「彼女の名前」
癖のありすぎる自動販売機のお話
近所に面白い自販機が
あると噂を聞いた。
よくあるお酒の販売機らしいけど、
癖があり過ぎて皆、
腰が砕けるらしく
話のネタとしては最高らしい。
『どんなだよ?』
思いながら俺は、
ほぼ用の無い初めてに近い街へ
探索に出かけた。
この噂を知ったのは、
いつもの定食屋で相席した
二人連れが
話していたのを聞いたからで、
彼らがあまりにくすくす笑うので
興味を惹かれてしまい、
もうすぐその自販機に
出くわすはずだった。
『この角を曲がれば…
あーあったここだ』
目的の角打ち
【立ち飲み】のできる酒屋
「銀城酒店」は目前で、
幾つか並ぶ自販機を
どれだどれだと見回していると、
何台もある自販機の一つで
おじさんが
何を買おうか迷い指。
少し待っていると
取り出し口から音がし
商品を買ったおじさんが俺を見て、
「俺は今日は[純子ちゃん]と
[愛ちゃん]と
[楓子ちゃん]」
とかニヤつく顔で言いながら、
ビール缶数本を抱え
去って行った。
そしてついに俺は
その自販機の正体を知った。
腰が砕けるほどの物ではなかったが、
ここの店主の性癖だろ?と、
吹き出してしまっていた。
アクリル板の中に多数並ぶ商品には全て、
女性名が付けられていて、
さっきのオヤジが
名前を呟いていた意味が分かり、
『アホだな~』
と思いつつ、
名前を上から見ていくと、
昭和チックな名前から
ベタな海外女優の名前
あとはダイレクトに
[50代美熟女]
[”32歳未亡人]
[JD]
とだけ書かれてる物もあり、
読めないキラキラネーム娘まで
選び放題。
商品の全ての名を
読んでしまった途端俺は
自分の笑いの壺にはまってしまい、
本当に腰が砕けそうに
大笑いを堪えていると、
角打ちの客たちがこっち見て
ニヤニヤしていた。
俺は記念?
なんの記念なのか分からなかったが、
とりあえず一番タイプな、
[美少女:亜里沙]
日本酒の紙パックを一つ買い
帰ろうとすると、
店主であろう爺さんが出て来て
ドツボにはまった俺の様子に
感激したのか不明だが、
「これ[釉子ちゃん]」
と言って焼酎の小瓶をもらってしまっていた。
『男ってほんと馬鹿だよな~』
などと思い道すがら俺は
究極の疑問いや、
愚問が頭をもたげていて、
『んんん~
君はいった何年前から
ここに居るの?
今幾つ!?』
だった。
おしまい
読んでくれてありがとね
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