表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/18

Chapter1-3 権能について


 「やり忘れていたこと?」


 「はい。主様の権能について、いくつか」


 また変な言葉が出てきたぞ、とエマの言葉を聞いて七波は眉を顰める。

 その様子を見たエマも七波の表情からその心の内の察したのだろう。

 彼女は視線を宙に向け何かを思い出すような仕草をとった。


 「異界と呼ばれる世界とこの世界は果てしなく隔絶したものであり、

  本来であれば交わることは無いものです。

  お互いの世界で起きた出来事はそれぞれの世界の中で完結し、

  当然ながら相手方の世界の理に縛られることはありません」


 エマは言った。

 七波は頷いてそれを理解したことを示す。


 「その隔絶を飛び越えて干渉をするのが、召喚術というわけだな?」


 「その通りです。

  異界の存在に語り掛け、この世界へと導く──

  召喚術とはそうやって呼びかけに応じた者を

  捧げた触媒の力を使って受肉させるものなのです」

 

 触媒。

 つまりは自らの願いに寄せる強い祈りと、自身の生命力。

 ルーバスもさっきそんなことを話していたと七波は思い出す。


 「触媒は二つのことのために使われます。

  一つは、今言った受肉そのものに使用するもの。

  そしてもう一つが、権能の付与です」


 エマは人差し指と中指を立てて「二つ」を示すサインを作りながら言った。

 彼女は続けて口を開く。


 「呼びかけに応じた異界の存在は自らをこの世界の理の中に落とす際に、

  召喚者が差し出した触媒を糧に権能というさらなる力を与えられます。

  それは被召喚者本人固有の特別な力であり、

  本人の望みを叶えるために必要な能力であると聞きます」


 「だとすると、俺にもその権能とやらが?」


 「そのはずなのですが……」


 七波がエマに尋ねる。

 すると彼女は困ったような顔をした。

 その表情を見て七波もまた気付く。


 「そうか。ルーバスは俺に何の力も無いと言っていた」


 「ルーバスがどうしてそんな風に言ったのかは……。

  あんな調子ですが、あのタイミングで場を乱す嘘を吐くとも思えません」


 「彼にとっての意味があった、と。

  もし権能が備わっていないにしても、それはそれで何か理由がありそうだな」


 七波が言うと、エマもそれに同意するように頷いた。

 ルーバスに話を聞きに行くことにした二人は、塔の中へと戻っていった。




ここまで読んでいただきありがとうございます!

ようやく異世界転生っぽいワードが出てきたような気がします。

不定期更新ですが、次話は明日8月21日の午前2時ごろ更新予定です。

もし刺さる部分などありましたら、評価や感想などいただけると励みになります。


Twitterで報告などしています。

よろしければそちらも見てやってください。 /脳内企画@demiplannner

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ