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アフター5はメガネをはずして  作者: 皇ハレルヤ
瓶底メガネの地味OL
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第02話

私たち経理課の主な業務は、事業所や工場から毎日送られてくる売り上げデータをもとに、取引先へ送付する請求書を発行し、入金を確認するまでだった。

もちろん月に一度、社員の給料の振込手続きや年に2回、ボーナスの振込手続きも行うが、各自の査定事情などにも関わるため、その役割は勤続5年目からしか任せてもらえない。

課で一番新米の私の主な仕事は、もっぱらデータの確認と取引先へのご挨拶だった。

担当する取引先は固定されているので、今抱えている以上に仕事が増えることはないが、それでも毎日膨大なデータが送られてくる。

また、どの取引先も長い付き合いのある企業ばかりなので、日々のメールや季節の挨拶状、お中元やお歳暮のお礼状、電話応対など、やらなければならない雑務は山積みだ。

そんな中、私は”総務部経理課の鬼課長”と異名をとる来栖課長から直々に書類作成を仰せつかり、なんとか時間を捻出して、半泣きで資料を揃えたのだった。

(入社してまだ1年しか経ってないのに、こんな役目をうけたまわるとは……)

さっきからずっと、目の前で難しい顔をしている来栖課長―――来栖和臣くるす かずおみは、我が社の課長の平均年齢が34歳の中、唯一20代で昇進したエリート中のエリート。

(まぁ……ぱっと見、28歳には見えない落ち着きっぷりなんだけど……)

影でみんなから鬼課長と呼ばれているように、他人にも自分にも厳しく、人の2倍から3倍の仕事量をこなす、まさに企業戦士そのものといった風格だった。

銀縁メガネのフレームが日光に反射してキラリと光り、私はその眩しさにクラリとめまいを覚える。

(イケメンなんだけど……能面みたいな印象なんだよね、課長って)

すっきりとした額に、白皙の頬。

日本人にしては高い鼻梁に、神経質さをそのまま表しているかのような、薄い唇。

全体的に細身でスマートな印象だけど、隣に並んで立つと驚くほど背が高い。

女性の平均身長よりも7~8センチ高い私が見上げるくらいなので、180センチは優に越えているんじゃないかと思う。

クールなところが素敵!って、フリーの女子社員も最初は全員が全員、課長にアプローチしようと張り切るのだけれども、彼の素っ気なさすぎる態度に志半ばで、誰しも心を折られていくのだった。

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