無色透明の少女
私は「無色透明」
真っ青な空にも、真っ暗な闇にもなれない「無色透明」の空気。
……だから彼にもこの想い届かない。
……気づかないまま。
「お前、ほんと空気だよな」
何気ない日常の会話。
何気ない台詞。
偶々偶然隣の席に座った彼が切り出した一言。
「お前ってほんと無色透明」
笑顔で言う彼の台詞に「え?」と返してから俯いた。
「そーいうとこ、本当に無害な空気。で無色透明」
にかっと言い切る彼に、俯いたままくすっと笑う。
無色透明。
真っ青の空にも、真っ暗な闇にもなれない「無色透明」の空気。
彼の想いは「まだ」彼には届かない。
……でも、知ってる?
彼はその「無色透明」がないと生きれないの。
誰にも気づけない想い。
届かない想いは「無色透明」に紛れて空中に拡散される。
気がつかないまま、有害な毒になる。
私の想いを乗せたまま彼の身体を侵す空気。
私は「無色透明」