勇者の目覚めと勧誘
会話が多くなった…………
さて、会話が多くても良いのかな。
その点ご意見を……
とりあえず久々の更新。
次は再来週かな。
待っててください!
ドリアード戦から2日。
保護(?)した二人は起きる気配がない。
死んではいないはずだけどな、まあいっか、死んでたらその時はその時だし。
後3日経っても起きてなかったら処分だな、余計な食料も使わなくていいし。
ちなみに、食料は貯めてあるので約一年はもつ、水は地下水、なので暮らしに困る事は一切無い。
けれど、心配なのは掃除……
機械に任せてるけど、たまに壊れるし、もしそうなっても直せない……
しかも敗戦した相手を奴隷にしても城の中は入れないし……
魔力を持たない人が入れば数分ももたないだろう。
魔力感知器でブザーなるし、そもそも闇魔力以外は入れないし……
牢屋は特別に感知器一切設置してないだけで、城内全てに感知器を付けてある。
もともと感知器は敵侵入がすぐわかるように設置したものだし。
感知器も特別製で闇魔力だけは感知しないように改造されてる。
ってか心配事がひとつあったのをすっかり忘れてた……
闇魔力を持つ人は全員が前科者。
恨み、妬み、などが魔力として体に宿る。
他の属性は魔法師になるために訓練し、いつの間にか属性が現れていた、というものだ。
つまり、ここから出ていった皆は入国の際や入団の際に魔法の属性を調べられた時点で追い返される場合がある。
このギルドはそういう人のために創ったのだ。
平和過ぎてそんなことを忘れていたのであろうか。
まあ、もしもの時は帰ってくるだろうけど……
2戦目は距離で言うとギルドが来ると思うんだけど、ドリアードの敗戦で少し遅れればいいけどな……
外の死体は夜にアンデッドモンスターが少しずつ地中に持って行ってるけど、まだまだ残ってる。
って言うか、あの勇者と勇者級全然起きねえな。
もう2日経ってるっての。
夕飯作ってくっかな、こいつらまだ起きそうにないし。
そう思って身を翻して厨房に向かう。
後方でうめき声がした事に気がつかずに……
――――――――――――――――――
「こ、ここはどこだ、あっ、ファルバ様!?」
「ファルバ様、ご無事ですかファルバ様っ!!」
「ぐぅ……こ、ここは」
「わかりません、私もたった今目が覚めたのです」
「そうか、まあ良く考えればここが牢と言うことはわかるけどな」
「と言うことは、我々は……」
「そう、敗北したんだ」
だが、疑問だなぜ私たちを助ける?
敗北した私たちなど放っておけばいいのに、わざわざ助ける理由は……
「……ルバ……ファ……ファルバ様!!」
「!?な、なんだ」
「ここから脱出しましょう」
「道具もないのにどうやって?」
「魔法があるじゃないですか!」
こいつ何も知らないのかな、今時の牢屋は抗魔物質で造ってあってかすり傷すら付けられないのを。
ま、気が済むまで勝手にやらせていよう。
「勝手にしてなバルゴ」
「なんですかその言い方、僕一人でなんて無理です」
そう言って抗議してくるバルゴを軽くあしらい、空腹を紛らわせる為に睡眠をとることにした。
――――――――――――――――――
料理っつってもほぼ焼くだけだけど、他の料理はめんどくさい。
けど、鍋はたまにするぞ、片付けめんどいけど。
そろそろアンデッドモンスターが出てくる頃かな、明日の朝まで死体残ってたら一応見に行くか、もしかしたら生きてるかもしれないし。
野菜を炒め、肉を焼いた。
これが今日の夕飯。
ほぼ毎日肉だから魚も食べたいなぁ……
とは思うものの、今となってはこの城から出ることも出来ないし。
数人でいいから帰ってきて欲しいな……
考えててもしょうがないか、これ食べたら寝よう。
――――――――――――――――――
「ファルバ様寝てるし、この牢屋かすり傷すらつかないし、どうしろってんだ、ああ゛、腹へった……」
くそ、ここ看守も居ないのか?
腹が減って寝ようとも思わないし、どうしよう。
最後にありったけの魔力を込めてぶつけてみよう。
“破壊焔”
…………ドサッ
―――――――――――――――――――
翌朝
「今日もいつも通り快晴、こんな日に部屋に篭って機械いじりとかマジで嫌だな、とりあえず牢屋の様子でも見に行くか」
―――――――――――――――――――
「ふう、寝て空腹を凌いだとはいえ起きると相当来るな」
バルゴはまだ寝てるか、結局かすり傷すら付けてれないみたいだし。
流石にこのままじゃ餓死するよ、マジで。
「「あ」」
「起きてるじゃん、死んでなくてよかったな」
「お前は大罪人」
「なんだよ助けてやったんだから感謝しろよ」
「ま、まあ手当してくれた事は感謝する、が、なぜ助けた?助けても何もいい事はないだろう?」
「そりゃそうだ、いい事なんて無いよ、逆に損するわ」
「じゃあここから出せ」
「そんなことよりまず飯食うか?」
「…………あ、ああ」
「待ってろ作ってくる、後そいつ起こしとけ」
はあ、野菜炒めるだけでいっかな、貴重な肉なんてやれるかっての。
―――――――――――――――――
「はあ、大罪人に飯を作ってもらうなど、というか現状だと立場が逆転してるじゃないか」
とつぶやき再び大きな溜め息を漏らす。
さて、バルゴを起こすか。
死んだように寝てるこの状態で揺さぶって起きるとは思えない、そうと決まればあれだ!!
数分後。
「作ってきたぞー」
そう言って牢屋の前に立って二人とも起きてることを確認……
「ぶふっ!?」
さっきねてたやつの顔がパンパンに腫れてる。
横で笑ってんなよ主犯が。
にしても気付かないもんかね、実際ああなってみるとわからないものなんだろうか。
「ど、どうしたんだ?早く飯を……」
顔が腫れてる事に何の違和感も持たず飯を求めてくる。
やばい、再び笑いが……
「ほら、パンと野菜を炒めたものだ」
「感謝する」
「ありがとよ」
今のうちに出来る質問はしておこうかな、どうせすることないし、暇つぶしに。
「というかなんで勇者、勇者級計3人で軍を率いて来たんだ?龍に勝つには少なくとも勇者が10人は必要だぞ?」
「あぁ、その事か、それはだな、小手調べだと思う、なんせ裏で捨て駒と言われていたぐらいだからな」
捨て駒か、捨て駒……捨て駒……捨て……そうだ、捨て駒=捨てられたも同然、ということじゃないのか?
仮にこの二人に聞き、そう感じているのなら、勧誘をすればいいじゃないか。
そうと決まればさっそく。
あ、まて、俺こいつらの名前知らねえ、まず名前からか。
「そう言えば、お前らの名前は?」
「名前を聞くときはまず自分からだろ!!」
「まあそういうなバルゴ、というわけで、俺はドリアード国の第15勇者ファルバだ」
「ファルバ様、なぜ俺の名前からゆったのですかァァァ!?」
「まあ、このうるさいのが俺の部下バルゴ」
「俺はこのギルドのリーダー、グラダースだ」
「「知ってる」」
そりゃそうだろうが、俺を殺しに来た奴らが名前を知らないはずがねえよ!
「とりあえず2つ質問があるんだがいいか?」
「いいぞ、その代わりこちらも質問させてもらうぞ」
「りょーかい。で、一つ目は俺が指名手配された理由だ、俺たちは依頼書に従い依頼主のところへ行き頼まれた龍を討った。それなのにどうして指名手配されなければならないのか。ということだ」
そう、これが一番の疑問だ。
依頼のとおりに龍を討っただけ、それに龍を討伐してはいけない決まりなんてない。
「それはだな、最初から説明すると、世界各地で龍による被害が出始めた。その事で各国の王が集まり議論。結果覇龍バハムートの存在に行き着いた。今は157年つまり覇龍バハムートが生まれてまだ幼いと言われるくらいの時期だ」
「まて覇龍バハムートって何だ?」
「龍の頂点に立つ奴のことだよ、そんなことも知らねえのか?っつか黙ってファルバ様の話聞いてろ」
「幼い覇龍なら倒せない事も無いという事実を知ってるものは、すぐに覇龍の眠っている森へと偵察を出した。報告は、姿はなく争った跡だけが残っていたそうだ。その後も周辺を捜索して見つかったのがこのギルドの紋章が刻まれた鎧だ」
「ちょっとまて」
「おい、ファルバ様の……」
「バルゴ黙れ」
「は、はい」
うわぁ、怒った〜……
「このギルドに紋章はあるが鎧はある訳が無い。なんせ魔道士のみのギルドだから。それに、ギルドの掟として『装備にギルドの紋章を刻むべからず』ときちんとある」
そう、この掟がある限り鎧に紋章など刻むやつはいない。
「隠れて作っていたということもあるだろ?」
「それもない、なんせこのギルドは掟を破る=即退団。そのリスクを冒してまでそんなことをするやつは居ないはず……」
ああ、なんにせよそう言う事だ。今更そんなことを公言しても誰も信じないだろう。さ、もう一つの質問を」
「そうだな、捨て駒として出兵させられ、敗戦。そうして生き残った二人は国に戻るのか?」
一応国に戻るのかどうかを聞いておく、帰る帰らない、どう答えても勧誘するけどね。
「一応帰る。帰ってからどう扱われるかだな」
先にカードを切るか、まだとっておくか。
心理戦になるかな?
「ちなみに、以前うちの諜報部をドリアードに派遣した。ギルド、ブルーフェニックスとの戦争の時かな。その時8回の衝突があった。そのうち一回は惨敗、他2回撤退、5回の勝利」
「何が言いたい」
「惨敗した軍の指揮官と残兵がどうなったか知ってるか?」
「あの戦では生き残りは居なかったはずだが?」
「そう、恥さらしは必要無いと言う事で、生き残りがいなかった、ということになる。もちろん王が残兵に死刑を言い渡す時の映像記録もある」
「「…………」」
二人が黙り込んだ、切って正解だったかもな。
本題に切り込むか。
「そこでだ、戻って殺されるならギルドを作れ、作る理由はまた俺と戦わないためだな」
あれ、二人でヒソヒソ話か?
めんどいけど待ってるか。
「映像記録が残っているのか?」
ほんとのことかどうか確認したいのか、いいんだけど、いいんだけど……
「1回しか見れないからよく見ておけよ?」
「なんでだよ」
だよねぇ……
「だって、映像記録をするために使えた石が壊石なんだなぁ……記録するときは魔力でできるからいいけど、見る時は絶対触れなきゃいけないし。映像コピーは出来る人居ないし……」
こっちだって苦労してたんだ……
「コピーとやらは俺たちは出来ないのか?」
「そりゃそうだ。映像化出来るのは闇属性だけだし、ついでに姿消しも闇属性限定その他にも闇属性限定はあるぞ」
「まあ、見せてくれ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これは本当の事で間違いないということか、王が完璧主義なのは知っている。
でもここまでするものなのか……
「ありがとう、嘘ではないようだ、ただ、ギルドを作るってどうやって?」
「その事か、ギルドはどの国にも属さない軍団、作るときに手続きとかは無い。ただギルドの名前を決めて、陣地を置くだけ」
「つまりギルド名を決めて広めるだけということでいいのか?」
「まあ、そうだ、ただし初めは全く稼げないからな。知名度ゼロだし」
「そりゃそうか、まあ頑張るよ」
「あとこれはある意味命令だが、この城の後ろに陣地を置け。食材の援助はしてやる。ここは草原でも、地上に生き物がいない事で有名だからな」
「そうか、ありがたい」
「ギルドベースの家は自分で造れよ?」
「森は確か3キロ先だったな、頑張るよ」
こうして俺とファルバの話が終わった。
ちなみに、バルゴは映像見てからずっと座って動かなくなってる。
こんな時に寝たのかな?
と思っていたけれど、話が終わってすぐに目を開き立ち上がって。
「そうと決まれば早速木材探しだ!!」
と叫んだ。
この調子だと昼飯なしでも大丈夫かなと、牢から出して城の裏に回る。
家を建てる大体の位置を決めて二人を森の方に送り出した。
その時、3人は気付かなかった。
迫り来る青い兵団に。
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