6.朝食時にて
毎朝カーテンからの差し込む光で朝を知らせてくれる。
決まった時間にリサが部屋に入ってきてカーテンと窓を開けると春風がベッドから起き上がった私の髪を優しく撫でる。
「お嬢様おはようございます」
「リサおはよう」
私の身支度の為に来たリサが私の事を嬉しそうに見る。
「どうかしたの?」
「お嬢様が今朝は明るい顔をされていたので嬉しくて‥。」
「そうかしら?」
昨日は色々な事が起こった。
お父様、お兄様とお話しして、長年の蟠りが解け晴れやかな気持ちになってしまったのかしら。
まだ実感が湧かないけれども、昨日の出来事が夢で無ければなと思っている。
そんな事を考えているうちに顔を洗い、ドレスに着替え、髪の毛も整え終わり、瓶底眼鏡を掛け食堂へ行く。
食堂へ行くと、もう二人は着席してる。
「「おはようルリアージュ」」
「おはようございます。お父様、お兄様。」
いつも通り強面な二人だが、以前とは雰囲気が違い、昨晩はぎこちなかった会話も今朝は少しずつ違和感が無くなりつつある。
まだまだ不慣れだが、朝ごはんについてや今日の予定、普段通りの会話をする。
こんな何気ない日をずっと憧れていたので、顔も綻ぶ。
(今日も可愛いな〜)
そんなルリアージュを男性陣は顔に出す事なく内心うっとりしながら見ていたのであった。
朝食が終わり、紅茶を飲んでいるとコンコンとノックし、執事のナイルが入ってきて、お父様の側までくる。
「旦那様今日も‥」
「‥‥そうか。」
お父様が悩ましい顔をし、お兄様も先程とは雰囲気が変わる。
「何かあったのですか?」
2人が顔をしかめるので、何かあったのかと思ってしまう。
「大した事ではないのだが‥。」
お父様は私の顔を見て少し考えてから、言葉を続けた。
「‥実はルーベル公爵令息が訪ねてきていてな。
ルリアージュに会って謝罪したいと言っておるのだが、ルリアージュはどうしたい?
嫌なら断ってくれても構わないよ。」
「私は‥。」
言葉に詰まってしまう。
先日の言葉が思い出される。
お父様とお兄様を見ると「無理する事はないぞ」
「辛い思いする事はない」と心配してくれている。
お父様に伝えれば会わない事は簡単だと思う。
一昨日の私でしたら勇気も無くお断りしていたでしょう‥。
でも今は心配してくれる、信じてみたいと思うお父様とお兄様が見守ってくれている。
「‥私お会いします。
お二人が心配してくださるから頑張りたいと思うんです。
それに、何かあればお父様とお兄様が守ってくださりますものね? きゃ!」
二人がプルプルしてると思ったら私に抱きついてきた。
「大丈夫だ。父が絶対守る。」
「何かあれば僕が息の根を止めに行く。」
えっ、お兄様怖いです。
真顔で言うお兄様に淑女の微笑みで流す。
ナイルがルーベル公爵令息を広間に案内する為に退室し、私も身支度をする為に退室した。
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