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最後はやっぱりボヤキで終わる

「リン?」

 クロー隊長の声が聞こえ、わたしはゆっくりと目を開けた。最初に確認するのは、自分がどういう状態かとここはどこかということ。もうこれは職業病だと言ってもいい。クロー隊長の声が聞こえたということは、少なくとも敵地ではない。ふっと息を吐くと、背中に鈍い痛みがはしった。

 柔らかいクッションのようなものが腰にあてられ、少し体が左に傾いたかたちで固定されている。なるほど、右側の背中から刺されたから、傷が直接ベッドにつかぬようにされているのだと理解でき、続いて記憶は失われていないことに少し安堵する。

「ここは王宮内の寝室だ。お前は3日眠っていた」

 クロー隊長が知りたい情報を伝えてくれる。さすが隊長である。

 ということは、完全に薬の効果は切れている。最後に飲んだのは8日前だ。まあそれ以前に、舞踏会会場で意識を失ったのだから、わたしが魔法薬で男装していたことはすでに貴族中に知れ渡ったことだろう。

 目をつぶり、さてこれからどうなるのだろうと考える。完全にわたしという存在が明るみに出てしまったことで、もう国内での隠密活動ができないのはわかっていた。しかし任務中色々な役もこなしてきたし、サバイバルもお手のもの。どこの国に行っても現地人に紛れられるくらいの言葉は話せるから、他国での諜報活動には使ってもらえるのではないか。それとも・・・

「言っておくが、お前はこの国から出られない」

「わたしは捕まるんですか?」

 覚悟して目を開け、クロー隊長を見た。自分の女性の声も久しぶりに聞いた気がする。

「いや、そうではなく・・・」

 その時、にわかにドアの外が騒がしくなり、勢いよく金色のものが飛び込んできた。

「リンっ!」

 クロー隊長が苦笑してベッド脇の場所を譲った。レイ様が珍しく呼吸と髪を乱している。

「目が覚めたのか。・・・よかった、本当に心配したぞ。お前、一時は危篤状態だったんだからなっ!」

「レイ様、そのように手を握って振り回したら、リンの怪我に障りますよ」

「あ、ああ、すまん!いや、お前、だって、ほら」

 わたしの手をパッと離し、そして慌てて握り直してそっとベッドに置く。これほど取り乱したレイ様を初めて見た。わたしは最初呆気に取られ、そしておかしくなって笑ってしまった。

「ふふ・・・っあ痛たた・・・」

「ば、馬鹿!傷が開いたらどうするんだ!笑うな!」

「笑わせてるのは誰なんですか、もう」

「・・・お前の声、久しぶりに聞いたな」

 レイ様が微笑むのにわたしは苦笑する。そういえば女性として会うのは侍女選考会以来になると思い至ったからだ。

「ご心配をおかけしました。事件はどうなりましたか?」

「ああ」

 私の話題を変えたいフリに気づかない素直なレイ様は一気に機嫌が下降する。

「やつはすぐに取り押さえられた。レオ叔父の子飼の男で、ペラペラと喋ったよ」

「レイ様の怒りが甚だしく、その場で切り捨てそうな勢いだったからな」

クロー隊長がふんと鼻で笑った。

「今回ばかりは叔父も逃れられなかった。皇太子暗殺未遂の首謀者として実行犯と共に昨日断罪された」

 つまりはとうとう、この世とおさらばしたわけだ。最後まで残念なイケメンだった。

「それにしても、なぜあの日だったのでしょう。せっかくわたしを仲間に引き入れたところだったのに」

「それもまあ、レイ様のせいというか・・・」

 クロー隊長が苦笑した。

「お前への執着がすごくて、なかなか陰謀話もできなかっただろ。それで諦めて、結局は1番手っ取り早い方法を選んだらしい」

「見ろ。俺のやることに間違いはなかったのだ。早く決着がついただろう?」

 うーん、それが自慢になるのだろうか。わたしはその間、寝る間もあまり与えてもらえず、心身共に疲れきっていたのだけど。3日も意識がなかったのは、半分以上が疲労のためだと思う。

 じっとりとした目で睨むと、レイ様も睨み返してきた。

「それよりお前も俺に、いや()()()に言うことがあるのではないか?」

 うわ、嫌みのように皇太子風を吹かせてきた。

「・・・このたびは・・・皇太子殿下を謀ることになってしまい、本当に申し訳ございませんでした」

「そうだな。・・・父上の発案だと聞いてはいるが、それにしてもお前も、よくもまあ・・・。良心の呵責はなかったのか?お前が男だということに、俺がどれだけ悩んでいたか知っていただろう」

「いえ、それはっ!・・・本当に、あの舞踏会の日まで全く気づきませんでした」

「嘘つけっ!ずっとあれやこれやとお前を傍に置いていたのに、気づかぬことなどあるかっ!」

「いや、レイ様。それはきっと本当です。なにせリンは16年間、愛とか恋だとかから一番遠い隠密騎士団にいたのですよ。血なまぐさいのが普通な世界に生きてきたのですから」

 クロー隊長の苦笑混じりの援護に、わたしはコクコクと頷いた。

「っと、待て、お前16なのか?確か20だと・・・」

「あ、それもすみません」

 レイ様の口からハアと盛大なため息が出て、額に手を当てる。

「16・・・16だと?俺はそんな小娘に、いいように振り回されてたってのか・・・」

「レイ様、失礼ですが、お言葉がすっかり砕けてしまわれて・・・」

「やかましい、小娘っ!」

 あう、一喝されてしまった。わたしは声もなく肩を震わせて笑っているクロー隊長を睨み付けた。

「それでもお前はリンが良いと言うたのだよな」

 新たな声の主は、なんと部屋へゆったりと入ってきた王様だった。

 慌てて起き上がろうとして、痛みに呻き声が出た。

「ああ、そのままでよい」

 王様は鷹揚に片手で制しながらわたしのベッドの傍らに座る。

「リン、こたびの働き、心から礼を言う。我が不肖の息子を、身を挺して守ってくれて本当にありがとう」

「いえ、そんなっ!・・・それが任務ですから」

「そしてすまぬことをした。もっと不出来な弟がそなたの身を傷つけてしまうまで、わしはあやつを見くびっておったのだ。いつも発生以前に露見するため、今回も大したことは出来まいと思っておった。もっと以前に断罪する機会はあったのに、却っていい口実だとばかりにあやつを利用した」

 そう言って王様は深々とわたしに頭を下げた。

「ああ、どうぞ頭をお上げください、怪我など大したことでもありません。サラシを巻いていたおかげで、恐らくは少し肺が傷ついた程度ですから」

 経験上自分の負傷の程度もわかる。もし敵の手に落ちて、傷が致命傷だった時は自ら死を選ぶ。回復出来そうなら体力を温存し、脱出の手立てを全力で考える。そう叩き込まれてきた。

 王様が少し哀しそうな顔をした。

「そなたはもう少し、自分を大切にした方がよい。女性は、親に傷ひとつなく育てられ、男に守られて生きるものだ。そなたはようやく成人し、今から美しく花開く年だと言うのに、世の中の汚いところばかりを見てき過ぎた」

 そう、なんだろうか。でも隠密(これ)以外の生き方をわたしは知らないし、今まで楽しくやれていた。

「リン、わかっているだろうが、お前はもう、国内での隠密には戻れない」

王様は重々しく私に告げた。

「はい」

「と言って他国にも出さない」

「はい」

「つまり、スペンサー楽団からは脱退となる」

「・・・はい」

 王様の言葉が胸に突き刺さる。目が覚めて最初に考えたことだが、やはり事実を突きつけられると哀しい。

「お前は、わたしと一緒に生きていくのだ」

「は・・・はい?」

 レイ様の言葉にも頷きかけて、疑問系になってしまった。

「ええと、わたしは女性に戻ってしまいましたが、これからもレイ様の専属執事として仕えろということですか?」

それはキツイ。だって休み無し、睡眠なしだよ?これならよっぽどスペンサー楽団の活動の方が楽だ。変なドキドキもないし。

「・・・この流れで、なんでそうなる」

 憮然とするレイ様を見て、王様とクロー隊長が笑う。

「だから言ったでしょう、リンはハッキリと言ってやらねば分からぬと」

 レイ様はため息をつき、そしてわたしを見つめた。

「お前はわたしの妃になるのだ」

「キ・・・サキ・・・」

 どうも頭の回転がおかしい。キサキの意味がしっくりと落ちて来ない。

「わたしと結婚してくれ」

 ケ・・・結婚?!わたしは思わず目をむいた。

「待ってください。レイ様は『男性執事のリン』がお好きだったのでは?」

「断じて違うっ!お前が好きなのだ!男だろうが女だろうが、20だろうが16だろうが、お前がいいと言っておるのだ!」

 顔を赤くし、声を荒げて叫ぶレイ様を見て、王様とクロー隊長がこらえきれないというように爆笑している。

「・・・こんなことを力説させるとは、本当にお前というやつは・・・」

 ガックリとうなだれて赤面しているレイ様は、こう言ったらさらに怒るだろうけどちょっとかわいかった。

「でもわたし・・・」

 皇太子妃は未来の国母という事。そんな重大な人になる自信など全くない。

「心配は要らない。そもそもこの国は王家も自由恋愛が認められているから、市井からの王妃も数多く誕生している。だから貴族も民も、王妃には寛容だ」

「それにお前への妃教育は既に終了しているしな」

 クロー隊長の言葉に首を傾げる。

「執事になれるほどの教養、マナー。各国を訪問しても通訳の要らぬ言語教育。そして護身術。ついでに遭難しても生き延びられるサバイバル術と、客を楽しませる歌と踊りも仕込んでやった。どれをとっても合格点だろう?」

 指折り数えるクロー隊長が笑いかけてくる。

「あとお前に足りないのは、恋愛の機微と肉体的な体験だけだ。ま、それはしっかりレイ様に教えていただけ」

 肉体的なって・・・思わず赤面するわたしを相変わらずクロー隊長がニヤニヤ笑いで見ている。

「・・・まるでこうなる事が分かっていたかのように言うのですね」

「分かっていたとも」

 頷くクロー隊長に驚くわたし。

「そう言えば、タイミングが悪くて100年に1度の伝説を教えていなかったのだったな」

「その前に一応確かめておこう。レイモンド、リンとキスをしてみせろ」

「は?」

 王様の無茶ぶりに、奇しくもわたしとレイ様の声が重なる。

「良いから。軽くで良いぞ、軽くで」

「何なんですか、一体」

 レイ様の顔が赤い。早くと急き立てられ、レイ様は照れながらもチュッとわたしの唇にキスをした。

 途端に、もの凄い音が城中に響き渡る。わたしも思わず飛び起きて身構えた。

「何?!」

「おおー、やはりなぁ」

 それは鐘の音だった。どうやら街の中でも鳴っているようで、色々な鐘の音が、高く低く鳴り続けている。

「リン、お前は『伝説の乙女』だ」

 クロー隊長が鐘の音に負けないように声を張る。

レイ様は甲斐甲斐しく私の背中にクッションを数個置き、ベッドの上で楽に起きられるようにセッティングしてくれた。今まではそれはわたしがしてきた事なのに、レイ様に世話をしてもらうと、なんとなく恥ずかしくなって俯き、鐘の合奏を黙って聞いていた。

 1分ほど鳴り響いた鐘がようやく止んだ。

「この国が繁栄を極めているのは、『伝説の乙女』が存在するからだ。それはおよそ100年に1度現れ、時の王と出会った時から、この国の災厄は極端に減り、作物は例年豊作となると言われている。そのため、この国はわざわざ同盟国から妻を連れてこなくても、この国単体で充分やっていけるし、王家の自由恋愛が認められているわけだ」

クロー隊長が説明を続ける。

「前の伝説の乙女はわたしの曾祖母だ。そして16年前も、今のように鐘が鳴った。レイモンドの妻が産まれたのだなと思ったものだ」

王様が微笑む。

「お前を拾ったのはその1時間後だった。産まれたばかりのお前を見て、この子が伝説の乙女だと思った。いや、そうだと良いなと思って、どちらの道に進んでも困らぬよう、しっかり教育したって訳だ。俺の勘も捨てたもんじゃないだろ?侍女選考までは俺の強制だが、いきなり2人が出会ったのを目の当たりにして確信した」

クロー隊長は王様に笑いかける。

「だがわたしは流石に出来すぎだと思ってな。もし本当に運命の相手なら、仮にリンが男でも好きになるだろう、そうでなければ認めぬと申したのよ。ま、それでリンに魔法薬を渡したのだが」

「この勝負、わたしの勝ちですね、陛下」

「ふん」

 なるほど、侍女選考の妃探しには、伝説の乙女探しという意味もあったのか。

2人の交互の説明を、顎に手を当てて聞いていたレイ様がおもむろに口を開く。

「リンとキスをしたのはこれで3度目だが、なぜ前の2回は鳴らなかったのだ?」

「わー、わー!レイ様、何を言い出すんですか?!」

「へぇ、2回も?衣裳部屋と、あとは何処でです?」

 そうだよ、あの時はクロー隊長が見ていたんだった。

「ああ、馬車の中では2回だから、これで4・・・」

素直なレイ様、抵抗もなくペラペラと!わたしは声を塞ぐように大声で叫んだ。

「あっれは、レイ様が体が痺れて動けなかったから、仕方なく薬を飲ませただけでしょう?!」

「なるほど、既に4回も」

 クロー隊長のニヤニヤ笑いは本当に腹が立つが、同じ笑みを王様も浮かべているのには参った。もう、恥ずかし過ぎて身の置きどころに困る。

「まぁ、あの時は男でしたからね。乙女ではないという判断でしょうね」

クロー隊長の冷静な分析に王様が重々しくうなづく。

「なるほど、意外に厳密なのだな」

「そもそも伝説を謀ろうとするのが間違ってますけどね」

 わたしのぶっすりとした指摘に、王様が苦笑した。

「すまぬ、許せリン。未来の父の、ちょっとしたイタズラだ」

 未来の父。わたしは不思議な響きに瞬きを繰り返した。

 なんだかわたしの感情は置いてきぼりにされ、着々と事態は進んでいるようで、すごく不安だ。

「さ、話が終わったなら、未来の父お2人はとっとと出て行ってください」

 レイ様がシッシッと手を振る。クロー隊長はまだしも、もう1人は一応王様なんですけど。

「そうですね、陛下、退散いたしましょう。今からは恋人たちの甘い時間でしょうからね」

「息子の甘い顔など見たくないしな」

「静かに退室いただけないものですかねっ!」

 レイ様の声に、2人は大笑いしながら出ていった。


 急に部屋が静かになって、わたしは恐る恐る、ベッド脇に座っているレイ様を見上げる。

 う・・・案の定、冷ややかに怒りをたたえた目がわたしを見据えていた。

「甘い時間だと?そんな訳ないだろう」

 で、ですよねー。

「俺を謀り振り回しておいて、実は女だったんです、すみません、だけで終わると思うのか?」

 思いません。プライドの塊のような人だし、無礼討ちにされても仕方ない。わたしはこの人の手にかかって死ぬのではないかと思っていた。覚悟を決め、目を瞑る。

「まだお前の気持ちを聞いていない。お前は俺にばかり告白させて、一体何様なんだ?」

 ・・・ん?なんか、思っていた方向と話が違う。目を開けると、相変わらず怒っているレイ様が見下ろしている。

「なぜそんな不思議そうな顔をする?」

「いえ・・・あの・・・無礼討ちになさるのでは?」

 レイ様が大きなため息をつく。

「だからお前は、もう少し空気を読めよ!俺の一世一代の告白をどう考えているんだっ!あんな恥ずかしい事を、よりにもよっていっちばん聞かれたくない父上とダン・クローの前でさせられたんだぞ?!それで何で無礼討ちって話になる?」

 めっちゃ怒ってるっ!わたしは思わず首をすくめた。枕の横に両手が置かれて頭が動かせなくなる。超絶美形な顔がぐっと近づいてきて息を呑んだ。

「それとも、わたしの妃になるくらいなら殺してくれという事か?そんなに嫌か」

 レイ様の低い声にわたしは慌てて口を開いた。

「あ、いえ、そういう事では!あの・・・ええと、レイ様にお仕えするのは、大変でしたが嫌ではありませんでした。ただ、最初からわたしは男性設定だったから・・・そもそも任務中にそういう感情は抱いてはいけないというのはもう、鉄則ですから、無意識にシャットアウ・・・っ?!」

 気づけばわたしの口はレイ様の柔らかい唇に覆われていた。話すために開いていた歯の間から何か柔らかいものが入ってきて、驚きのあまり硬直する。

「んんっ・・・?!」

 それがレイ様の舌だと気づいた時には、良いように口の中を蹂躙されていた。

 まただ、と思う。物心ついてからしてきた訓練の成果は、もう条件反射的に発動してしまう。特に体を拘束されないように抵抗する、口の中は自分の意思で入れたもの以外を排除する、などと言うのは、生死を分ける重大な回避行動なだけに、徹底的に仕込まれてきた。それが、レイ様の時にはなぜか無抵抗で受け入れてしまうのだ。

「どうだ?」

 ようやく長いキスから解放され、ボンヤリとレイ様を見つめていると、笑いを含んだ声で囁かれた。

「わたしとのキスは、嫌ではないのだな」

「他人の舌の感触に・・・ビックリして・・・」

「言ってることには全く色気がないが、そんな潤んだ目で見つめられたら、期待してしまうな」

 そう言って、また深いキスをしてくる。息をするタイミングが分からなくて、ドンとレイ様の胸を叩いた。

「レイ様って、意外にグイグイ押してくるタイプなんですね」

 ハアハアと息を切らしながら恨めしげに睨むが、クスッと笑われてあしらわれる。

「リンは意外に可愛い反応をするよな。馬車の中でも思ったが、本当に男女のことに免疫がないんだな。普段が全く可愛いげがないだけに、そのギャップがたまらない。徹底的に責めてやりたくなる」

 わざと顔を寄せ、反射的に横を向いたわたしの耳元で笑いながら囁く。

「いじめっ子ですか?!」

「知らなかったか?」

 いえ、知ってました。この人はこういう人でした。

「とりあえず、早く傷を治せ。早くお前を俺のものにしたい」

「ふっ・・・んっ!」

 耳を軽く噛まれ声にならない悲鳴が上がるのを、レイ様は楽しそうに聞いて喉元で笑っている。

「とりあえず今夜はどこまで俺のものにしておこうか」

 人の気持ちを聞いておきながら、返事も聞かずに結局自分の好きなようにやってしまうこの人に、わたしは一生翻弄されて生きていくのだろう。

 まあ、それも悪くないかな。わたしのボヤキは幸せの中でのものになるんだろうから。


                ー完ー

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