第二話 私のお義兄ちゃん
「あれ? 誰もいなかったね」
私は笑顔で怜に言う。
青くて綺麗な空だ。 今日はとっても気分が良い。
「混んでなくてよかったよ」
怜は私にそう返すと、 持ってきていたお弁当を屋上の床に広げた。
「はい、めしあがれ!」
にっこりと笑顔で言う怜。 こっちも自然と顔がほころんでしまう。
「ありがとう! いただきまーす!」
元気よく手を合わせて声をあげる私。
怜と一緒にいると、 どんなときも幸せに思えてしまうんだ。
「今日もおいしそうだね~」
私はお弁当を見て言った。
色とりどりにバランスよく並んだおかずたち。
タコのかたちのウィンナー、 焦げ目なんて一つもない玉子焼き、 緑や赤…… 沢山の色が入っているサラダ……その他にも色んなおかずが並んでいる。
「沙苗のためだもん。いつも腕を揮って作ってるよ!」
怜はそう言ってお弁当を食べ始めた。
「アハハ、怜は素敵なお婿さんになれそうだね」
私が笑ってそう言うと、 怜は首を振ってにこりと笑い返してくれる。
怜はとても頼りになる、 私のお義兄ちゃん。
血の繋がらない、 ウソのお兄ちゃん。
今でこそそんな噂は少なくなったけれど、 小さいころは沢山からかわれたっけ。
同級生にも私は怖がっちゃって、 いっぱい守ってもらった。
だからなのかな? いつしか私は、 怜のことを好きになっていた。
「……アハハッ」
「どうしたの? 沙苗」
それは、 家族の好きじゃない、 恋愛の好き。
「あ、 ううん、 なんでもないよ」
怜のことが、 心から好き。
一緒に入れるだけで、 それだけで、 幸せなんだよね。
「思い出し笑い……しただけだよ」
私はそう言うと、 怜の作ってくれたお弁当を一口食べる。
包み込まれるような至福……。
それは、 怜が好きだからなのか、 本当に美味しいからなのか。
「美味しいかな?」
「もちろんだよ! 変わらぬ美味しさ! すごいね!」
私が勢いよく絶賛すると、 怜は照れたように笑ってくれた。
「ありがと、沙苗」
そんな一言だけでも、 私は今日を終えたくなってしまう。
「こちらこそ、美味しいものをありがと! 怜」
嬉しいことを探すために一日を生きる。
怜といると、 一分一秒失ってしまうのが惜しいほど嬉しいんだ。
『大好き、怜』
私は心の中でつぶやいた。
プロットを作成して執筆しています。
やっぱりレールに沿って書くのはやりやすいですね。