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4.騎士団訓練場にて①

「ところでお父様は何かこの庭園にご用だったのですか?」


「用はない。ミルファからルリアージュが庭園に出ると聞いて、塞ぎ込んでいたから心配で駆けつけたのだ。」



先程までとは違い強面に戻ってしまった。



でも、以前とは違い会話が続く。


元々お父様はこのような人なのかしら‥。



「ルリアージュはこの後予定はあるのか?」


「いえ。今日の座学は午前中で終わっておりますし、気分転換に外に出ただけですので、特にございません。」


「では、これから騎士団の訓練場へ行ってみないか?」



「私が行ったら皆様のご迷惑になりませんか?」



いつも騎士団の方々と挨拶は交わしますが、よそよそしいので本当は迷惑なのではと思っているのです。


どうしましょうと言葉を詰まらせる。


「そんな事はない!皆喜んでいる!」


何故か必死に言うお父様。


「そうですよ。お嬢様。旦那様とシュバルツ様のおかげで感情を出せなかっただけで騎士団の皆様は喜んでおいでです。

そして、訓練場から抜け出した旦那様を本来の場所へ連れて行って頂けると私は嬉しゅうございます。」


ミルファがお父様を補足するように遠慮はいらないですよと伝えてくる。



二人にそう言われたら行ってみようかしら‥。



「では、そうさせていただきます。」


お父様がほっと胸を撫で下ろす。


「では、リサをそちらに向かわせますので私はこれにて失礼致します」


ミルファは屋敷の方に戻って行った。



「早速だがルリアージュ。私が不甲斐なかったばかりに君に悲しい思いをさせた。

信頼を持てるように今後は触れ合いや会話が必要だと思う。

そこで、可能な限り屋敷内では移動の際にお姫様抱きで移動したいのだがどうだろうか?」



「‥え?それはちょっと‥。」


今まで会話も碌にした事ないのにハードルが高いのでは‥?と思いお断りさせて頂こうと思ったのですが、お父様が目を見開いて此方を見ていらっしゃる。




「‥はい」


とても断る雰囲気ではなかったので了承してしまった。


お父様の強面も柔らぐ。


「では、行こう。失礼するよ」


ふわりとまるで何も持っていないように私を軽々持ち上げると同時に鼻孔をくすぐる。



先程も思ったのですが、お父様の香水かしら‥?ウッド系のとても落ち着く香りがするわ。


気付けば、お父様の胸に頬擦りしてしまっていた。お父様が固まっている。



「あ、ごめんなさい。落ち着く香りでつい‥。」


恥ずかしくて、ぽぽぽと染まる頬を手を当てる。


お父様はなぜかそっぽを向き「か、かわいすぎる」とぼそっと言ったが、ルリアージュの耳に届く事はなかった。



騎士団の訓練場に着き、皆さんが私たちに気づき、固まってをいる。



それはそれは驚きますよね。


お姫様抱きの強面お父様が現れたのですから。



「閣下そちらの方はもしや‥。」


「‥ルリアージュか?」


やはり瓶底眼鏡を掛けていても髪色や背丈ですぐにわかるらしい。


騎士の方々もお兄様も騒ついている。



「そうだ。我が娘ルリアージュだ。

抜け出して悪かった。おかげで娘と長い間の誤解が解けた。」


私と目線が合った途端目元が柔らぎ口角が少しあがる。


お父様恥ずかしいのでそろそろ下ろしてください。



「閣下蕩けそうな顔していないか?あんな顔初めてみたぞ。」


「やっとお嬢様にもお話出来るな。閣下があんな状態だったから安易にお話も出来なかったもんな。」


騎士の方々がコソコソとお話ししているので聞こえてこないが皆安心した嬉しい顔をしている。


よく分からないけど喜ばれているようなので嬉しいです。


お父様が私を優しく下す。 


「ルリアージュはあちらの木陰に行っていなさい。」



既にリサも着いており、座れるようにシートや飲み物が置いてある。


「抜け出たお詫びに私一人でお前達の剣を受けよう。さあお前達一人ずつきなさい。」


私が離れた途端お父様の雰囲気がガラリと変わる。


私が木陰に着きお父様対多数の模擬戦が開始されたが、一人また一人と次々と薙ぎ倒していく。


決して騎士の方々が弱いわけではなく、お父様が圧倒的に強いという事がよくわかる。


残りお兄様だけとなったが、お兄様は他の方々より一番早く決着が着き、遠くまで飛ばされた。


皆さんまだ起き上がれないでいる。


「皆腕が上がっておるが、まだまだだな。各々素振り1000回、腕立て1000回して励むように。終わった者から本日の鍛練を終了とする。」


「ありがとうございました。お疲れ様でした!」


皆さんよろよろと立ち上がり挨拶をする。お父様が踵を返し私のところまで来た。


「ルリアージュ今日はもう終わったから一緒に戻ってティータイムでもしよう。」


「いえ。お父様。私はもう少し見ています。」


「‥そうか。では、先に戻っている。」


何となくもう少し皆さんの頑張りを見ていたいのもあり、私は残る事にした。


お父様は少し悲しそうな顔をしたが、先に戻って行った。


娘ラブな父、ただティータイムしたかっただけでした。


読んで頂きありがとうございます。

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継続できるように頑張ります。よろしくお願い致します。

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