強者と
「おい達也。本気でやるのか?」
心配そうに晋也が達也に声を掛ける。
『ん?やるよ?だって俺あいつの携帯知らねーし(笑)』
一体何をやるのか?
実は二人は自分達の代の強者をメンバーにするために学校巡りをしているのだ。
下校時間になり生徒が出てくると、不良っぽい生徒を見付けて達也が声を掛けた。
『あ、キミ。キミの学校に芹澤ってヤツいるでしょ?悪いんだけど呼んできてくれない?』
声を掛けられた生徒は達也と晋也を睨み付けながら「あ?んだ?てめぇ。誰を呼んでこいって?ふざけた事言ってんなよ?」言い終えるが早いか[ドンッ!]達也の拳が鳩尾にめり込む
『いーから連れてこいよ?光葉中の塚本達也が呼んでるってよ!』
苦しそうに息をしながら生徒は達也を睨み校舎に走っていく。
(遅ぇな。もう十分は待ってんだけどな。あと五分待ってこなかったら芹澤は期待はずれだな。)達也は正門の前でひたすら待っていた。その時ゆっくりとこちらに向かって歩いてくるヤツがいた。
「おい!テメーが塚本とかってヤツか?」
芹澤が達也に向かって怒鳴り付ける。
(おいおい、これが噂の芹澤かよ!こんなにガタイが良いなんて聞いてねーぞ!)達也が驚くのも無理はなかった。芹澤は中学生とは思えない程背が高く、それでいて柔道家のようにがっちりとした体躯をしていた。そんな芹澤が怒鳴り付けるとそこいらの不良ならビビって逃げ出すだろう。しかし達也は逆に目を輝かせていた。
『おう!俺が塚本だ!いきなりだけど、俺とタイマンはれや?』
「あ?テメー頭狂ってんじゃねーのか?何で俺がテメーとタイマンはってやらなきゃなんねーんだよ?」
『本当にお前が強いのか俺が試すからだよ。ガタイでビビらせてんだけか見てやるよ!』
「テメー、調子のんなよ?お望み通り潰してやるよ!」
『まぁ待てよ。こんな学校の正門の前で喧嘩出来ねーだろ?場所かえよーぜ?この先の高架下にいるからよ?強そうな仲間連れてきてもいいぜ?』
「調子んのんなよ?テメー等なんか一人で充分だ。」
晋也は芹澤の言葉を聞き、「テメー等?等って言った?いやいや、俺は違うよ!俺はレフェリー!あくまでもお前とタイマンはるのは達也!」
「はぁ?んじゃお前等マジでタイマンはりに来ただけかよ!?」
『だから言ってんだろ。お前を試しに来たって。』
「やっぱしお前等頭おかしいわ。でもまぁそこまで言うならタイマンはってやるよ。ついてこいや。」
こうして型破りながらも芹澤を連れ出すことに成功し三人は高架下に向かった。