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第4話 先生、魔法の勉強がしたいです。

 ―――魔術棟の工房にて


「では、最初に基本な回復薬、いわゆるポーションの調合から始めてみましょう。」


「はーい! アレン先生お願いします!」


何故私がポーション作りをする事になったのかは2日前の夜に遡る。


―――2日前の夜


 「アレン。私ここで何をしたらいいのかな?」


夕食をとりながらアレンに問いかけた。


「特に何かを強制することはありませんよ。」


「う~ん。何もないのか~。」


実はこの世界に来てかれこれ1週間がたとうとしてたのにやることもなく正直飽き飽きしてきたところだった。そういえばゲームの主人公は魔法学校に入って魔法の勉強してたな。魔法の勉強する中でポーションを作るというミニゲーム要素があった。傷ついた攻略対象を癒すためにポーションを作るという場面があって、高度なポーションを作るほど好感度が上がるのですごくやり込んだ。ミニゲームは料理ゲームみたいな感じで、混ぜたり火加減を調整したりする。高度なポーションほどレア素材が必要で素材集めに苦労したなぁ。いいな~魔法の勉強。ポーション作り久々にやりたいな~。


「ん?ポーション? そうだ!ポーションだよ!ポーション作りがしたいです!アレン先生!」


勢いよくテーブルに乗り上げた私にアレンは驚いている。


「先生って…。と言うか急にポーション作りたいって言われても…。」


困るアレンに私は私ができる最大限の期待の目を向けた。


「アレン。お願い。」


漫画でよくあるキラキラした目でアレンを見る。


「うぅ…。わかりました。所長に相談してみます。」


「わーい!やったー!」


 アレンはその後所長に相談してくれて見事許可をいただきました。








――――「じゃあ、ポーション作りを始めましょう。」


「はーい!」


「アオイはポーション作るの初めてですか?」


「うん。私がいた世界ポーションとかないからね。」


「え!?ポーションないんですか!?モンスターと戦う時大変じゃないですか!?」


すごくびっくりされた。


「いやいや!モンスターとかまずいないから!モンスターとの戦いが日常茶飯事とか一大事だから!!」


「そ、そうなんですかぁ。戦いにでなくていいのは羨ましいですね。」


アレンは切ない表情をする。普段笑顔を絶やさないアレンの見たことのない表情に私は驚いた。




「あ! すみません。話がそれてしまいましたね。それではまずポーションの説明をしましょう。」


アレンはいつも通りの笑顔に戻ると説明を始めた。


「ポーションには低い順にN(ノーマル)ポーション、S(スーパー)ポーション、H(ハイパー)ポーションの3つがあります。高度なポーションになるほど効果は高いのですが、素材がですね…。全く手に入らないんですよね。」


アレンは苦笑する。 あー。やっぱり素材集め大変なんですね。ポーションの名前何回聞いても某ポケットのモンスターのボールみたいだなって思うんだよね(笑)


「今回はNポーションを作ってみましょう!」


「はーい!」


「まず、この薬草を入れ煮込みます。そして火加減に気をつけつつ少しずつ魔力を込めていきます。じゃあ、早速やってみましょう。」


よし!火加減はゲームでプロ級の腕前だから任せてくれ!


「あれ?でも魔力ってどうやって込めるの?」


ゲームではボタン押すだけだったけど現実にはそんなのない。


「アオイは今まで魔法使ったことないんですか?」


「うん。ポーションもない世界だからね。」


「それは大変ですね…。」


うーん。そんな哀れみの目で見ないで!


「えーと。魔法は頭の中でこういう風に使いたいと想像するんです。」


「説明結構ざっくりしてるな。アレン実は教えるのあまり向いてないんじゃ…?」


「うぅ…。し、失礼ですよ!これでも学校では下の子たちに教える役目を請け負っていたんです! もう、取り敢えずやってみてください!」


「あ。アレンが怒った。」


「お、怒ってません!早くやってみてください!」


怒って顔が赤くなるアレンがとても可愛い。ニヤニヤしてしまうな。


「はいはい。わかりましたよー。」


よし。頭の中で想像するのかぁ。こう手から流れこむような感じかな?


「うぉぉぉ! こんな感じかな?」


「ちょっと見せてください。」


私の作っているポーションを覗きこむ。


「どう?」


「……。」


アレン何か固まってるんだけど…。何か恥ずかしい怖いんだけど…。


「こ、これはすごいですね…。」


お!まさか天才的なできだった!?


「ここまで魔法の才能ない人見るのは初めてです。ある意味すごいですね。」


いやぁぁ!そんな珍しいものを見るみたいに見ないで!


「えぇ!?嘘ぉぉ!?そんなに!?」


普通異世界に来た人って才能が開花するって設定多いよね!?マジか!?少しくらいは才能あるって思ってたのに…。


「だ、大丈夫ですよ!練習すればできるようになりますよ!ゆっくり練習していきましょう!」


「そうだよね!今回は初めてだから仕方ないよね!」


うん。出来ないものは仕方ない。気持ちを切り替えていこう!


 この日からポーション作りの猛特訓が始まるのでした。








―――「えーと。確かこの当たりだったな。」


アレンとの猛特訓の末、どうにかこうにかポーションを作ること成功した。今日はポーションの素材に取りに魔術棟にある庭園に来ています。Sポーションまでなら作れるように庭園で素材(薬草)の栽培をしているそうだ。私の特訓で大量に素材を使ってしまったので庭園まで収穫に来ることになりました。本当申し訳ない魔術棟のみなさん。使う素材を収穫してるとあることに気がつく。


「あれ?こっちに道がある。」


好奇心を抑えられず、私はその道を進んでみることにした。アレンにあちこち行くなって言われてるから見つかったら怒られそう…。


 少し歩くと植物の蔦で覆われている雰囲気のある建物が見えた。少し近づいてみようとした瞬間だった。


「そこに近づいてはいけないよ。」


声に驚いて振り向くと、そこにはローブ姿の人が立っていた。フードを深く被っていたせいで顔は見えない。驚いて何も言えない私にその人は言うのでした。


「君はいずれここに来ることになるけどそれは今ではない。その時、君は運命を左右する決断をするだろう。僕はその時を楽しみに待っているよ。」


そう言うと突然花吹雪が吹いて、気がつくとその人はいなくなっていた。


自分は白昼夢でも見ていたのだろうか。そう考えていると、手に花を握っているのに気がつく。

「これは…白いアネモネ…?」


そういえばさっきの花吹雪の花もアネモネだったような…。あの人は一体誰だったのだろう?運命を左右する決断って?





「アオイー。どの行ったのー。」


気がつくと遠くからアレンの呼ぶ声がした。あ!ヤバい!勝手にどっか行ったのばれたら怒られる。私は急いで庭園に戻った。


 あの人の言った言葉の意味を理解するのはもう少し先のお話。



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