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四角い恋  作者: みなも
第一章 屋上で
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第三話 歯車が廻りだす

「おいしかったね~ 怜!」

「そっか、よかった」

 二人並んで階段を降りていく。

 お弁当は綺麗に食べ終えた。

 もう少し屋上でゆっくり過ごしていたかったけど、 怜が『風邪ひいたら大変』などと言うので、 しょうがなく出てきたのだ。

「沙苗はもう少し自分の体を気にかけたほうがいいよ」

「……はぁい」

 怜はとても優しい。

 ……ふと気になる。 怜は私の気持ちに気付いているのだろうか。 気付いていたのだとしたら、 怜自信は私のことをどう思っているのだろうか。

 ……もしも、 もしも両思いだったなら…両思いなら…

 ふと、 体に何かが当たった。


「わっ!」

「おっ……と」


 びっくりして目をつむる。

 ……鼻が痛い。

 誰かとぶつかってしまったようだ。


「沙苗! 大丈夫!?」


 怜の声が聞こえる。

 私はゆっくりと目を開けた。

「う、うん。大丈夫……」

 私のことよりも、 ぶつかってしまった人に謝らなければ。

「ごめん、ぼーっとしててさ……」

 上から声が降ってくるような感覚。

 声の方に顔を向けると、 同い年かそれよりも上であろう男の人がいた。


「……大丈夫?」


 真っ黒な髪に、 少し吊りあがった目。 かっこよく着こなす制服が印象的。

 制服の左胸にある名札を見ると、 『川住(かわすみ) (すぐる)』という名前なことが分かった。

「ぶつかってしまってごめんなさい! こっちこそ、ぼーっとしちゃってて……」

 私がそこまで言うと、 川住さんがなにやら驚いたような表情をしだした。

 どこかで……会ったっけ?

「どうかしましたか? ……あの、どこかでお会いしましたっけ……?」

 私は尋ねる。

 すると突然、 私の後ろから怜の声が聞こえた。

「大丈夫そうだね。ほら、行こう!」

 怜が私の腕を引き、 階段を降りる。

「あ、じゃ、それでは!」

 私は怜に引っ張られながら言った。

「うん、またね!」

 川住さんは驚いた表情から無理やり笑顔を作るようにして、 私に手を振った。

 またね…って、 なんか、 面白い人だなあ。

 考えながら階段を降りる。

 ふと、 怜は突然立ち止まって言った。

「ごめん、ひっぱったりして! 大丈夫? 痛くない?」

 つかんでいた私の腕を放す。

「大丈夫だよ。でも、なんで突然急いだりしたの?」

「あぁ、急いではいないんだけど……あいつ、なんか嫌な感じがしたから」

「嫌な感じ?」

 私は首をかしげた。

 私が話したところ、 そんなに悪い人には見えなかったけど……


「沙苗、あまり僕以外の男子には信用しない方がいいよ」


 怜はキッと私のことを見つめ、 そう言った。

 深い意味には聞こえないような声色で。

 だが、 セリフがセリフで……

「えっ……」

 あ……。

 多分今、 顔が真っ赤だ。

 熱くなってきた。

 あんなこと、 あんなかっこいい顔で言われたら……。

「いや、そういう意味じゃなくて!!」

 怜が弁解の言葉を並べる。


 聞こえないけど。


 私にはそんな言葉も聞こえない。

 もうダメだ、 やだ、 照れるな…

「あ、あ、あ、う、あ、うん……あ、あ、あ……」

 だめだぁ……

「あのね、世の中には悪い男もいてね!!」

 必死に言う怜。


 怜の言葉の方が、 体に悪いです。 


これでやっと起承転結の起が終わりです。

承はどうだろう?もうちょっと短めかなぁ?

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