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第6話 初めての城下町 後編

そこまでではないですが少し流血シーンがあります。苦手な方は気を付けてください。

 私とアレンは昼食をいただいたあと、エリスさんの店のお手伝いをすることになりました。お手伝いと言ってもお客さんに商品を渡したり、お会計をしたりと現代の店と変わらないものだった。この店にくるお客さんはどの人も私が失敗しても「大丈夫だよ。」とか「頑張ってね。」とか優しい言葉を掛けてくれる。


ここの人たち優しすぎて本当泣きそう。




 店のお客さんが帰り、店番が落ち着いたころだった。


「た、大変です!西の森からモンスターが町へ!」


そう言って扉を開けたのは傷だらけの騎士だった。だいぶ深手を負ってるようで、腕からは大量の血が流れ落ちている。それはモンスターの恐ろしさを物語っているようだ。


私が驚きで何もできないでいるとエリスさんがポーションを持ってきた。


「取り敢えずこれを飲んで傷を癒してくれ。そして何があった説明して欲しい。」


エリスさんが傷だらけの騎士にポーションを飲ませるとその騎士の傷は嘘のように消えた。


「す…すごい…。」


作りはしていたものの使うところを見るのは初めてだった。ポーションの威力がここまですごいとは…。


 ポーションが効き回復した騎士が慌てた声で言う。


「西の森からモンスターが町へあふれ出てきて、今騎士団が対処して入るのですがモンスターの威力が凄まじく負傷者が多発しています。」


騎士は続ける。


「お願いです。仲間を助けるために力を貸してください。」


騎士は必死だった。ここまで仲間を助けるために死に物狂いで走ってきたのだろう。


「ああ。わかった。場所はどこだ。」


エリスさんは冷静に訪ねる。


「西門の近くです!」


「あそこか。わかった。アレン!アオイ!倉庫にあるポーションを持って西門に向かうぞ!」


エリスさんはそういい、私たちは西門へ向かうのだった。









――――城下町西門


「団長! 大変です!南西の方からもモンスターが出てきています!」


そう報告を受けるのはここアルカナム王国の騎士団長ルートヴィヒ・グラウンだ。


「わかった。こっちが落ち着いたら南西に向かう。怪我人の状態はどうなってる?」


緊迫した空気が漂っている。 


「被害は大きく、動ける状態の者は多くありません。」


「そうか…。どうにか住民の避難が終わるまで持ちこたえてくれ。」


「はい!」


そう答えるとルートヴィヒと話していた騎士は急いで持ち場に戻った。


(今回のモンスターは強力すぎる。いったいなぜ突然強くなったのか?)そう考えながら目の前に次々と出てくるモンスター退治に追われていた。








「西門はあそこだ! アレン、アオイは怪我人の手当てにあたってくれ!私は騎士から状況を聞いてくる。」


そう言い残すとエリスさんは騎士のいるところに走っていく。


西門の状況は悲惨だった。門は半壊していて、深手を負っている騎士が道に倒れこんでいる。こんな現場を見るのが初めてな私は足がすくんでしまった。




「アオイ!取り敢えず手元にあるポーションでできるだけ怪我人の回復をさせてください!」


恐怖で何も出来なかった私にアレンは声をかけた。そうだ私には今人を助けることのできる力がある。きっと今動かなかったら一生後悔する。 私は震える手を抑え怪我人の手当てに向かう。





「アオイ。こっちはひとまず終わりました。門の南西の方に向かいましょう。ただ向こうはモンスターがいると思うので僕からあまり離れないように。」


西門では奇跡的にモンスターと遭遇しなかった。だからモンスターがどんなものかよくわかってない。ただただ恐ろしいことだけは伝わってくる。




 門の南西部に着いた私たちの目に入ったのは、さっきよりも悲惨な状態だった。私たちに気づいた騎士はが歩みよって言う。


「向こうにまだ怪我をした者がいっぱいいます。どうか助けてやってください。」


今にも倒れそうな騎士が私の服を掴み必死で訴える。


「アレン!この人をお願い。私は向こうに行ってみるから!」


アレンの「待って」っと言う声を聞かず走り出した。




 少し行くと子供をかばいながら戦っている騎士を見つける。服装がさっきまでの騎士と違う白銀の騎士だ。


私が近づこうとした瞬間白銀の騎士の死角からモンスターが襲いかかろうとしている。助けなきゃと考えた時には体がすでに動いていた。


「てりゃぁぁ!」


私は見事モンスターに跳び蹴りを食らわしていた。自分でも驚いた。昔、少し習っていた柔道がこんなところで役立つとは…!いや、柔道で跳び蹴りしたことないけどね。


そして、私がモンスターに睨み付けるとモンスターは怯えたように逃げて行った。


「…。」


状況が理解出来ず固まる白銀の騎士に私は手を差しのべ


「大丈夫ですか?立てますか?」

と聞いた。 白銀の騎士はわれにかえり


「ああ。すまない。助かった。」

と言って私の手をとり立ち上がる。白銀の騎士はまだ呆気にとられている。モンスターを追い返して安心しきってた私は美形って驚いた顔も美しいんだなぁ。としか考えていなかった。




「アオイ!大丈夫ですか!?」


気がつくとアレンが私の方に向かって来てた。


「うん!聞いて!跳び蹴りキレイに決まったの!」


そう笑う私を呆れた顔でアレンは見る。


本当に凄かったんだからね!?自分でも絶賛したいくらい!!


アレンは私の隣にいた白銀の騎士―ルートヴィヒと少年の方を向く。


「ルートヴィヒ様と住民の子も無事で本当に良かったです。モンスターはあらかた退治したので町に戻りましょう。」


 私たちは町に戻り、残る人の手当てをした。その後、日が暮れる前に帰ることになった。結局ルートヴィヒと話す機会がなかったのが少し残念だったなぁ。







 帰りの馬車の中で私は白銀の騎士こと騎士団長のルートヴィヒのことを考えていた。ゲームでは課外授業で森に出た主人公がモンスターに襲われている住民の少年を助けてる時、ピンチの時に助けてくれるヒーローのように颯爽と助けに来てくれるというイベントシーンがあった。あのときのルートヴィヒのスチルがかっこよくて好きだったなぁ。


んん?あれ?今日の出来事とそのイベントシーンそっくりじゃないか!?あ…。でも、そうなると私ヒーローポジ取っちゃったんじゃ…。 まあ、一回ヒーローポジション奪ったくらいじゃ怒られないよね!他にも見せ場はいっぱいあるだろうし!それにルートヴィヒは跳び蹴りはしなかったしな!なんて言い訳を考えてた。






 魔術棟に帰ってきて「愛しきマイホーム!」と帰還に喜んだ私に待っていたのは長い長ーいお説教でした。長時間の正座は本当つらかった(泣)。


ここでようやく攻略対象の一人が登場です。


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