表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アフター5はメガネをはずして  作者: 皇ハレルヤ
革命が起きた日
21/65

第01話

そんなこんなで、あっという間にやってきた金曜日。

定時ダッシュで会社を出た後、私は単身、地下鉄に揺られながらホステスの聖地・銀座を目指している。

事前にあかりさんにメールで教えてもらった、店の場所や勤務の内容、ルールなどを何度も読み返し、今日のこの日のためにできる限り備えてきた。

課長に申しつけられた作業も、なんとか無事に済ませることができた。

(社会人生活始まって以来の、超絶ハードなスケジュールだったわ……)

7年分の取引先の営業担当の名前、現在の配属先、勤務地、連絡先をまとめたファイルをメールに添付して送信し、すぐさま「先程お送りしたので」と報告にあがった私を、課長は満足げな表情で眺めた。


「月曜日までに確認して、漏れや要修正箇所があれば、追って知らせるから」

「は、はい!」

「お疲れ様」


あの時ほど、誰かからの『お疲れ様』の言葉が嬉しかったことはない。

でも、それもこれも、すべてあかりさんのため。母のため。

そして、ひいては自分のため!

私はいわゆる、ベテラン勢の「あとは先輩の動きを見ながら、現場で覚えていけばいい」という考えに、混乱してしまうタイプだ。

「こういうときはA、こういうときはB」と、何事もマニュアル化してほしいし、できれば「よくある質問・トラブルシューティング」の項目は、どこよりも充実させておいてほしい。

ただでさえ冷静さを失いやすい性質だから、不安の芽は摘めるだけ摘んでおきたい。

心づもりと心構えを入念に準備して、戦場に赴きたいのだ。

時間があれば、業界でいうところの“ヘルプ”の求人情報をチェックし、仕事内容や経験者のブログを血眼になって検索した。

その甲斐あってか、ここのところスマホでネットサイトを見るたびに掲載されるアフィリエイトの広告は、水商売系一色。

(就職活動より、もしかしたら真剣に取り組んだかもしれない……)

大手ネット通販の「あなたへのおすすめ商品」も、露出の多いドレスか元ホステスが執筆した、人心掌握術系の書籍ばかり。

さすがに、それらすべての書籍に目を通すことはできなかったが、目次や後書きなどはチェックして“どのような人物像が求められているのか”を前もって勉強した。

(気に入られようとして、相手に合わせてコロコロ態度を変えるより、ある程度のポジションのお客様には、自分の考えを主張したほうが好印象を与えるのよね)

あかりさんから「ムダ毛処理だけは入念に」と何度も確認されたので、どの角度から見ても大丈夫なように、昨夜母に協力してもらって処理をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ