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始まりは突然に

”ブブ”というバイブ音と共に会社のデスクに置いたスマホがメールの着信を告げる。

反射的にその内容を確認しようとするものの、何かを予期してかスマホを落としたしまった。

慌てて拾い上げて誰からの着信なのかを確認すると、やはり悪い予感は的中したようだ。

着信の主は清水あおい、やっかいなプロデューサーからだ。

とはいえ、彼女はうちの会社を辞めて今は特に利害関係のない人間だ。

ついつい同じ会社にいたときの印象で拒否反応を出してしまった。

スマホを開けて確認してみる。

「お久しぶりです!来週とか再来週で会えたりするかな?」

とのお誘いメールだ。

当然用があるから連絡が来ているのだが、要件は会ってから話すという事だろう。

ついつい彼女からの誘いは気後れするが折角のお誘いだ、蛇が出るか確認してみるか。

「OKです!来週火曜か金曜日でどうですか?」と返答をすると。

「じゃー火曜日で!」と即返信だ。

うーん、思いのほかすぐにだな。場所はどこが良いか考える。

そうだ!

「この前会った時に話していた代々木上原の例の店でよいですか?」

返答するとスタンプで

「OK」とだけ戻ってきた。

さてどんな話が出てくるのか、不安と期待が入り乱れつつやや、なぜか期待する気持ちが勝った気分だった。


代々木上原に着いたが、学生時代に下北沢に住んでいたので馴染みがある駅だ。

しかし、学生時代は通過はしたものの、降り立ったことはほとんどない。

約束の店は駅近だったので約束の時間の5分前に着いた。


前から清水さんが行きたいといっていた、中華店だ。

ここの餃子がどうしても食べたいと言っていたので予約をとっておいた。

かなりに人気店みたいでなかなか予約も取れないらしく、運がよかったようだ。

清水さんはまだお店には来ていない。

店の扉を開けると、「いらっしゃいませ!ご予約はしてますか?」との若い女性店員さんの呼びかけだ。

「あっはい。あのー鈴木です。」

「えーと、下のお名前もよろしいですか?」

「あっはい。恭介といいます。」

「ありがとうございます。お待ちしてましたーこちらにどうぞ!」

そういって通された場所はお店の奥まった場所だ。

4人掛けの席に着くと程なくしてお店の扉が開く。

「いらっしゃいませ!ご予約はしてますか?」

「はい、えっと、鈴木さんで予約していると思うのですが。」

その後は予想通り俺と同じ件を経験して、席まで通される。

「ごめんなさいね!待ちましたー?」

「いえいえ、今来たところですよ」

「ほんとに―良かったー。鈴木さん結構早く来るからあわてちゃったよ」

そういうとコートと荷物を隣の席に置き、早々にメニューを見始める。

「ここのお店、ずっと気になっててやっとこ来れたよー。ごめんねー鈴木さんに予約まで取らせて」

「平気平気ー。ネットでとっただけだから。」

「なかなかこのお店予約取れないから、本当にラッキーだよね。鈴木さんに任せてよかった。」

そういうとメニューをじっくりみている。

「あーもう何食べよう。本当に美味しそうなものばかりで迷う。餃子はマストだとして、あと・・・・」と長々と迷うのはいつものことだ。

「鈴木さん食べたいもの何?」

そして唐突に振り込んでくる。

「うーん、そうっすねー俺は餃子は全種食べたいのと、角煮かなー。」

「あーいいねー。あと私この鶏肉のココナッツ煮って食べたい!」

「いいっすよーじゃ頼みます!?」

そういうと、先ほどまでお互い言っていたメニューをとりあえず頼む。

「お飲み物はいかがしますか?」

先ほどの来た際に応対した店員さんが明るく聞いてくる。

「私は水でいいです。鈴木さん何か飲めば?」

最近は体調不良が続いていて、事あるごとに「ババアだから」とこちらが返答に困る事を言う。

その為、最近アルコールを飲んでいる姿はめったに見ない。

「あーそうですね。それではハイボールお願いできますか?」

俺もそんなに強いタイプではないが、餃子にはハイボールが合うと思って頼んでみた。

「久しぶりだよねー実際会うのはー?」

確かに、彼女が辞めたのが昨年の秋ごろだっただろうか。

今は寒さが残る3月だ。

かれこれ半年くらいは会っていない事になるのだろう。

「お待たせしました。ハイボールです。あとお通しです。」

そう言っておかれたザーサイに清水さんは笑顔にある。

「私ザーサイ好きなのよね。」

「あっ食べます?俺の分?」

「いやいやーそういう意味じゃないから気にしないで、私の分だけで十分!」

内心俺も食べたかったので取られなくて安心はしている。

「でわでわ、久々なので乾杯といきます?」

「えーごめんー。私付き合い悪いよね?」

「いやいやいいですって」

「まー形だけねー。乾杯。」

そういうと俺たちはいつの間にか机いっぱいになった餃子をつつきながら少し昔話に花を咲かせていた。

「ほんと受けるよねーあの時の鈴木さん。あの会社さんの事を聞いたら、サンドバックって。もう、あははっ思い出すと笑いが止まらない」

決まって彼女はこの話をして大笑いをする。

「それでーどうなんですか?今の会社は?」

「あー新しい会社でー。一言で言えば農村に来た感じよ。人はいいんだけどねーLUXにいた時のようなピリピリしたような感じはないから、やりやすいんだけど、温くて心配になるくらい。」

LUXは俺が現在所属する会社で、少し前まで清水さんがいた会社だ。

「そうなんですか?現在サファリパークに取り残された立場としてはうらやましい限りですがね。」

「えー鈴木さんは絶対うちでは満足できないよー。」

「そんなもんですかね。隣の芝生が青く見えるという。」

「それはそうだと思う。マジで。私も後悔は無いけどLUXだったらなーって思っちゃう時はあるんだ」

少し前までLUXの事をぼろくそに言っていたが、喉元過ぎればってやつかな。

「へーなるほど。きっとそうなんでしょうね・・・。ちなみに本日お呼び出し頂いた理由を聞いてもいいです?」

ここら辺で本題に入らないと話は長くなりそうだ。

「そうだよね。その前にちょっとこの餃子美味しいからお代わりしていい?」

はいはいと言いながら俺は店員さんを呼び注文を済ませる。

「えっとですね。いよいよ私も作品を上程する事になったの。」

作品を上程する。それはすなわち、アニメプロデューサーとして製作したい作品を会社に稟議を通すという事だ。

「おーちなみにどんな作品ですか?」

「そーそれが今回鈴木さんを呼び出した理由なので。鈴木さんが前一緒にやろうって言ってくれた作品あるじゃない?」

一緒にやろうと俺から言った作品・・・忘れもしない。

「それってあの合唱作品?男子高を舞台にした。」

それは2年前くらいに会社がプロデューサー以外の人間も作品を企画していいという時があり、その時に清水さんに一緒にやならないか?と提案したオリジナル作品だ。

「マジですか?」

「うん、本気よ。ただ、もちろんあのままではなくて、監督と脚本家を決めてしっかり作ってくんだけど、土台は鈴木さんが考えてくれた内容で行こうとは思うんだ」

「高校を舞台にした男子高校 合唱部同士の対抗バトルってやつ?」

「そうそう、その内容でやっていこうと思うの。」

おーこれは予想に反して、つまり面倒事かと思ったいたのでそれに反し良い打診で、かなり嬉しい。

アニメプロデューサーにはなれなかったが、自身の考えた作品がアニメ化されるというのは嬉しいかぎりだ。

「もちろん、俺に異議はないよ。むしろウェルカムです。」

「良かったー。もし断れれたらどうしようかと思ったけど。これで一安心。ただ・・・もう一つお願いがあるのよね。」

「もう一つ?」

「そうそう、是非鈴木さんにこの作品グッズに関して手伝ってほしいのよね。この作品は絶体グッズが売れる作品にするから。ケイトみたいに。」

ケイトとは清水さんのLUX時代の代表作といえる大ヒット作品だ。

グッズはケイト全盛期の時、一催事あたり売上が億を超える実績だった。

その実績を知っている故にグッズの売上に期待しているのだろう。

「なるほど、それはかなり楽しみですね。」

「うん、じゃーやってくれます?」

「まーうちの会社を通せるだけの好条件ならって感じです。」

「うちの会社じゃグッズ作るとか無理だから、たぶんそれはこっちもOK出せるとは思う。」

「ふーん、じゃー概ね条件成立かな?」

「やったー!じゃーまたよろしくね鈴木さん!一緒に仕事できるー!じゃーご飯食べよう食べよう!」

そういうと若干箸を止めていた清水さんは再び餃子を食べ始めた。

決して早くはない食事のスピードで、彼女の直近の愚痴を聞きながら・・・。


そう、こうやって俺たちはあるアニメ作品の製作への進むのだった。

この始まりが修羅への道につながるとは、まだ知らずに。

関係者に「お前、なろうにあの作品の話投稿しただろう?」と言われた瞬間に閉じますw

清水さん(仮名)にばれた瞬間に終わりますw

もちろんエンタメです、フィクションも入ってます。多少w

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