3.お父様と私②
恥ずかしい程泣いてしまい、気持ちが落ち着いてきた頃にはお父様のお洋服を汚してしまっていた。
「お父様汚してしまいすみません。」
今考えると人前で泣いてはいけないのに泣いてしまって恥ずかしいわ。
しかも、お洋服も汚してしまったしどうしましょう。とりあえずお父様から距離をとる。
とりあえずお父様から距離を取り、頭の中がパニックになっていると目元を大きな手で撫でられる。
「ルリアージュの涙は汚くないから気にすることはない。それより目が腫れているぞ。大丈夫か?」
今まで必要最低限の言葉しか交わしたことがない事と急に饒舌になり、こんなに色々と私を心配してくれた事に驚きながら嬉しく感じてしまう。
「大丈夫です。この眼鏡を掛けてしまえば隠れてしまいますから。」
そう言ってまた眼鏡を着ける。
「聞きたかったのだがなんで眼鏡を掛けているんだ?」
「ミルファに頂いたんです。悩みを解決してくれる眼鏡とのことで皆から勧められて着けてみました。」
お父様は眼鏡の事を知ると、いつもの強面に戻りミルファの方をじっと見つめ何か言いたそうにしている。
ミルファは何も無いように知らんぷりしている。
「もしかして、似合ってませんか?」
「そんな事はない!何を着けていても愛らしいのだが‥せっかくの綺麗なエメラルドの瞳が‥。外した方がいいのではないか?」
「お父様には申し訳ないですが、まだ信じられないのです。
私がこの眼鏡を掛けるまでお兄様はわかりませんが、お父様には疎まれているのかと思ってましたし。見ないで欲しいとも言われてしまいました。」
流石に不機嫌になるかもしれない、直接不信感しかないと言われているのですから‥。
「‥自信が‥ないのです。」
私は下を向いてしまう。
私たちの日常には魔法がないので眼鏡を掛けてもただの瓶底眼鏡を掛けている人にしかなりません。
そして、眼鏡を着けても着けなくてもこれからはわかる愛で接してくれるかもしれない。
でも、本当にそうなのかしら‥?
また素っ気ない態度を取られるかもしれない。
そして、眼鏡を外して人に会うのも怖い。
もう‥傷付きたくない。
気付いたら、お父様が片膝を折りしゃがみ私と同じ目線になっていた。
「そうか。わかった。ルリアージュが私たちを信じられるようになったら外してくれ。私はいつまでも待っている。それにこれからは信じて貰えるよう愛を伝えよう。」
責めようとせず気にする事はないよって気持ちが伝わってくる。自信がなくてごめんなさいお父様。
「はい」
こうして瓶底眼鏡生活が始まったのでした。
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