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彼女が結婚するその時までは

杵と臼を使った本格的な餅つきの記憶が曖昧なくらい、にゃーちゃんの事を考え過ぎ、頭の中はグルグルこんがらがってしまった。

おばさんから、つきたて餅を勧められるまま食べてしまいお腹はパンクしそう。

苦しい…苦しい…考え過ぎて頭が痛いし、お腹も痛くなってきた

「りっちゃん、お腹いっぱい?漬け物もあるよ?」

うっ、好物の沢庵が出てきた。漬け物は別腹です。ポリポリ…美味しい…日本海から吹く寒風で干された大根の歯応えは最高です。でも、流石に限界。

「ご馳走さまでした」


「あら?もういいの?」

おばさんが残念そうに丸餅を作りながらいう。


「とっても美味しかったです」

使った箸や皿を片付けようと立ち上がる。勝手知ったる、にゃーちゃん家。


「あたしもご馳走さま」


ブルブルっと震える、にゃーちゃん。車庫で餅つきして、その場でつきたての餅を頂いているので身体が冷えてしまうのは道理。一応、ストーブはあるけれどシャッターが半分開いているのであまり効果がない。餅米を蒸かす作業は薪で火を熾すので庭先でしていて、車庫内ではできないから仕方がないのだ。


「ご飯食べたから寒いよぅ」


にゃーちゃんは手を摺り合わせる。

私は満腹なので手はポカポカ。にゃーちゃんは満腹状態だと血液が胃に集中するのか、いつもは温かい手も冷えてしまう。不思議な体質の持ち主だ。私は持っていた食器を置いてつい、にゃーちゃんの手を包み込む。やっぱり冷たい。


「にゃあ、あったかぁい」

「早く家に入んなさいな。片付けやっとくからね」

おばさんが寒がってるにゃーちゃんの様子を見てそう言った。


「うん。じゃあ行こ」

にゃーちゃんは私を連れて家の中に入ろうとする。ここで断るとおばさん達に変に思われるか?考えてる間に、玄関で靴を脱ぎ、そのままにゃーちゃんの部屋まで付いて来てしまった。


「眠い…」


もそもそとお布団を敷き寝ようとするにゃーちゃん。通常運転ですね。食べたら眠くなるって貴女は子供ですか!!


「じゃあ、帰るね」

無防備に寝られると、私が困る。


「帰らないで…頭撫でて」

うぐっ。甘えた声を出さないでほしい。にゃーちゃんのおねだりに弱いの知ってて、言いますか!ご要望に応えて撫でますよ。撫でまくりますよ。


なでなで。


「ん…りっちゃんのなでなで気持ちいい…何でだろ?他の人の撫で方と、何がちがうのかなぁ」


愛情の差じゃないですかね?って、誰のと比べてるんですかね?年下の彼氏ですか…これ、無意識に言ってるんだろうな。ちょっと、いやかなり胸が痛い…


暫く撫でていると、にゃーちゃんの寝息が聞こえてきた。まじまじと寝顔を観察。目の下にうっすらとクマが見えた。

寝不足だったのかな。


私のこと考えて寝れなかった?それとも年下の彼氏が寝かせてくれなかった…とか?想像したくもないけど考え出すと妄想が膨らんでしまう。

そっとにゃーちゃんの首筋を確認し…自己嫌悪。

見えるとこにマーキングする訳ないし…って、そう言うことを考える自分がキモい


にゃーちゃん…苦しいです。年下の男からにゃーちゃんを奪い返したい。

にゃーちゃんを独り占めしたい。



にゃーちゃんを諦めるって別れたはずなのに…友達になるって誓ったのに早くも挫折しそうです

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