プロローグ
始めての作品ですがよろしくお願いします。
「ついに完成したぞユウ!」
そう電話で父が興奮気味に言った。
「急にどうしたの?てか何が完成したの?」
特に心当たりがなかったのでそうたずねた。
「お前の目を直す方法だよ」
「え?」
正直何を言っているのかが分からなかった
僕は生まれつき盲目だったというかこれからもずっとそうだと思っていた。
だからその父の言葉は衝撃だった。
「それって、ほ、ほんとう?」
そう僕は震える声でたずねた。
「ああ、本当だよ。今まで待たせてごめんね」
その父の言葉を聞いた瞬間から僕の瞳からは涙が溢れていた。
「どうやって直すの?」
いてもたっても居られずに僕は父に問いかけた。
「医療マシンの中で3ケ月眠って貰うだけだよ」
「3ケ月か、、、ねえ、その間僕の意識はどうなるの?」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた。そのマシンとともに開発されたゲームがあるんだ。
ユウにはそれで遊んで貰う。そのゲームは世界で初の完成没入型のゲームつまりはそのゲームの中ではどんな障害があったとしても自由に楽しめるぞ。もちろん由美ちゃんの分もあるぞ?サービス開始は4月1日だから3日後だぞ」
それを聞いて素直に凄いなと思った。
そして楽しみだなという感情も湧いてきた。
僕は生まれつき目が見えなかったのでゲームをしたことがないし、何よりも目が見えると言う未知が久々に僕の心を震わせてくる。
「それでいつからその手術?が始まるの?」
「それはこのゲームのサービス開始と同時だ。それまでに友達に事情を説明しておいておけ。それとお前が通う高校にはこちらから
事情を説明しておいたから安心しろ」
「うん分かった」
「それじゃ3日後な」
そう言って電話は切れた。
それから僕は同棲している彼女を呼んだ
「ゆみ~」
「ちょっと待って今行くわ」
と上から声が聞こえたすぐ後にドンドンと階段を下りる音が聞こえた。
「どうしたの?」
と問いかけてくれたのが早瀬由美である。
「じつは、僕の目を直す手段が見つかったって!」
そう興奮気味に由美に伝えた。それを聞いた由美はいきなり僕を抱きしめた。
「ちょ、どうしたの?」
「よかったわねこれからは一緒に沢山の物を見て回ろうね」
「うん、沢山見て回りたいなぁ」
「それでその治療の為に3ケ月は多分会えないと思う」
「そ、そう。治療はいつから?」
そう言う由美は少し寂しそうな声に聞こえた。
「治療は3日後だけど大丈夫治療の日と同時に
始まるゲームがあるんだけど僕は治療の間に
そのゲームの中に居るんだ。お父さんが言うには完成没入型だから僕でも楽しめるらしいよ?ちなみに由美の分もあるらしいよ」
それを聞いた由美は驚いた表情をした。
「え?まさかそのゲームの名前「FWO」かしら?」
「いや名前聞いてないから分からないけどそうなんじゃない?」
「嘘、あのゲーム作ったのってユウのお父さんの会社なの!?」
「多分そうだと思うけど急にどうしたの?」
「あんたニュースとかみないの!?いまそのゲームの話題でもちきりなのよ?」
「そんなに?」
「ええ、なんといっても世界初の完成没入型なのよ?しかも噂によるとゲームで流れる時間は現実では3分の1なの!?私もあんたの為に抽選してみたけどだめだったし。まあ、とにかくとても人気のあるゲームなの分かった?」
「う、うん分かったよ」
「まあ、とりあえず夜ご飯にしましょう。今日はカレーよ」
「わーいやった」
よろこぶ僕を見た由美は僕の頭を撫でた。