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お耳の小人

作者: あまね

 耳に残るような声、耳から離れないような声というものがある。

 それが心地よい声なら何度も何度も聞いてみたいという声もあるだろう。

 

 僕だって、何度も聞いてみたいと思った声がある。


 そんな声に誰が応えてくれたのかわからないが、僕の耳には小人がすんでいる。


 基本的に昼夜問わず、毎日毎日、飽きもせずに僕の耳元で声を出してくる。

 毎日聞いているはずなのに、とても心地よい声だったり甘い声を出したりしてくるのでずっと聞いていいられる。

 

 その声が良く聞こえるようにと耳掃除をしてみると最初は驚いたような声をだしたが、それでも耳掃除したあとの耳の中の具合がいいのか、耳掃除を好むようになり耳そうじを催促する事もある

 

 耳掃除をしたときは、お礼のつもりだろうか、好きだった彼女の声やアニメのキャラなどでお礼をいってくれたりする。

 耳掃除をしないとヤンキーのようにドスの聞いた声で脅したり、悲痛な声で情に訴えてくるなどしてとにかく耳掃除を好んだ。


 そしていつしか耳に小人がいるのが当たり前になると、困ったことがおきた。

 いや困ったことと言うより、考えてみれば当たり前の事だが小人以外の声が聞こえなくなったと言うことだ。


 誰かと会話しようとすると小人はその時はいつも以上に多く声をだしてくるので、ついついそちらに意識が集中してしまい、他の人の声が雑音のようになってしまった。


 人の話を聞かず、甘言にだけ耳を傾ける人間としてどうかと思うぐらいに駄目になってしまっていた。


 しかし人間駄目になれば駄目なりにどうにかしようとし、僕はある解決方法が思い浮かんだ。

 もっともそれはもっと人間として駄目になっていく方法ではあった。


 目は見えるんだから会話はメールなどで済ませればいいじゃないかと、そしてテレビは小人で葺き替えてもらえればいいじゃないかと。


 そしてそれは案の定時たま耳掃除をしながら僕はもっと駄目な日々を過ごしている。




 

 

 

 

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