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7.訪問者

身支度を整え、広間の扉で立ち止まる。


リサが来客用にと支度してくれた。


お父様とお兄様も居てくれる‥きっと無事に終える事が出来るわよね‥。



眼鏡を軽く触りノックをし、入室する。


私より先にお父様とお兄様が先にソファーに座っており、お兄様が私を真ん中に座るよう促す。


ソファーに座り前を見ると、私の前にシルバーブロンドが眩しい公爵令息様が座っている。



そして、私の横には守るようにしてお父様とお兄様が公爵令息様と対面する形で日頃より増した強面で座っている。



‥両隣からの圧迫感で気まずいのですが‥。


ルーベル公爵令息様もお二人の圧で気まずい雰囲気になっており、間を置き、私を見て頭を下げ言葉を続ける。


「本日は先日のパーティーの際に僕がマグワイア辺境伯令嬢を傷付けてしまった事を謝罪しにきました。

申し訳ありませんでした。」



高位貴族の方なので目的が謝罪とは聞いていたが、全面的に非を認め頭を下げ謝られるとは思わず驚く。



「頭を上げてください。

謝罪を受け入れます。

確かに傷付きましたが、平凡な私が美しい公爵令息様とお話しさせていただく事が分不相応でしたので気になさらないでくださいまし。」



今思えばルーベル公爵令息様ほど素敵な方が私のような平凡な令嬢に見つめられても困ってしまいます。


自分で言っておいて落ち込んで下を向いてしまう。



ルーベル公爵令息様が血の気がない顔を上げ必死に否定しながら顔をどんどん赤くさせて言葉を続ける。


「分布相応だなんて思わないでください!

平凡な令嬢だと思ったからあのように言ってしまった訳ではないのです。

信じて頂けないかもしれませんが、初めて心を動かされてしまい、恥ずかしながら動転してしまい貴女を傷付けてしまいました。

本当は‥可愛いらしいですねと言いたかったのです。」



お父様とお兄様はギロリとルーベル公爵令息様を見ている。



二人の視線に気付いているのかいないのか動揺する素振りがない。




「貴女を傷付けておいて、厚かましいのですが、私の友人になって頂けないでしょうか?」




真剣な眼差しでルーベル公爵令息様が此方を見ている。


綺麗なシルバーブロンドで目鼻口が整っておりご令嬢方の人気も高いだろう‥。


平凡な私にはとても気が引けてしまう。



「光栄ですが、私は年齢も離れておりますし、女ですし、ルーベル公爵令息様には不釣り合いだと思うのですが‥。」


素敵なルーベル公爵令息様にお似合いになるのは金髪の華やかな明るい令嬢だと思うのです。


お兄様の友人というだけで私も仲良くさせて頂くのは遠慮しなくてはいけません。



「貴女を傷付けた償いをさせて欲しいのです!

僕にチャンスを与えてはくれないでしょうか?」


ルーベル公爵令息様は眉を下げ、まるで捨てられた子犬のような目で此方を見てくる。


とても無下にはできない気持ちになってしまう。




「ルーベル公爵令息様がそのように言うのであれば‥。

でも、今日謝ってくださったので、償いだとかは気になさらないでくださいね。」


ルーベル公爵令息様が心を煩わせる事がないよう笑みを浮かべ意思表示をする。


私を見ていたルーベル公爵令息様は私をぼうっと見た後、徐々に頬が赤くなってきている。



吊られて私まで赤くなってしまいます。



何か変な事言ったかしら‥?




「‥気を遣ってくれてありがとう。マグワイア辺境伯令嬢こそ気にしないで欲しい。

貴女と友人になれて嬉しいよ。」



ルーベル公爵令息様は私に手を差し出し、私もそれに応えようと手を出した時、横からお兄様の手がルーベル公爵令息様の手を握る。


ルーベル公爵令息様は一瞬驚いた顔をされたが何事も無かったような態度をしている事に対してお兄様の顔を見ると口角は上がっているのだが目が全く笑っていない。



「僕も嬉しいよ。レイフィンが妹と仲良くしてくれて。

‥でも、今後ルリアージュを傷つけるような事があれば2度目は許さないからな。辺境伯家の視界から消えてもらう。」



「もちろん。

折角掴んだチャンスをふいにしないようにするよ。」



何故か二人が火花を散らしていたが、お父様が咳払いをして其々元の位置に戻った。



「ところで、ルーベル公爵令息。父君から5ヶ月辺境伯に滞在し、私のところで剣術を学ばせて欲しいと手紙を頂いているのだが‥。

本気で言っておるのか?

遊びなら他でやってほしいのだが?どうなのだ?」


ルーベル公爵令息様が真剣な顔になり、お父様に身体を向ける。



「遊びではありません。本気です。

是非、英雄と言われた現騎士団団長ウルナス=マグワイア辺境伯様にご教示願いたいのです!」




「君は騎士にはならんのだろう?」




「僕は将は父上のように宰相になりたいと思っております。

ですが、学園へ行く前に多くの専門分野外の事を学びたいと思っております。

辺境伯様には面倒ごとだとは思いますが、どうか学ばせては頂けないでしょうか?」




お父様は少し考え込んでからルーベル公爵令息様を見る。


「‥わかった。許可する。だが真剣ではないと思われる態度が見受けられたら即公爵家へ帰ってもらう。」


「ありがとうございます!」


お父様の許可が下り安堵したように顔を綻ばせている。



ルーベル公爵令息様はくるりと此方に目をあわせると「少しの間お世話になりますね。」と言って微笑んだ。


隣でお兄様が「僕にも言う事あるだろ?」と睨んでいたが、私は本日多くのことが起こった為整理出来ず、思考が停止してまった。


読んで頂きありがとうございます。

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継続できるように頑張ります。よろしくお願い致します。

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