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これこそ無茶ぶりというのだろう。

会社のビルに着くと、1階に人だかりができていた。

少しのぞき込んで見ると、どうやらビルのオーナー会社が運営する結婚式場のリハーサルのようだ。

スタッフらしい人達があーでもない、こーでもないと言いながら何やら話し合っている。

それらの光景を横目にいつも通り会社のエレベーターに乗り込むと、部下の花山さんが扉が閉まる直前に入ってきた。

「おはようございます、鈴木さん」

何やらにやにやしながら花山さんは挨拶をしてきた。

いつもそんなに朝からテンションの高くない彼女が少々テンションが高い。

「おはようございます、花山さん。もしかして推しの声優さんでいいニュースがありました?」

「分かりますか?今アキさん、ライブツアーやっていてそのアンコール東京公演がとれたんです!」

「おーそれは良かったですね!アキさんってだってこの前、さいたまスーパーアリーナの公演でも花山さん取れなかったでしょ?」

「そうなんです。マジ軌跡です。アンコール公演はキャパ小さい場所なのに、取れて!」

そんなことを言っていたらフロアに着いた。

彼女を先に通し、眼をランランに輝かせる彼女に現実に引き戻す話をすることにした。

「そういえば、花山さんフロアに入る前にちょっといいですか?そんなに時間かからないので」

そういってMTGルームに誘導する。

「わかりました!パソコン必用ですか?」

「いえいえ、本当立ち話の延長なので。」

そして、先日清水さんに会った事、そしてLUXが委員会に入り、場合によってはグッズ制作を担う可能性がある話をした。

花山さんは元々ケリーのグッズ制作担当で、清水さんとは一緒に取り組んだ仲だ。

「本当ですか?清水さん元気そうですね?」

「えー相変らずですよ。元気です。」

「もちろん私もまた清水さんと仕事してみたいと思っていたので是非私が力になれるなら!」

「本当に!?良かったー清水さんと一緒に仕事できる人も多くはないから・・・助かります。」

「私は全然清水さんには良くしてもらったので平気ですよ!楽しみです!また聞かせてください!」

よし、これでグッズ制作をするスタッフは抑えられた。

他のスタッフでは、清水さんに気後れしちゃうから、ベストな人員が確保できそうだ。


デスクについて、パソコンの電源を付けてメーラーを立ち上げると計ったかのように清水さんからメールが届いた。

このタイミングの良さは非常に怖いものがある。

メールの内容は以下の通りだ。


件名:助けてくださいー


鈴木さま


お疲れ様です。

先日のペッ○ー君のカフェ美味しかったねー。

また行きましょう!


さて、会社でHSCの上程をする為に資産を組んでるんだけど、利益であと2億作らないといけないかも・・・。

もうどの分野もかなりいい数字がはいっていて、伸ばせる余地ってグッズ位なの。

あと2億、グッズで試算たてちゃって平気ですか?

でも立て方わからないから教えて欲しい・・・。


以上だ。

何と滅茶苦茶な・・・。

LUXのタイトルでグッズ2億の利益を残したタイトルなんて2タイトルくらいしかない。

10年近くアニメを強化してやってる会社でも稀有な例だ。

それを試算にいれるというのがどれだけリスクか・・・。

という内容をそのままメールの返信にした。


そしてすぐに着信だ。

「鈴木さん~解ってるの!解ってるんだけどもうどうしょもないの。」

「そもそも、うちの会社でもそんな滅茶苦茶な数字入れないけどどうしたんです?」

「うーん、まず制作費が高いのと、オリジナルアニメだから海外の数字があんまり高い数値を読み込めないというのが本音かも・・・。もう制作会社もほぼ行けそうだから、あとは会社を説得するだけなんだけど・・・。」

「そもそもLUXの関わり方も確定してないけど・・・」

「細かいやり方は任せるけど、うちに手残りの利益で2億作れるロジックが欲しいの~お願い~。」

「うーん、またハードルの高い事を・・・。普通に考えると、ケイトレベルで売上が立つ想定で、グッズはLUXが作って、手数料は引いて、利益はそちらに戻すって感じならロジックは作れるけど。」

「流石ー簡単じゃん」

「違う違う、そのケイトレベルってのが本来は試算にいれるようなタイトルじゃないから。」

「そこは、本当は嫌だけどケイトプロデューサーとして、私が作るからって押し通すしかないかもねー。」

「まーそれが言えるのは清水さんしかいないからね・・・。」

LUXでそれをいったら間違いなく通せないけど、通せるのか?

「本当ごめんなんだけど、そのロジックをメールでもらえる?」

「いつまでに?」

「できれば今日中・・・・?お願い!今度焼肉おごるから!」

「いや、焼肉はいいけど、今日中か・・・。」

「ごめーん!仕事増やしちゃって。」

「まーうちにもメリットある話だから頑張りますよ。ちょっと遅い時間になるかもだけどいいです?」

「もちろん、本当ごめーん。恩に着ます!」

一体何回恩に着せられたことやら。

それを今さら言っても仕方がない。

電話を切り終えると、本来背向かいにいる花山さんがこちらを振り返りニヤニヤしている。

「清水さんですか?」

「良くお分かりになりましたね」

「めちゃくちゃ清水さんの声が聞こえて来てました」

声が大きいからなー清水さん。

「それはすみません。」

「いえいえ、むしろ清水さんの声が聞けてちょっと元気もらいました。」

こちらは元気を失ったけど。

さて本日は残業確定だな。

頑張って日中の仕事を終わらそう。


今思い返すと、ここでもフラグが立っていたのですよね・・・。

だから言ったのに・・・。

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