表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アフター5はメガネをはずして  作者: 皇ハレルヤ
革命が起きた日
36/65

第16話

奥のロッカールームに入るなり、私ははあっと大きくため息をついた。

「正解が、わかんない……」

基本的な接客マナーはあるものの、あとは完全に個人の裁量。

いくら本やネットでノウハウを調べても、実戦で役立つかは実際その場に立たないとわからない。

私はハンカチに包んでいた鍵を取り出すと、ヨロヨロとロッカーに向かう。

着替えを手に備え付けの椅子に座ると、まずピンヒールに手をかけた。

スタイルをより良く見せるためのヒールとドレスを脱ぐと、ドッと疲れが全身に押し寄せる。

生ぬるくなったシリコンのブラをはずし、着慣れた通勤服へ着替えた。

メイクが服につかないよう、細心の注意を払う。

「はぁ……」

当たり前のことだけど、毎日ローテーションで着ている手持ちの服や靴は、本当に体によく馴染む。

背筋をピンと伸ばさなくても平気だし、転ばないように気をつけて歩く必要重ない。

ドレスに着替えた時は一度も確認しなかった、全身鏡の前に立ち、私は自分の今の姿を改めて見つめ直した。

ゴージャスなハーフアップヘア。

髪型にふさわしい、隙のないバッチリメイク。

でも、着ている洋服は地味で、野暮ったくて、流行の「り」の字も感じられないもの……。

(今まで別に、自分のファッションに違和感を覚えたことも、変化を求めたこともなかったのに)

鏡に映った自分の姿を確かめるように、表面をそっとなぞる。

「……首から上だけ、まるで別世界」

元のリラックスできる自分に戻ったはずなのに、なぜか滑稽に思えてきて、プッと吹き出してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ