プロローグ続き
「私を振るって……早く、私を振るってほしいの……♡」
リリス──黒髪ロングのツンデレ美女が、俺に甘い声で囁いてくる。
だが、ここは魔王の武器庫。俺は「武器庫そのもの」に転生したはずで──
「……いや、俺、手とか無いし……どうやって振るんだよ!?」
「ふふっ、意識を集中して。あなたならできるはずよ」
「意識を……集中?」
俺が目を閉じ、深く呼吸を整えると、
全身を流れる魔力が「何か」を作り出す感覚があった。
──バチッ!
俺の意識から伸びるように、黒い光でできた「魔力の手」が具現化する。
それはまるで煙のように揺らめきながらも、しっかりと「手」の形をしていた。
「これが……俺の“手”?」
「そう。あなたの意思が形になった力……さあ、私を握って」
リリスが恥ずかしそうに頬を赤らめながら、そっと自分の柄を差し出してくる。
思わずその柄に「魔力の手」を伸ばし──握った瞬間、彼女がビクンと震える。
「あっ……♡」
「え、ちょ、今の声……?」
「だ、だって……あなたに触られたら……っ、あぁっ……♡」
リリスの体──いや、剣身全体から黒いオーラが噴き出し、
魔剣としての力が高まっていくのがわかる。
「これが……俺の力……!」
「そうよ……私の力、全部あなたに委ねるわ……♡」
彼女の甘い声が頭に響き、俺の心臓がドクンと跳ねた。