1. プロローグ
初めての小説投稿です。
至らない点もあると思いますが、温かい目で見守って頂ければなと思います。
薄々感じていた事に気付いたのはこのときだったわ‥‥。
「‥困るから僕を見ないで欲しい」
8歳になった私、ルリアージュ・マグワイアはお兄様の友人に言われて頭を白くさせ、泣きそうになるのをグッと耐える。
私ってやっぱり目を合わせらない程地味なのかしら‥‥。
時は少し遡り‥今日は、我が国ドラルク王国王太子殿下10歳の誕生日パーティー。
国中の貴族が出席し、8歳以上の王太子と歳の近い令嬢、令息も出席する事になった。
現在、王城へ行く途中の出来事。
私も辺境伯のお父様、10歳のお兄様と一緒に参列する事になり、初めてのパーティー出席に緊張と不安で顔を強張らせた。
「お父様、わたくし初めて社交をするのですが‥どうでしょうか?」
今日は全てメイドが張り切った装いで普段より気合いの入ったハーフアップ、初めて着るチュールが重なったライトモスグリーンのドレスの裾を見ながらお父様達に聞く。
「か‥‥ステキダヨ。」
「‥‥お兄様は‥どうでしょう?」
「‥‥少し派手すぎはしないか」
私を見て微笑みもせず片言の強面お父様、チラッと横目で見ただけの父親に似たお兄様。
少しでも勇気を貰いたくて聞いたのに不安を煽る。
お二人がそう言うって事は私にはドレスが華やかすぎて似合わないのかしら‥。
ルリアージュは、物心ついた頃からお父様とお兄様に素っ気ない態度を取られていた。
母親はルリアージュを産んだ後、産後の肥立ちが悪く亡くなってしまった。
なので、ついつい父兄に聞いてしまうのだが、いつもこの調子なので、容姿に対して自己肯定感が低かった。
やはりそうなのねと自信がないまま、王都の邸から馬車に揺られ、、。王城門まできてしまった。
馬車を降り、王城の中庭まで来れば、多くの貴族、彩り豊かな料理が並んでいた。
パーティーは着いた順で王族へ挨拶を行い、その後は料理を摘みつつ貴族同士親睦を深めるとのこと。
お父様の後をついて行くとーー
「久しいな、マグワイア辺境伯」
「ルーベル公爵」
「相変わらずおっかない顔してるな〜」
「‥公爵も相変わらずだな。夫人はいつお会いしても美しいですな」
「マグワイア辺境伯もお元気そうでなによりですわ」
お父様に声を掛けてきたのは学友であった王弟であるルーベル公爵と妻のルーベル夫人。
親達が挨拶したあとちょうど良いタイミングでルーベル公爵の隣にいた令息が前に出る。
「レイフィン挨拶を」
「レイフィン=ルーベルです。シュバルツとは仲良くさせていただいております」
「レイフィン以前より背が伸びたな」
癖のないセンターパートのシルバーブロンドでサファイアのような綺麗な瞳の男の子は礼儀正しくお父様に一礼をする。
「シュバルツ=マグワイアです。レイフィン様には良くしていただいております。今後ともよろしくお願い致します。」
「シュバルツも益々辺境伯に似てきたな!」
それに続くようにお兄様も公爵様と夫人に挨拶を行う。
どうやらお兄様達とルーベル公爵令息様達はこのようなパーティーで顔見知りで仲も良いらしい。
話に花が咲きとても盛り上がっている。
落ち着いた所で父が私を紹介するために「実は我が家には今年からこのようなパーティーに出席することになった娘がいるのだが‥」と言い後ろを振り向きわたしの肩に手を置き前へ進ませる。
「お初にお目に掛かります。‥ルリアージュ=マグワイアです。今後ともどうぞよろしくお願い致します。」
私は緊張しながらカーテシーをした。
そして公爵様達に顔を合わせ軽く微笑む。
実践するのは初めてなので上手くできたでしょうか?
‥ん?
しーんとなってしまいました。
何か失態でもしたのでしょうか‥?
何故か無言のまま私の事をガン見の公爵家の方とお父様とお兄様。
ハッとしたようにすぐに表情が戻り、
「ごめんね!ルリアージュちゃん。辺境伯とは
似ても似つかないなと思って。て言うか呼び方ルリアージュちゃんでも大丈夫かな?」
ルリアージュちゃん?
「公爵様にそのように呼んで頂けて恐れ多いです。」
身分が高い方にそのように呼ばれて緊張してしまいます。
私が畏っていると、
「んふふ。本当に辺境伯様に似ず、とても可愛らしいわね。」
「‥ルリアージュは妻似だ。」
公爵夫人は微笑みながら私とお父様を見ていて、お父様はより険しい顔になり、公爵様達と話している。
「レイフィンもそう思うわよね?」
「「‥え。」」
いきなり公爵夫人がさらりとそう聞くものだから、二人して驚く。
ルーベル公爵令息様も目をぱちくりさせて、私と目が合った途端すぐに逸らし、
「‥困るから僕を見ないで欲しい」
緊張して張り詰めていた私の周りから音や色が消えた。
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