第六話 二人で星空観測
部屋の窓辺に座って、 夜の星を眺める。
この時間が一番落ち着く。
白く光る数多の星たち。 私を癒してくれるようで。
……最近は結構いろいろなことがあって疲れた。
初めて会う人もいたし、 怜と久しぶりに真っ赤になりながら話したし……。
少し疲れた。
それでも、 私は笑っていないといけない。
私が笑わないと、 みんなが悲しそうな顔をする。 「大丈夫?」って心配される。
顔色なんてちっとも悪くないのに。 熱だって全然無いのに。
だから私はいつも作り笑いをする。
みんな私が笑うと、 喜んでくれるから。
と、 突然ノックの音が聞こえた。
「入っていいよ~」
そう言うと、 ゆっくり扉が開く。
怜だ。 私は少し驚いてしまった。
「れ、 怜?」
「あ……驚かしちゃったかな。 ごめんね」
苦笑混じりに返す怜。
……それにしても、 こんな夜に同い年の女の子の部屋に入っても平気な怜は、 デリカシーがないと思う。 私はそう言ってしまいそうになるのを抑えて、 笑顔で怜に話しかけた。
「どうしたの?」
怜は私の隣に座ってこう返してきた。
「僕の気分だよ」
不覚にもときめいてしまう。 ……きっと、 私のこんな気持ちすら、 怜は分からないんだろうな。
そんな気持ちを振り切るように、 私は大げさに手を振ってこう言った。
「ちょ、 近い近い!」
肩がくっつくほど近くにいる怜。 鼓動の音は聞こえているのだろうか。
どうせ、 どうせ聞こえてたって心臓病だとか言って騒ぐんだろうけど!
「……星、 綺麗だね」
私が言うと、 怜はにっこり笑ってうなずいた。
私と怜が初めて会ったのは、 お互いが三歳のころ。 私のママと怜のパパが結婚して、 私たちは双子になったのだ。
「最近は体調悪くない?」
怜がそう聞いてきたので、 私は元気よく大丈夫だと伝えた。
初対面のとき、 私は本当に怜のことを怖がっていたらしい。 それでも怜はかまわず私に笑いかけてくれたみたいだが。
「明日も私と一緒にいてね?」
「……いつもそうじゃん」
「あはは……そうだね」
できれば一生一緒にいて欲しい。 心の内側に、 そんな気持ちがぴったり張り付く。
怜は私のことをどう考えているのだろう。
ただの双子? 妹?
もし同級生の一人の女の子として見てくれているのなら……。
私はそれだけで十分嬉しいかもしれない。
「そろそろ行くね」
「あ、 うん。 私も寝ようかな」
「じゃ、 おやすみ」
「おやすみなさーい!」
二人で何か話すわけでも無く、 窓辺にたたずむ時間。
最近はしばらくゆっくり二人で過ごせることが無かったから、 これだけで私の心は満たされた。
明日からも頑張っていけそうな気がする。
定期的に更新した方がいいのかな…