第一戦目 ドリアード国
さて、近い国は昨日の夜に出国していれば、今日の昼にはここに着くか……
俺が指名手配されたのは昼頃、その時点で直ぐにここへ向かってこれるのはちょうど戦争しているギルドくらいか、急な停戦さえ効けば今日の朝、もうすぐ見えるだろう。
この城の設備を完成させることができれば、いいのだけれど設計図と造りかけの装置が4ヶ所。
さて、一つでも効果はあるが強度が少なくなる。
せめて二つは作っておきたいところだ。
闇属性の魔力の注入作業。
二つは造ることは出来る、けれど魔法陣の機械は途中。
しかも、4つ全て途中。
進行具合が同じということが唯一の嬉しい事だ。
なんせこれは技術班が3週間だったか、篭もりきりでここまで作ったもの。
後数個の部品をつけて、魔力吸収装置を付けるだけ。
魔力製造装置に関しては地下の巨大金庫にある。
だから、この4つを造れば、魔法による落城はほぼない。
さらに俺の魔法も城に効かず損傷する事もなくなる。
広範囲魔法も使える。
もう一つこれは兵器だけど、使う必要もないからただの貯蔵装置になってるけど、魔力を貯めるタンクもある。
各属性の物だ。
兵器としての威力は、ドラゴンの鱗を貫くだけに留まらず、焼き消すほどの威力。
実証はできなかったが、必要もなくなった。
そんな事を考えながら二つの装置を造りきり、魔力吸収装置を装着。
その機械の形状、これは驚かされたけどね。
ほんとに……
鳥型二つに、トカゲ一つ、ライオン一つ。
はぁ。
出来たのは鳥とトカゲ。
結構大きいのが気になるけど、まあいいか。
この装置に関しては必要な時に説明。
さぁ、そろそろか、気配からして一番近くの国からか。
勇者級が三人か、この様子だと国の方に六人残してきたか。
まあ、その程度でこの俺に勝てると思ったら間違いだ。
「大罪人よ聞くがいい、宣戦布告だ。これより貴様を殺す。早々に出て来い。出て来ないのであれば、城もろとも破壊する」
そうだったな、戦争の前には必ず宣戦布告をする必要があるんだったか。
世界法律って変なとこで役に立つよな、ほんとに……
勇者級の奴らが先頭に出てきたか。
城破壊のためか、まあいい、出ていくのを少し遅くして、あの機械がちゃんと動くか見ようか。
「出て来ないのか。ならば城もろとも消し飛べ!!」
《焔の剛槍》
くるくる、一応かき消せる様に準備しとくか。
“闇の衣”
…………
トカゲSUGEEEEEEEEEEEEE
槍を長い舌で虫を捕らえるように伸ばしただと!?
どんだけリアルに造られてるんだよ。
槍が舌と触れた瞬間に消えたのは吸収できたからかな。
まあ、成功した訳だから、俺も久々に暴れてくるか。
そう思って城の窓から飛び降りる。
およそ8メートルのところから。
景色はあまり良いと言う所ではないけれど、ドリアード国の兵士のきっちり整えられた鎧と列。
綺麗だな、と思った。
そして最前列には勇者級の三人。
一人はホントの勇者か、装備がしっかりしている。
まあ、所詮雑魚、蹴散らす。
「よぉ、ドリアードから来たのか。勇者級が三人で俺が倒せるとでも思っているのか、お前達は。まあいい、返り討ちにするまで」
「出来る物ならやってみろ悪魔が!!」
悪魔か、違うね。
言うなら漆黒の覇者だ!!
《破壊の焔鎚》
“黒槍”
雑魚が龍を倒した恩恵として魔法の威力が違うんだよバーカ。
中級魔法なんて初級魔法で潰せるわ。
相殺した際の巨大な爆発、煙が空けた所には三人は居なかった。
後方に戻ったか。
んま、いつか出てくるだろう。
“黒の連槍”
貫通性の高い細い槍を創り、連続で放つ。
最大三人一気に殺せる。
一般兵士に魔法道具なんて使えないから当然か。
槍じゃ縦に攻撃するのはいいけど横はきついかね。
しっかし、未だにあの槍をガード出来るやつも出てこないか。
やはり国軍の場合は魔法師が限りなく少ない。
魔法師が少ない=資金不足
これが、今日ここに来た理由かな、勇者が居ない国じゃないからそこそこ強いだろうけど、魔法師がいないのは不利だからね。
そして、龍に対し必要な魔法師は1000人。
俺に勝つにはそれ以上の魔法師が必要だ。
諦めろカスども。
《蒼炎の巨兵》
勇者か、いくら無詠唱だからといっても術名を言わなければ発動しないのは不利だろうな。
勇者級のやつ二人は雷属性か。
「ギガンテス、斧を投げろ!!」
武器を捨てるのか?
あの巨人武器無しでどう戦うつもりだ。
気になるが、即倒す。
飛んで来た蒼炎の斧の柄を捉え、勢いを失わせず一回転。
斧をギガンテスに投げ返す。
しかしそれを打ち砕いた二つの雷鎚。
《神の雷装、雷神の雷槌》
詠唱終わってたのか。
巨人が装備するか……
さすがとだけ思っておこう。
だが、それだけで勝てると思うな。
“混沌の黒炎龍”
雷蒼炎の巨人と黒炎龍が戦い、俺と軍が戦う。
造形魔物というべきモンスターの戦い、技のぶつかり合いでたまに弾かれた物が地上に落ちる。
下にいる兵士に少なくない被害を出している。
槍攻撃をやめて、1回広範囲攻撃でもしてみようか。
“闇大地”
大地が黒く染まり、その黒い大地から黒い霧が出てくる。
これで闇属性を使えない奴は自分以外見えなくなるというわけだ。
そして、この霧の中では魔力を持たない人間をゾンビに変えたり、霊魂を呼び寄せゴーストとなる。
アンデッド系モンスターの巣窟と化す。
この技の弱点は二つ。
一つは同じ範囲に光属性の技でアンデッド系モンスターを一掃され、霧を払われた場合。
もう一つは、風魔法でアンデッド系モンスターを霧の外に出され、霧が払われた場合。
まあ、後者は確率が低いから気にしてない。
まあ結局、アンデッドモンスターが一瞬でも黒の大地の上に居なくなった時点でこの技は効果を無くす。
利点は、アンデッドモンスターが居なくなるまでずっとこのエリアが存在する。
魔力を使うのは発動の時だけ。
という事かな。
生き残るのはどれだけか。
火でゴースト倒せないし、雷でもゴーストは倒せない。
時間が経つにつれて上に霧が伸びていく。
小さいアンデッドモンスターが巨大なものになる場合もあるけど、普通は巨大なモンスターがそのまま出現する。
あのギガンテスもそろそろ限界だろう。
アンデッド化するかどうかわからなけど。
もともと魔力で出来てる物だし。
まあ気にしない。
それにしてもさっきから何も変わらない。
おそらく将軍職、バトルアックスを振り回して敵味方構わず薙ぎ払っている。
これが5人、聖職者が数人、バリア張ってるだけか。
勇者級どもは何かやってるな、魔具か何かに頼ってるのか、まあおそらく仲間となにか話してる。
戦場を見下ろしながら魔法吸収装置を完成させ、機械に取り付けてっと、うん、これも鳥型か。
んで、もう一つがライオン型か〜。
これだけ唯一攻撃用の機械らしい、属性は無い、つまり全属性使える。
魔法吸収装置ではなく魔力貯蔵装置、説明書にはトカゲと鳥が吸収した魔力を受け取って攻撃に使用する。
攻撃の方法はひとつだけらしいけど、おそらくブレスだな。
強いかどうかは気にしない気にしない。
気にしたところで変わらないから。
さて、将軍職が崩れてきた。
残りは勇者級どもだ、何企んでるか知らないけどそろそろ終わらせるか。
“混沌のy………”
《獄炎の龍》
《雷豪の双頭龍》
……クズどもがまた創造魔法を使ったか。
龍か、まあいいエリアごと吹き飛ぶかも知れないけど、一気に片付ける。
“漆黒流星群”
名の通り流星群。
魔力が塊となって地上に降り注ぐ、その数120。
それを察知した2体の龍が霧の中から飛び出してきた、上位魔法どうしのぶつかり合い、威力の差で龍がボロボロになっていく。
創造主を護ることを果たすため立ちはだかる。
結果として護りきったが二人は既に瀕死、一人は逃げていく。
第一戦目ドリアード国との戦いも終わったか。
この勇者ともう一人、まあ俺は殺すために戦ってるわけじゃないから元気になるまで面倒見てやるか。
もちろん牢屋で。
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これから、漆黒の覇者は週1、または2週1更新速度になると思います。
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