2,医務室にて
翌朝、ヤジマはクドウに会いに研究室に向かうも彼の姿を見つけることができず、言伝を残して医務室へ戻ることにした。
しばらくして、徹夜明けの赤い目をしたクドウが医務室に現れた。
「また徹夜か?お前さぁ、いつまでも自分が若いと思うなよ?適度に睡眠と休息取らないと、超人的なお前でもいつか倒れるぞ」
そう言いながらコーヒーを渡す。
「ありがとう、ヤジマ。でも、どうしても、やらなきゃいけないことがあるんだ。休んでいたら、間に合わなくなる」
「何やってるか知らないけど、達成する前に倒れたら意味ないだろ。それに、さ」
ヤジマは一度言葉を切って、クドウを見つめる。
「最近どうかしてるぞ、お前。あんなに溺愛していたアリアを突き放して、いったい何をしているんだ」
「突き放す?まさか」
クドウは大げさに肩をすくめる。
「|『K‐A』(ケイ-エイ)は唯一の成功体だよ。大事に決まっている」
クドウの言葉にヤジマは不機嫌な表情をつくる。
「その『K‐A』って呼び方やめろって言わなかったっけ。名前を呼べよ」
「呼んでいるだろ」
「俺以外の前でね」
「それは『K‐A』が本当の名前だからだよ。どんな名前で呼ぼうとも、彼女の本質は変わらない」
「ああ、そうですか。凡人の俺様には理解できないお話でした。飲み終わったらカップはそのまま置いといてくれ。ちょっと、出てくるから」
そういって、ヤジマはクドウを残して医務室を出て行った。
話の都合、短いお話になりました。
読んでいただきありがとうございます。