35. ススムさん……?!
ススムはユリコの前に仁王立ちになったまま、意味不明な言葉を発した。
「我は闇の暗黒帝国の信奉者である。このシャトルは占拠した。お前も我々に協力しろ」
「スっ、ススムさん? どうしちゃったんですか? 」
ユリコは、ススムの足にすがりついた。
「ねえ!」
しかし、ススムはユリコを値踏みするかのように、じっと見ていただけだった。真っ赤に燃えた目からは、眩しい光線が照射されている。もう、ススムではなくなってしまったのか。
ススムは頭をひねり、こう言った。
「ふむ。どうやら、お前は役に立ちそうもないな。頭がカランカランだ。このまま、ここに置いておいても、我々の足手まといになるだけだ。……そうだ! こいつは、どこか辺境の星にでもやってしまおうか。おいっ! チビども! とりあえず、こいつを縛り縄にしろ!」
「やめてー!!」
一体の黒服が腹部からロープが出現した。それを何体もの黒服たちが手にすると、一瞬にしてユリコをぐるぐる巻きにした。
「終わった! ×2回」
黒服は叫んだ。
「よしよし。そのまま、そこに置いておけ」
「ススムさぁん! どうしちゃったんですか! ホントに!」
ススムはこちらに背を向けたまま、コンピューターを必死に打ち叩いている。
「ススムさん!! 聞いてるんですかぁ!?」
ススムは、ユリコの声など全く耳に届いていないようだった。宙に浮く透明な板を、近くに引き寄せて、なにやら、いくつかの星の情報をピックアップしている模様だ。
「ふむ……。辺境の星といっても、無限にあるからな。どこがよいかな……」
駄目だ。ススムさんは、黒服に目を突き刺された時に、何か変わってしまったんだ。
そうだ! 早く他のメンバーに、この事を知らせないと!
ユリコは、ワイアレスイアホンの無線開始ボタンを押した。そして、小声で言った。
「聞こえる? こちらユリコ、ユリコ!!」
しかし、ザーザーという雑音しか聞こえない。
「ススムさんが、 "あの者たち" に襲われて、大変なことになったんです! 大勢の黒い変な奴らが今、コントロールルームにいて、私はどこか遠くの星へ連れていかれるかもしれない! シャトルは危険だから、こっちにきちゃ、絶対駄目ですよ!」
スペースカーからの返答は、やはりなかった。
どうかしたのかな……。大丈夫かな……。
「おっ! 見つけたぞ! この星にしよう! おい! チビども! あいつをこの星へ送り込め!」
「りょーーかいっ! ×2回」
???
「キャア!!」
ユリコは黒服たちに、わっせわっせと担がれて、シャトルの中の、ある部屋へと連れていかれた。
その部屋には、何もなかった。宙に浮かぶ、緑色に輝く輪っかを除いて。
「何するの?! やめてー!!」
輪っかの中へ投げ入れる気だ!
輪の中へ吸い込まれる寸前、ユリコはとっさに、胸ポケットから丸めたティッシュを放り出した。黒服たちは気にも留めずに、ユリコを御輿のようによいしょと担いだまま、輪の中へと入っていった。
投げ入れる訳じゃなかったのか。随分とご丁寧なこと。
ユリコが連れていかれた星――。
それは、宇宙の最も辺境の場所にあって、人でもエイリアンでも、誰も行きたがらない星ワーストワンにノミネートされた星だった――。
本日もお読みいただきましたこと、光栄に存じます。
さて、本日のヒトコト担当といえば、……なるほど! 黒服さんですか! あの…、話せますか?
「……。」
とのことです。やはり、ハナオカ様の敵、作者の敵だけあって話せないそうです。そこをなんとか…?
「分からない奴! 排除! ×2回
武力行使! ×2回」
……助けてぇーーー!!!(作者記)




