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四角い恋  作者: みなも
第二章 私たちの関係
5/8

第五話 「また会ったね」

 「あ」

 「あ!」

 

 昼休み。 それは、 俺が適当に校舎を散歩しているときだった。

 「また、 会いましたね!」

 突然そんなことを言ったのは、 前に階段でぶつかった女の子、 沙苗さんだった。

 「久しぶり」

 俺がそう言うと、 沙苗さんはにっこり微笑んで同じように返す。

 「はい! お久しぶりです!」

 なんとかこのまま沙苗さんと話していたい。 話す事が見つからないが、 俺はダメもとで会話することにした。

 「さ、 沙苗さんって、 何年?」

 「えっと、 二年C組です。 優さんは?」

 「お、 俺は二年E組。 同じ学年なんだね」

 「そうですね!」

 ……話が終わってしまった。 こういうのって男がリードしなきゃダメなんだよな……。

 「あ、 さん付けなんてしなくていいですよ! 沙苗って呼んでください!」

 沙苗さんは言った。

 「え、 じゃあ……沙苗?」

 「はい! そんな感じで!」

 「じゃあ俺のことも、 優って呼んでよ」

 「よ、 呼び捨てはちょっと……優くんって呼ばせていただきますね」

 ……だめだ。 やっぱ思い出すわ。

 俺の前の彼女……死んでしまったあいつも、 俺のことを「優くん」と呼んでいた。

 「あ、 あぁ……いいよ」

 俺がそう言うと、 沙苗は嬉しそうに微笑んだ。

 可愛いです。

 そういえば、 この前会ったときは沙苗のすぐ近くに男がいた。

 親しげに話していたけど、 あいつは沙苗とどういう関係なんだろうか。

 聞いてみると、 意外な事実が分かった。

 「あぁ、 あの人は私のお兄ちゃん。 ……ウソの双子なんだ」

 ウソの双子。 義双子というやつだろう。

 「そうなんだ」

 「うん。 血は繋がってないの」

 なんか、 いらない話題を振ってしまったかな。

 「……へー」

 彼氏とかじゃなくて良かった……。 なんて思ってしまった俺は、 すごくアホだ。

 「私、 病弱みたいでさ。 誰かが付いてないとって、 いつもあの人と一緒にいるの」

 病弱。 その一言が、 耳に引っかかった。

 「病弱って……病気に弱い?」

 「そうだよ?」

 ……この子はもしかしたら、 前の彼女の生まれ変わりなんじゃないだろうか。

 あいつは病気に弱かった。 そのために、 歳の若いままああいう結果になってしまったのだから。

 「……」

 「……」

 ここから話が続かない。

 ふと、 近くの階段の方から声が聞こえた。

 「沙苗!」

 見ると、 沙苗のお兄さんらしき人物がこっちに駆けてきていた。

 「あ、 怜!」

 「もう、 一人でどっか行くんじゃねえよ」

 「えへへ……ごめんなさーい」

 学校の中なのにそんな会話をしている二人が少し面白い。

 「優くん、 この人が私のお兄ちゃんの怜だよ!」

 「あ……うん」

 沙苗が紹介したにもかかわらず、 怜とやらは俺のことを見ようともしない。

 「ほら、 行くよ!」

 「ちょ、 腕引っ張らないでよー!」

 沙苗はもう行ってしまうようだ。

 「じゃあまたね!優くん!」

 笑顔で手を振ってくれたので、 俺も振り返す。

 なんだか寂しい気もするが、 あのまま話の話題が見つからなかったらと思うと、 助かったような気にもなれた。


 また、 沙苗に会いたい。


最近更新が出来てません><

ごめんなさい!

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