第2話 え…嘘でしょ…
手違いで召喚され、この世界のことを一通り説明してたもらった。その後、今日は「取り敢えず休むように」と言われ豪華な部屋へ案内された。部屋には洋服を用意したので好きなものを着るようにと言われ、また明日今後のことを話ましょうと言い残し私以外はこの部屋を退散してしまった。
よし!せっかくなので着替えて見よう!そんなの気持ちでクローゼットを開けた。
「あれ?」
クローゼットの中は明らかにおかしかった。
中にある服全部男物なんだけど!? あれ!?ゲートの世界観ってこんなだったっけ!? 女の子は普通に女の子の服を来ていたよ!
クローゼットの中を色々探してみたけど一向に女物の服が出てこないので、きっとそういう仕来たりなんだと納得してクローゼットの服で一番動きやすそうな服を着ることにした。あ!因みにお察しの通り私は女です。
私はまず、この乙女ゲームのシナリオを書き出すことを始めてみた。
このゲームは姫巫女として召喚された現代人の少女が世界を救う中で攻略対象と仲を深めていく。攻略対象は4人。それぞれにハッピーエンド、友情エンド、バットエンドが用意されている。
1人目はこの国の王子のレオンハルト・レークス・アルカナム。まるで白馬の王子様な見た目の腹黒王子。何でも完璧にできてしまってすべてに飽き飽きしている時に主人公に出会い自分には持っていないものを持つ主人公に引かれていくと言うストーリー。私はこのレオンハルトを攻略し終わった時にここに呼び出されて他のキャラはまだ手がつけれていないので、ざっくりとしたストーリーしか覚えていない……。
2人目はこの国の騎士団長をしているルートヴィヒ・グラウン。レオンハルトの幼なじみでレオンハルトのよき理解者。若くして団長に抜擢されるほどの実力者で頼りがいのあるお兄ちゃんタイプ。
3人目が主人公が学ぶことになる魔法学校の後輩セシル・ローレンス。主人公をお姉様としたいなついてくれる小悪魔系年下男子。可愛い見た目に反して時折見せる男らしい一面に心を奪われる女性が後をたたない。実は出生に秘密があるようで…。
最後に4人目はこの国で一番すぐれている魔術師ノア・ウェネーフィクス。ミステリアスで謎の多い人物。ノアのルートはこの国の秘密や姫巫女に関することが明らかになるそうだ。こんなことになるなら一番最初に攻略するべきだった…。
まあ、自分は召喚ミスで来た脇役なので主人公を応援しつつ平和に過ごせればいいかなぁ程度にしか考えてなかった。
そろそろ寝ようとベッドを見た。用意されていたベッドはすごくふわふわでさわり心地も高級品なのがすぐにわかった。一般市民にとってこのベッドは豪華すぎて正直寝られるか不安でしかありませんね。そんなことを考えながらハチャメチャな1日は幕を閉じたのでした。
「ふぁ~、もう朝かぁ。」
案外寝られるものなんだなとか考えながら取り敢えず洋服を着替えて顔を洗うことにした。
すると扉がノックされた。
「…あ! どうぞ!」
「失礼します。」
そう言って丁寧に入って来たのは、綺麗な黒髪に整った顔立ちをしている少年でした。
「昨日はよく眠れましたか?」
優しい笑顔で話かける。
「はい! お陰様でぐっすり眠れました。」
「それは良かった。」
相変わらず優しい笑顔で微笑む。
「自己紹介が遅くなりました。僕はアレンといいます。この国で魔術師をしています。」
自己紹介なくても私は貴方を知ってますよ~と言いたいところだが心にしまっておくことにする。なぜ知っているかはもちろん彼もこのゲームの登場人物だからだ。アレンはサポート役で最初にプレイヤーに基本操作を教えてくれる。すなわちチュートリアルにおける説明役だ。本編にはそんなに関わることはないのに攻略対象と並ぶくらいのイケメンにキャラクターデザインされてて、こいつ本当に攻略キャラじゃないのか!?と何回もパッケージを見返した記憶がある。
「今日から貴方の身の回りのサポートをする事になりました。よろしくお願いします。アオイ様。」
「へぇ~。そうなんだぁ。様付けとか何か貴族になった気分だな。こちらこそよろしくお願いします。」
サポートキャラが目の前にいるよ‼とか考えながら返答したのでだいぶアホな感じになってしまった。
「手違いとは言え来客であることにはかわりありませんからね。魔術師の失態は魔術師がどうにかしろと押し付けられ…。」
アレンくんよ。君、本音が漏れちゃってるよ!そこは思っても胸に秘めておこうよ!
あれ?でもアレンって主人公のサポート役だよな?何で私のところに?
「あの…。 もう一人の女の子の方のサポートは?」
「ああ、それならエルザさんがサポート係についてますよ。」
誰だ?それ?とポカーンとしていると
「昨日貴方にここの説明をした魔法使いですよ。」
あ!あのときの位の高そうな人ね。親切に分かりやすく説明してくれたいい人だ。あの人エルザさんって言うのか!覚えておこう。
「あ!あと、"アオイ様"とか恥ずかしいから普通にアオイって呼んでくれていいよ。年もそんなに変わらないし。」
「え?僕年齢教えましたっけ?」
やってしまった。こっちはゲームやってたから知ってますよとか言えないので取り敢えず「私、人の年齢当てる才能があるんだ。」とか訳のわからないことを言ってその場を乗り切った。
「そうでした!朝食の準備ができたのでお持ちいたしました。」
アレンは朝食を持ってきてくれたのか。そういえば朝ごはん忘れてた。
――――「ふぅ。美味しかった♪ ごちそうさまでした。」
出された料理はさすが王宮と言いたくなるほど美味しかった。
「お気に召したようで良かった。後で料理長に報告しておきますね。」
アレンは優しく微笑む。本当その笑顔反則だと思います!!
「今日はこの王宮と僕たち魔術師が使っている魔術棟の案内をしようと思います。」
「よろしくお願いします!」
ここ広そうだから覚えるの大変そうだなぁ。迷子にならないようにしなくちゃ。 そんなこんなで私たちは王宮を回ることになった。
―――アレンは王の部屋や舞踏会をやる会場など色々案内してくれた。 移動中何人かの貴族や使用人に出会う。その中で私はふと昨日の部屋での疑問をアレンに聞くことにした。
「そういえば、ここでは女性でも男物の服を着るのが決まりなの?」
アレンはきょとんとしている。
「いいえ。そんな事ありませんよ。普通に女性は女性の男性は男性に合った服を着ますよ。どうしたんです?急に。」
「え…?じゃあ、なんで私の部屋にはたくさんの男性服が…?」
「それはそうでしょう。男性に男性の服を用意するのは当たり前ですよ。」
「当然ですよ」と言わんばかりのアレン。
「いやいや!ちょっと待って!私生物学上"女"ですけど!?」
「え…。えぇぇぇぇ! 嘘ですよね!?だって昨日の格好どう見たって男に…。」
部屋の服はそういうことだったのか!と言うかひどい!いくら部屋着が兄のお下がりだったし、女子力のかけらもなかったけどこんなのあんまりだ!!
「と、と、取り敢えず魔術棟に行って報告しましょう!」
ものすごく動揺しているアレンと一緒に魔術棟に行くことになるのだった。 その動揺の仕方正直言ってひどい!ここに来て一番のショックだ!と思っていたけど、この後多くの人に同じ反応をされることを私はまだ知らなかった。
拙い文章で申し訳ないです。
誤字を直して少し内容を変更させてもらいました。