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異世界パラドックス  作者: あかま
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第27話 篠崎栞の完全装備

 ローラ学園東棟。

 多数のクラスがある他、広大なアリーナが存在する。

 グラウンドもあり、よく体育の授業で訪れる場所だ。



 そのアリーナの中でこれから巽と篠崎の模擬戦が始まる。

 赤城葵はまるで球場にきているかのようなだだっ広いアリーナを見渡し、何万とある席の一つに座る。

 隣には川里寿子が座り、その隣に南雲が座った。



 不思議なことにここまでの道中、生徒に遭遇することはほぼなかった。

 既に19時を回っており皆下校しているのだろうが、騒動を起こしたのではなかったのか。

 暗くなった空の下、屋外はとても静かだった。



 川里曰く、騒動を起こしたのはネットの中。

 ローラ学園での娯楽の一つ、オンラインゲームの中で皆結託したらしい。

 ゲームといえどバカにはできない。

 ゲームの中に行けばまるで現実世界のような感覚で五感が働くみたいだ。

 よくできていて、生徒が行き来するもう一つの空間。

 そこでの声は現実の声と等しい。



 そうなるとこのアリーナの中に生徒は数える程しか見てとれないが、ネットの中で配信されているのだろう。

 この一戦は全生徒が見ているものととって間違いはない。



 そして定刻は訪れる。

 人間兵器として挑む巽真凛が姿を現した。

 反対からは生徒会の篠崎栞がゆっくり歩いてくる。



「あれ、篠崎さんあんな雰囲気だったっけ」



 そこにいた篠崎はまさしくあの時の顔だ。

 茶髪に肩までかかるツインテール。

 背の高さもスタイルもあの時のものだ。

 ただ、雰囲気と表情が違った。

 ふんわりとした表情はなく、とてもたくましく凛としている。

 それに天然な空気は一切ない。

 凄く落ち着いて見える。

 そして背中には二丁の銃をクロスさせていた。



 対して巽も気を張っているのかいつもの余裕と笑顔はない。

 やはり相手が相手だけあって緊張しているのか。

 それともわざと負けなければならない指示にどう動いていいのか困っているのか。



「篠崎さん、本気ですね」



 川里が言う。



「本気?」

「ええ。愛用のスリートリガー二丁を背中につけてます。それに腰には弾数三の高威力炸裂リボルバーを二丁。後ろの腰に忍の刀みたいにつけてるあれは近接用の爆炎ブレード。足には超電導ラムジェット。完全装備ですね」

「あーよく分からんが本気なんだな」

「真凛が攻略しなきゃいけないのはスリートリガーでしょうね。篠崎さんはほぼあれのみでくると思います」



 もちろんここで抜かりなく疑問をする赤城。



「そのスリートリガーってなんだよ」

「文字通り引き金が三つある、散弾銃に分類される銃です。大型の大口径三連バレルでそこから出る銃弾が引き金の一つ目。二つ目の引き金は推進装置を搭載した誘導爆弾が砲身の下部から発射されます。そして三つ目は」

「分かった分かった。百聞は一見にしかずだからな。もう始まるし見ようじゃないか」

「逃げましたね。まぁ真凛の力も魔法みたいですけど、篠崎さんが使う行きすぎた科学もまた魔法みたいですよ」



 川里寿子という人物は何故ここまで物知りなのだろうか。

 基本的に全ての疑問を解決してくれる。

 地球外生命体っているの?

 と質問しても専門用語を交えて詳細に自分の意見を述べてきそうだ。

 この話題は必ず長丁場になるからしないが。



 そしてもう一つ疑問が残る。

 篠崎栞は上からの指示によりこの試合には必ず勝てるはず。

 それなのに本気をだしてくるとは。

 これを見ている生徒への演出なのか。

 それとも……。



 アリーナにブザー音が鳴り響く。

 全生徒に配信される巽の滞在をかけた一戦が始まる。



次回は巽視点に切り替わります

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