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15.辺境伯邸にて② *途中王太子side

『殿下』と呼ばれていた方が護衛を連れ、お兄様に止められながら此方のテラスに近づいてくる。



「ステファン殿下何故ここにいらっしゃるのですか?!」



名前を聞き王太子殿下である事を知り、臣下の礼をとる。




「シュバルツが明日辺境伯領へ戻ると聞いて、別れの挨拶にきた。

そうしたら、レイフィンも此方に居ると聞いて此処まで来たのだ。」




王太子殿下がレイフィン様とお話ししている顔をくるりと向け、此方を見る。 



「ところで‥君はシュバルツの妹君かな?

噂は聞いているよ。

レイフィンの罪悪感を煽って付き纏っているんだよね?」



にこりとしているのに目が全く笑ってない。



お兄様もレイフィン様も固まってしまい、恐ろしくて顔を見れなくなってしまう。




「殿下それは‥どういう事ですか?

レイフィンが僕の妹ルリアージュにしょうがなく付き合わされているとそういう事ですか??」




お兄様が王太子殿下相手に目が据わっており、レイフィン様に目で合図している。



‥‥お兄様‥不敬なのでやめたほうがいいのでは?



スッと私の前にレイフィン様とお兄様が立ち、前が見えなくなった。



「ステファン殿下‥僕は此方にいらっしゃるルリアージュ嬢に赦しを乞う為、罪悪感の為一緒にいるのではありません。

彼女が大切で、付き纏っているのは僕の方です。

馬鹿馬鹿しい噂で彼女を傷付けるのはやめてください。

真偽を確かめずに言うなんて見損ないました。

行こう。ルリアージュ嬢。」



そう言ってレイフィン様は私を王太子殿下から隠すように手を引きバラの道を抜け、屋敷の扉まで来てぴたりと止まる。



「レイフィン様?」



「いつもルリアージュ嬢には嫌な気持ちにさせてしまい、すいません。

まさかあんな噂があるなんて知らず、油断していました。」



顔を見せようとせず前を向いているからどんな顔をしているのかわからない。



不思議と王太子殿下の言葉では傷つきませんでした。



明らかに落ち込んでいる姿を励ましたくて、恥ずかしいと思っていた手をぎゅっと握る。



驚いたのかレイフィン様が振り向く。



「ルリアージュ嬢?」



「気になさらないでくださいね。

いきなり言われて驚きましたが、私の事を気にしてくださるその気持ちがとても嬉しいです。

なので、此方を向いてください。」



レイフィン様のせいではないから私の事で傷つかないで欲しい。



そんな哀しい顔をしないで欲しい。



「ありがとう。

ステファン殿下も貴女の事を知ればきっとそんな事をする人ではないと思ってくれるよ。」



私が気にしてない事が伝わったようで、表情が柔らかくなり、穏やかな時が流れた後、レイフィン様が少しそわそわしているので不思議に思う。



「ルリアージュ嬢‥手を‥‥。」



気がつくぎゅっと握っており、慌てて手を離した。







王太子side



私の誕生日パーティーの日、国中の貴族が私の為に集まる。



皆祝辞を述べてご立派になられましただの自身の娘、子息は将来私のお役に立つだのと、ごまをすって去っていく。


そんな私に取り入ろうとする者がいる中で、心休まる時がある。



公爵家で従兄弟のルーベル=レイフィンと辺境伯家のマグワイア=シュバルツだ。



同年齢で、小さい頃から一緒だった為兄弟のように育った。



そんなルーベル公爵家が私に祝辞を述べ来たが、いつもと雰囲気が違うような違和感があった。



親しい者しかわからない元気がない感じがしたが、本人は触れて欲しくなさそうだったので聞く事が出来なかった。



ルーベル公爵家の後に来たマグワイア辺境伯家も同様違和感があった。



貴族達の挨拶も終わり、父上が乾杯の挨拶をする。



その後は料理を摘みつつ貴族同士親睦を深めるので皆自由にする。



いつもは私とレイフィンに人だかりが出来ているのだが、今日だけは僕のところにしか出来ておらず、レイフィンの姿が見当たらなかった。



その分普段より人が多く、ひそひそと声も聞こえてくる。



レイフィンに常にくっついている令嬢達だろう。



「ルーベル公爵令息様顔色が悪く帰ってしまわれたけれど、大丈夫なのかしら?」



「心配ですわよね。きっとあれが原因ではないかしら?」



レイフィンが帰った? 


顔色が悪い?


あれが原因って?



聞こえてきた言葉が気になり、ついアルカイックスマイルで声を掛けてしまった。



「そこのご令嬢方ルーベル公爵令息に何があったか知っているのかい?」



声を掛けられると思っておらず一人はびっくりしており、何も発する事が出来ず、もう一人は嬉しそうにもじもじしながら私に応える。



「王太子殿下!?

‥実は遠目だったので聞こえなかったので見ただけなのですが、マグワイア辺境伯家の令嬢と何かあったようで、帰られてしまったのかなと思ったのです。」



「そんな事があったんだね。

私は知らなかったよ。」



令嬢達のきゃあきゃあする仕草に笑顔で返し、いつも上手くやるレイフィンが心配になった。



私の誕生日パーティー後の次の日になると仕事で来ていたルーベル公爵を捕まえレイフィンの様子を聞く。



どうやら元気のようだ。



安心したが、いつもなら公爵領へ帰るまで、私の所に訪ねて来たりするが、今回は全くその素振りがない。



辺境伯領へ帰るシュバルツも来ないし今回はどうしたんだ?



そんな事を思っている内に4日経ちレイフィンがマグワイア辺境伯令嬢とメインストリートで一緒居たらしいという事を聞いた。 




読んで頂きありがとうございます。

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