、元に戻そうとし、戻せないと悟ると、大きい瓶の欠片で……
「ヒルダ!!? 止めなさい! 見苦しい!!」
「ーー!? しかし、ベラお嬢様っ!!」
ヒルダが婚約者に対して凶行に走ってしまったら、十数名の護衛に殺されるか、酷い事になっていただろう。
『ベラよりも若い騎士が助けに来てくれるわ』
行くしか無いのだ。
『絶対、来てくれるわ。アレクが言ってたんだもの』
行くしか。
『生きて帰れなかったら、替わりに騎士を行かせるって』
「早めに来て、正解だったな」
私の肩に手を置いて、誰かが言う。
「前もだが、肝心な所が予定外な事が多かったから、用心して正解だった」
振り向くと何処から入ってきたのか、護衛にも気付かれずに私より若い、一部が灰色の黒髪の少年が立っていた。
「まだ、誕生日まで14日、有るはずだが? せっかちな奴だ」
この水色の瞳は、何処かで見覚えが
「オスカー、アレクセイ両名に大恩が有る。イザベラ嬢。嫌だと言っても、恩を返させてもらう」
婚約者や護衛が何やら喚き散らしているみたいだけど、彼の言葉しか聞こえないし、聞きたくない。
「まず、俺の恩返しのために、1度だけ戦って欲しい」
私は戦う相手も聞かずに、ただ頷くだけだった。
稚拙な文章を読んで頂いてありがとうございます。
誤字脱字は、次の章を始める時に直すので遅れます。




