龍王降臨!
はじめに
この作品は一話一話でよく場面が切り替わります。なのでここ分けた方が良くない?と感じる事もあるかもしれませんが、気にしないで下さい。
降りしきる太陽光と街を覆う巨大な雲。天候は晴れ時々曇りなり。
雲の隙間から度々差し込む太陽光に照らされ人界に降臨した龍王ドラグス・V・マグナートは上空から俯瞰するように人界を見下ろし、感嘆の声をあげる。
「おお!これが今の人界か!」
ドラグスが最後に人界に降りたのは最早何千年前だったのだろうか。本人でさえ分からぬ程の年月が経った人界は今、大迷宮都市と呼ばれる4つの巨大な街が聳え立っている。
人々は大迷宮都市がある場所を中心に国を形成し、現在の人界にある国と呼べる物は大迷宮都市を所有する4つのみ。
かつてドラグスが降臨した時の人界はまだここまでの広大な土地は無く、未踏破領域と呼ばれる領域に世界の大半を占められていた。人々は生存する事を許された僅かな土地をお互いに奪い合い、争い合う。まさに大戦争時代だった。
未踏破領域とは人類が未だ到達出来ていない領域を指し、そこは龍王たるドラグスでさえも迂闊に手を出せない危険を孕んでいる。
それは何故か。
普通に考えたら神王とさえ呼ばれるドラグスにかかったら幾ら未踏破領域が危険な場所であっても簡単に開拓出来るだろう。だがそれを良しとしないのがこの世界ディセイブなのだ。
未踏破領域は開拓されるまで終始特殊な魔素を発生させる。その魔素は人族には長時間浴び続けなければ大きな影響を与えないが、神力を持つ神々には僅かな時間でとんでもない影響を及ばす。
激痛、目眩、意識混濁、神力暴走。
神力を持つ者がその魔素に長時間触れているとこのような症状を引き起こす。
かつてその魔素に触れて神力暴走をおこしたとある神をドラグスは自らの手で屠った事がある。あの神のあの時の様相は悲痛の一言に尽き、目を瞑れば未だにその時の痛々しい姿と死する時の安らかな笑みが脳裏に浮かんで来る。
未踏破領域には一定間隔毎に核と称される特殊な魔素を発生させる塊が存在する。それを破壊すれば辺りに立ち込める魔素はたちまちに消え失せ、人の生存が許され神々も降臨出来る土地となる。これを開拓と呼ぶ。
「未踏破領域は未だ世界の7割以上を占めておるか。だがそれでも人類の領域はかつての何十倍にも拡大しておるな。頑張ったではないか。だが……あやつが死んだ領域はまだ開拓されておらんか……」
ドラグスは人族達の成長に嬉し気な顔をし、次に未踏破領域のある一点を見詰め、陰りのある表情を作る。
(いや、もう彼奴の事は考えても意味無いな……)
ドラグスは内心呟いた。
神々は未踏破領域を開拓した人族に恩恵を授ける。人族は神々の恩恵を授かるために未踏破領域の開拓を続ける。そんな持ちつ持たれつの関係を人族と神々は数万年も続けてきた。
現在開拓されている地域の最前線が大迷宮都市にあたる。そしてドラグスの目的もそんな大迷宮都市である。
「さて、と……何処の大迷宮都市に行くかのう……」
ドラグスはキョロキョロと人界を見回し、どの大迷宮都市に向かうか思案する。
「よし、決めた」
ドラグスが選んだのは東西南北にそれぞれ一つずつ存在する大迷宮都市の東の大迷宮都市。
そこを選んだのにこれと言った理由は無いつもりだが、無意識のうちにかつての大事な者が死んだ東の未踏破領域に近い所を選んでいた。
「では行くか」
瞬間、ドラグスの姿はその場から消え失せ、次に現れた時には既にその姿は東の大迷宮都市「ラビリンス」にあった。神威魔法「瞬間移動」自身の認識している空間に瞬時に移動する神々の十八番の魔法だ。
「ククッ、現在の人界の街はどうなっているのだろうな」
ドラグスは無邪気な笑みをこぼしながら大迷宮都市「ラビリンス」大通りを目指し進んだ。
***
大迷宮都市「ラビリンス」。
『迷宮』と称される巨大な地下迷宮を保有する巨大都市の一つ。
都市と迷宮を管理する絶対機関『ギルド』を中核として栄えるこの都市はありとあらゆる種族の者達が生活を営んでいる。
通常、森を住処とする誇り高い種族森人、過酷な環境下で生活を営む種族獣人、鉱山を住処とし、鍛治や物作りに勤しむ種族鉱山人、種族として特筆する特徴は無いが絶対的に数の多い種族人間。彼等を総じて人類や、人族と呼ぶ。
数多の種族が生活を営むこの都市はつい数百年程前に開拓されたばかりの領域であった。
「ふむ……人族の生活水準はかつてと比べ物にならぬな……。しかし気になるのは時折見かける完全武装をした者達だが……よし、奴等が来た方向に進んでみよう!」
迷宮に潜り、そこから得た収入で生計を立てている人達は探索者と呼ばれる。それを知らないドラグスは鼻歌混じりに彼等が向かって来る方向、大迷宮都市ラビリンスの中心部へと進む。
暫く進むとドラグスの視界に開けた広場のような場所が写った。
「む?」
その先にあったのはこの街でも類を見ない程の巨大な建物、大迷宮都市の全てを管理する絶対機関『ギルド』であった。
ギルドの周辺は活気に満ちており、これから迷宮に向かう探索者をターゲットとしたポーション販売の露店やら、逆に迷宮から帰って来た者達をターゲットとした新鮮な食品販売の露店が軒を連ね、それに集まる探索者や一般市民達が口々に商品を購入して行く。
「おぉ……」
龍界『ミドガルズオルム』で永遠とも思える程の年月を退屈して過ごして来たドラグスにはその全てが新鮮であり、かつ胸を高鳴らせるに足るものであった。
口からは無意識に感嘆の声が漏れる。頭の中は既にこの都市の事で一杯だ。
周囲の人々がそんなドラグスに訝し気な視線を送り、その整い過ぎた容姿に眼を見張る中、ドラグスは暫し呆然とその場に立ち竦んでいた。
それからどれだけの時間が経っただろう。数分、数十分、それともたった数十秒か。時間感覚が曖昧になっていたドラグスははっ!として漸く歩みを進める。
(いかん、我とした事があまりの衝撃に呆然となってしもうた。まさかあんないがみ合っていた種族達がここまで仲よさげにしておるとは、時の流れを感じるのう……)
かつての自身の記憶と現在の世界の様子を比べ感慨深いものを感じながらドラグスはもう目と鼻の先にあるギルドへと進んで行く。
ギルドに近付くにつれ武装した者達が目立つ様になってくる。ドラグスはそんな者達の装備を見ながらほぅ……と少し微笑みながら内心、感心の意を示す。
(良く手入れされておる。この者達の装備への愛情をひしひしと感じるわい)
ギルドに到着したドラグスは縦横3メートルはあろうかと言う入り口を通る。ギルドの入り口は基本的に閉じる事は無いのか、そこには扉になり得る物が存在していない。
入り口を潜るとそこは外とは違う熱気に包まれていた。
この街にある建物の中でも特に巨大なこの建物の内部はその外見通り……いや、外見以上な広さを誇っていた。
ギルドの奥にら横にずらりと並ぶカウンターには一人一人別の人物が配置されており、種族、性別関係無しに皆一様に忙しそうに仕事をしていた。パッと見ただけでも数十はカウンターがあるのにも関わらず、その全てに列が出来ている。
ドラグスはその光景に圧倒されるも、龍王として君臨していた事により培った胆力でなんとか持ち直し、一番並んでいる人数が少ないカウンターに向けて進んだ。
そのカウンターには5人程並んでいたが、受け付けの女性は慣れた手つきで作業をこなし、数分と待たずドラグスの番となった。
「こんにちは、貴方様はお初ですね私シアンと申します」
「む、これは丁寧に。我はドラグス……いや、ドラグと言う。忙しい所をすまぬがここはどう言う所なのだ?恥ずかしながら我は現在のこの世界に疎くてな……」
丁寧に名乗られたドラグスはうっかり本名を名乗りそうになるが、人界でも龍王ドラグスは龍神ドラグス・V・マグナートとして語り継がれるており、彼の事を知らぬ者はいないと自信持って言い切れる程有名なのだ。流石にそこまで有名では同姓同名とは逆に言えない。よってドラグスは自身の名を一つ取ったドラグを名乗る事にした。
「……ドラグ様ですね。ドラグ様の言によるとドラグ様はギルドの事や迷宮の事をあまり理解しておられない様子です。よろしければご説明しますのでこちらへどうぞ」
シアンと名乗った森人の女性はそう言うとギルドのカウンターを開け、奥にある部屋へと誘う。しかしドラグスは見逃さなかった。彼女がドラグ様と言う前にあった一瞬の間を。
どうやらドラグスの下手くそな誤魔化しは彼女にはバレバレであったらしい。しかし、特に悪意等は感じられなかったのでドラグスは大人しくシアンの後に続く。
幸いな事にドラグスの後ろには誰も並んではおらず、シアンの仕事が早いからなのかそれとも別の理由か、正解は分からないが結果としては幸運であったと言える。
「すまぬな、忙しいだろうに我の都合でこうして貰って」
「いえ、構いません。これも私達の仕事のうちです」
何やら資料の用意をしていたシアンはこちらを振り返りそこで漸く両者はお互いの容姿をまともに見た。
キリッとした目付きに心情を悟らせない無表情。身長の程は160cm半ばか。それなりに自己主張を行う胸に、モデルのようにすらっとした手足。短めに揃えられた髪は緑と黄色が薄く混ざり合ったような色合いをしている。そしてこちらを見据える双眸は緑……否、それよりさらに澄んだ緑玉色。エルフ族の特徴であるピンっと尖った耳の片方には中心に小さな赤い宝石をこしらえた金色のピアスを付けている。彼女を一言で表すならクールと言う言葉が適切だろうか。その容姿は街中ですれ違うと10人中9人は振り向くだろう程に整っていた。
シアンもドラグスの観察を終えたのだろうか。観察するようドラグスを見詰めていた視線は今は薄れている。
シアンはドラグスの容姿に一瞬少し驚く気配は見せたものの、その感情は既に消え失せ、代わりにとばかりに資料をドラグスの前に差し出した。
「それでは説明に入ります。ドラグ様のお聞きしたい事はなんでしょうか?」
「取り敢えずこの大迷宮都市とか言う物の特徴と、さっきもいた完全武装した者達について教えて貰いたい。それとこのギルドと言ったか?ギルドは何をしている機関なのか……だな」
ドラグスは差し出された資料に軽く目を通しながら素直な質問をぶつける。
シアンはドラグスの問いに少し驚きを示すも、直ぐに元のクールな雰囲気に戻り、それ以上は何も聞かずに話をしてくれた。
「そうですね……順に説明すると、大迷宮都市とはその名の通り巨大な迷宮を中心として発展した街の事を指します。
現在開拓されている範囲では東西南北にそれぞれ一つずつ、計4つの大迷宮都市が存在し、ここ東の大迷宮都市をラビリンス、西の大迷宮都市をエクソダスィ、南の大迷宮都市をセドゥセント、そして北の大迷宮都市をアドマンナスと言います。
大迷宮都市に存在する迷宮はそれぞれの特色があり、このラビリンスは果てし無い深さと階層毎に違う環境が特徴です。ちなみに現在の最高到達点が320階層となっております。
他の大迷宮都市の迷宮は大体100〜300階層で迷宮攻略となりますが、このラビリンスは恐らく1000階層程度はあると言われています」
1000階層……それがどの程度の規模かまだ迷宮に入った事の無いドラグスには分から無いが、この大迷宮都市は数百年前に開拓されている地である事を考えるとそれは相当な規模だと予想出来る。寿命の無い龍族達にとっては数百年など大した時間では無いが、平均的な寿命が100歳程度の人族からしたらそこまで到達するのにとんでもない数の偉人達の死が必要となる事は明らかだ。何せ数百年かかってまだ全体の半分も攻略出来ていないのだから。
ドラグスはふむ……と感慨深気に吐き、続きを促す。シアンもこくりと頷いて話を続ける。
「次に完全武装の人々についてですが、それは主に迷宮探索や未踏破領域の開拓を生業とする探索者達の事だと思います。探索者はギルドと密接な関係にあるのでこのままギルドの説明へと入りますが、よろしいですか?」
ドラグスは無言で首肯した。
「では失礼して……ギルドは大迷宮都市において最も力を持つ機関の総称です。先に述べた迷宮も探索者も大迷宮都市に存在する限り全てギルドの管理下にあると考えて下さい。探索者はギルドに迷宮の情報を提供する義務があります。そして探索者から齎された情報で何かの事件が発覚した場合、その件に最も適した者に指名依頼と言う形でその対処に当たって貰います。ギルドからの指名依頼には拒否権は無いのでそこはあらかじめ了承していただいております。勿論そのような権利を持つ以上、その見返りとしてギルドは探索者達が持ち帰った魔石やらドロップアイテム、迷宮産の食材や鉱石などを高価格で引き取らせていただいております。具体的な額はその時の需要によって上下はしますが、それでも一定以上の額は支払います。……とまあ大雑把ではありますがこれがギルドについての説明となっております。何か分からない点などはございますでしょうか?」
「ふむ……いや、よく分かった。感謝する」
「恐縮です」
ドラグスの言葉にシアンは微かに頭を下げる。
「ところで、だ」
そこに響いたドラグスの声にシアンは「はい」と言ってドラグスの眼を見詰める。誰もが見惚れるような容姿のドラグス相手にここまで動揺を見せずに対応出来るのは相当な精神力の持ち主か特殊な趣味の人だけだろう。そしてシアンは間違い無く前者だ。
「我がここで探索者になりたいと言ったらなれるのか?」
そう言ってドラグスは悪戯っ子染みた笑顔をシアンに向ける。
説明を聞いた限りだと探索者は迷宮を攻略する人材……つまり戦闘を行えると言う事だ。
龍王たるドラグスはそんじょそこらのモンスター達が何十万、何百万と襲い掛かって来ても片手間にあしらえるのだが、それでもやはり龍族と言う種族は戦闘が好きだ。片手間であろうと戦えると言う事に嗜好を凝らす。それに今のドラグスは龍王としての姿では無く、世間一般で言う人間の姿だ。この姿での戦いも是非行ってみたい。それ故の期待であった。
「可能です。と言うのもこの部屋は元より探索者希望の方が探索者登録を行う場です。ギルドに来るのが初めてであろうドラグ様が私の元にやって来た時点で私はドラグ様が探索者希望の方だと思っていたのでこの部屋を用意しました」
なんと言う事だろう。つまりシアンは元からドラグスを探索者として登録するつもりだったと言う事か。ドラグスが探索者になる事を希望し無かったらシアンのこれはとんだ失態であったところだ。
「なんだそうだったのか。まぁ良い、我としても主の説明で探索者と言うものに俄然興味が湧いてきたところだ。このまま登録を頼む」
「了解しました」
下手したら失態を晒していたと言うのにシアンは何処までも冷静だった。座っていた席を立ち、何やら特殊な魔力を放つカードを用意する。
「これは迷宮で取れる特殊な素材を特殊な製作法を使って作られたランクカードと言うアイテムです。これは所有者登録を行うと、所有者と一体化しランクアップと言う特殊な能力を授けます。
ランクアップとは一定以上の経験値が溜まると自然と行い、自身の能力を大幅に増幅させてくれる機能の事です。
迷宮は階層が深くなるにつれ強力なモンスターが出現するようになるので、このランクを一定以上にしないと規定以上の階層には進む事が許されません。これを破り勝手に規定以上の階層に潜り、それが発覚すると最悪ギルドからの強制除名と言う事になってしまう場合もありますので十分ご注意下さい」
ドラグスはシアンの説明をしっかり聞きつつも視線はランクカードに集中している。
(これ、我がランクアップするととんでもない事になってしまうのではないか?)
ドラグスの懸念は最もだ。ただでさえ一人で全ての龍族や神々を纏めて相手取っても遅れを取らない程の戦闘能力を持つドラグスがランクアップなどしたらそれこそとんでもない事になる。
ドラグスは理知的なのでその力で世界を滅ぼすなんて事は絶対しないだろうが、それでも他の神々からはお小言を頂戴してしまう事にはなるだろう。
(まぁ別に良いか)
だけどそれを全く気にしないのがドラグスクオリティ。小言程度聞き流せば良いと考え、ドラグスはランクカードをシアンに差し出し、では早速登録を頼むと言った。
シアンは了解しましたと一言告げ、カードに何やら魔法言語を書き込んで行く。その隙にドラグスはシアンより書いてくれと頼まれた簡単なプロフィールを記入して行く。
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名前:ドラグ
性別:男
歳:
特技:色々
動機:好奇心
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「確かに預かりました」
記入されたプロフィールにさっと目を通したシアンは空欄の所について何を言うでもなくそれを懐に仕舞い、次に魔法言語がびっしりと書き込まれたランクカードを取り出した。
「では探索者登録を行います。ここに血を一滴垂らして下さい」
渡された針で僅かに指を傷付け、指示された場所に血を一滴垂らす。
垂らされた血はみるみるうちにカードに吸収されて行き、それに伴い明滅を繰り返す魔法言語。そして垂らした血が全て消えると、カードはふわりと浮かび、そのままドラグスの胸に吸い込まれる様にして消えて行った。
「ほう……これでランクアップの能力をーーっ!?」
ランクアップの能力を授かったと言おうとした瞬間、唐突に感じた胸を締め付けられるような感覚。幸いな事にシアンは後ろを向いて何やらまた作業をしていたためドラグスの僅かな表情の変化は悟られ無かったものの、胸を締め付けるような痛みは未だ健在だ。
(この感覚……従属魔法か。人族が作ったにしては中々の威力だが、この程度の魔法で我を縛るなど、片腹痛いわ!)
ドラグスは瞬時のその感覚の正体を看破し、そのままあっさりとその魔法を弾き抵抗に成功した。
だがなるほど、ギルドが迷宮と探索者達を管理する絶対機関でいられる正体がこれか。確かにこれは普通の人族では防げまい。かかったら最後、解放されるまで決して術者には逆らえ無いだろう。
ドラグスは内心でククッとこの子供騙しの魔法を笑う。
(シアンからは敵意や悪意は一切感じなかった。つまりこれはギルドの関係者でさえ知らぬ事実と言う事か)
ドラグスはギルドに存在する闇の気配を微かに感じ取りながらも無視する事にした。ここでギルドを断罪してもただ悪戯に混乱が起こるだけ。それなら自分は抵抗したのだからもうそれで良いじゃないか、わざわざ人界に降りて来てまで問題を起こす必要は無い。
最もギルドの闇が自身に迫った場合は話は別だ。その時は然るべき報いを受けて貰う。
龍王ドラグス・V・マグナートは不敵に笑う。ああ、なんて退屈のしなさそうな世界なのだろう、と……。