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真美子と達志は高校の友達で、帰り道の電車がいつも一緒だったので一緒に帰っていた。当初はクラスの皆がカップル成立だの騒いでいたが、やがてからかうのも疲れたのか、それは見慣れた光景の一つに数えられ、関心も薄れていった。


以前の二人は良き友達で、よく喋り、よく語り合った仲だったが、あるときから彼の方から言葉数が減り、やがて無言になった。彼は以前よりも思い詰めたような表情になったり、かと思ったら悟りきったようなすました表情になったり、以前の快活な彼とはどこか違っていた。


「疲れたねー」

「・・・ああ。」

「なんか夕日きれいだねー。」

「ほんとだ、きれいだね・・・」

「どうしたの?達っちゃん。」

「何が・・・?」

「なんか静かじゃん。」

「そう・・・?気のせいだよ・・・・・」


彼に何か起きたに違いない、と真美子は思った。いったいそれは何であろう。引越しするのか。いやまさか。実は私に何かしでかしたのか。そんな訳は。まさか彼女が出来て気まずくなったのか。


「達っちゃん、彼女できたの?」

「え?なんで?」

「だって、なんかこのごろ私と話さないじゃん。」

「いや、違うよ。彼女なんかいない・・・」


がたんごとん、と電車が揺れた。窓はきれいな田舎町を映し出している。達志は自分に言い聞かせるように再び、「彼女なんか・・・いない。」と言った。


しばらく沈黙が訪れる。真美子と達志の膝に夕日が映し出されていた。電車は相変わらず進んでいる。

真美子はひょっとしたら、私に告白するんじゃないかと妙な事を思いついてしまった。そうなった状況を彼女は少し考えたが、期待と共に、戸惑いすら感じた。


そして達志が口を開いた。

「なあ・・・真美子。」

「・・・・何?」

「僕は・・・君に告白しなければいけないことがある。」

まさか・・・と真美子は思った。告白する言葉にしてはちょっと劇的だが、真美子は次の言葉を待った。

「僕は・・・・・」

そして達志は口ごもり、そして言う。

「やっぱりいいや。」

じらすんじゃないよ、、と真美子はイライラし、言う。

「何?達っちゃん、せっかくここまで言ったんだから。」

「達っちゃんて言うな!!!」

友人としての呼び名を拒否するほど、彼は追い詰められてるのか。真美子が黙っていると達志はしばらく悩むような表情の後、決心して言った。

「僕は!」

僕は・・?

「達志じゃないんだ!」






真美子は一瞬思考が止まった。そして言った。

「へ・・・?」

「僕は・・・達志じゃない・・・・達志の・・・・代役だ・・・・・・・そうだ・・・・・・」

「え?どういうこと!?」

「君が普段住んでる世界は虚構なんだ!騙されてはいけない!」

訳のわからない事を次々と“彼”が言ったので、彼女はますます混乱した。

「だから、どういうこと?」

「こういうことだああああ!!!!!」



達志は突然窓に向かい、バックで窓を何度もがんがん叩いた。突然の奇行に真美子は止めようとした。

「なにやってんの!止めなさい!」

「これを見ればわかる、これを見ればわかるんだ!」



バリーン。窓は割れて、夕日の景色が崩れ落ちた。真美子は目を疑った。そう。もう一度書くが、「夕日の景色」が崩れ落ちたのだ。他の窓は夕焼けの田舎町を映しているが、この割った窓だけは、向こう側が真っ暗であった。


「分かっただろう?この窓は高性能のディスプレイだ・・・田舎町なんてウソだ・・・ここは・・・腐った都会だ・・・・」

サイレンが鳴った。

「逃げろ!隣の車両へ行け!はやく!知らないフリをしろ!」


真美子は“彼”に言われた通り、隣の車両へ急いだ。偽の夕焼けの光りに照らされた椅子に座った途端、どどどどどと“彼”の乗っていた車両に黒服の部隊が現れ、“彼”は捕らえられた。真美子は一瞬それを見て悲鳴を上げそうになったが、なんとかこらえた。黒装束部隊は真美子の車両にもおとづれたが、真美子は居眠りをするフリをしていたため、なんとか彼らの検問から逃れられた。本当は彼女は眠るどころではなかったが。

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